【ショートショート】午前2時の足音
あ、まずい。
家族でも、担当の宅配業者でも、郵便局員でも、飛び込みセールスの人でもない足音を感じてしまった。
こんな時間に。
もう眠れない。
わたしの本能が警鐘を鳴らす。
この足音は人ではない何かだと。
逃げる? どうやって? どこへ?
そもそも何から逃げればいいのか。
足音は、部屋に近づいてきている。
夢なら覚めればいいけど、どうやら夢じゃない。
逃げられないなら戦うしかない。
布団から出る勇気も、足音の主を確かめる勇気もなくて、吐きそうになりながら、時を追いやろうとしている。
おしまい
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