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【連載小説】パンと林檎とミルクティー

9 金曜日17時

 今日は、どうしても、ポタージュスープのあったかいのが飲みたい。

 そう思って、真智子は電車で15分のスーパーマーケットにきた。
 10年くらい前と比べると、インスタントのポタージュスープは、ずいぶん値段が上がってしまった。
 だとしても、今日は、どうしてもポタージュスープを飲みたかった。

 朝、食パンを食べながら思った。
 ミルクティーは好きだけど、ちょっと物足りないなあ。
 ミルクティーは、ティーバッグで紅茶を入れて牛乳をいれる。
 牛乳をあたためることもあるけれど、たいていは冷蔵庫から出したパックからそのままいれてしまう。
 あったかくない。
 冬の朝に、これから今日を生きようという時に、力が出ない。

 これではだめだと、真智子が思いついたのは、朝のパンには冷たいミルクティーのほかに、ポタージュスープ。

 スーパーに入って、入り口でアルコール消毒をしてから、黒い買い物かごを持つ。
 キャベツや白菜といった重い野菜は避ける。
 マヨネーズもケチャップも、次回。
 中華のスパイスも、今日はいい。

 隣の棚に。
 ポタージュスープ。
 2個で300円。
 いつもの値段より、ちょっと安い。
 2個買っちゃおう。
 ラッキー!

 今日は、フランスパンもいっしょに買っていこう。

 カゴの中に、どんどんしあわせが詰まっていく。


つづく

 


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中野谷つばめ
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