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3【連載小説】パンと林檎とミルクティー~作家・小川鞠子のフツーな生活日記~

3  設定がすべて


 先週末、お笑いのコンテスト番組とネタ番組をえんえんと観てしまった。
 テレビって、もうずっと観ていられる。飽きてもテレビつけてる。
 コントが大好きなのは、コントって小さな演劇だから。
 芸人さんがドラマに出ちゃうのは、演技力があるからだと思う。
 しかも、自分の作った世界にはまってるし。

 コントも演劇も、設定がすべて。
 世界観を作ることが大事。
 コントでは、はちゃめちゃなキャラクターがでてきて、設定を最大限に活かせたら、もうぜったい面白い、

 コントのコンテストで優勝した2人組の決勝戦のコントは、設定の勝利だと思った。なんで中身が男性なのに女性で、しかも好きな女性の親友として登場するんだか。
 なんでと思ってても、見ているうちにキャラクターと世界観に巻き込まれて、ただみて笑っちゃう。

 ピン芸人のコンテストでは、優勝はしなかったけど決勝に残った芸人さんのネタが好きになった。
 コントのネタで、結婚式葬式警察物はよくある設定で。
 警察物で、現実にはない部署の設定で逮捕された容疑者の自白へ導く作戦、というコントが秀逸だった。
 現実にはない部署、というのがネタとして設定の勝利。
 今まではその芸人さんは好きでも嫌いでもなかったけど、警察物のネタをみて、だんぜん好きになった、
 単純だなあと思いながら、録画した番組の警察物のネタ部分だけくり返し観た。

 人に合わせて何かを作るというのは、職人芸みたい。
 観ていると、創作意欲が書きたてられる。

 警察物の小説が書きたくなるわけでもないし、とんでもなく突拍子もない非現実物が書きたいわけでもない。
 小川鞠子っぽいものが書ければそれでいい。

 小川鞠子っぽいものとは、日常の隣にあるパラレルワールド的世界観の小説かな。
 パンと林檎とミルクティーを朝食に選ぶ女の友達くらいに設定がある。
 友達は、グレープフルーツとホットミルクとブラックコーヒーを朝食に選ぶんだろう。二人で会った時は、コーヒーも紅茶もおいしい喫茶店を選ぶことに、全力で調べる。

 そうだ。
 今度、友達と会う時には、カツカレーのおいしい店を探して行ってみよう。
 無性にカツカレーが、食べたくなってきた。

 


 

※1話完結の連載小説です。どこから読んでもオッケー。
1 朝は午前10時から
2 林檎ジャムに決まってる


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