
伊藤雄馬「ムラブリ語がつくる身体、日本語がつくる身体」—これからに向けて準備することが奪ってしまういまここの自由について20250226
来たる2月26日(水)の午後7時から『ムラブリ』の著者でもあり言語学者の伊藤雄馬さんをお招きしてトークイベントをお招きしてトークイベントを開催します。
「自分の生を外注している間は、ぼくはお金に頼らざるをえない、けれどお金を稼ごうにも、給料の算出根拠が不明で、どのような金額だったとしても、おそらくぼくは納得することができない。納得できないものに頼って行くていることを自覚しているのに、そんな自分の人生に胸を張れるだろうか。ぼくには難しく感じられた。大学を辞めて独立研究者を名乗ってはいたが、結局お金に依存して暮らしている自分に「なにからの独立だよ!」とツッコミを入れながら、自分の肩書きに納得がいかなくなってもいた。生活するためにお金が必要であり、そのお金を得るために研究している限り、ぼくはぼくの本当の関心へと向かえない。では、どう生きるか?」
長く引用してしまったが、伊藤さんほどラディカルに考えてはないにしても、同じような疑問をもつひとは少なくないだろうし、自分のあり方がしっくり来ていないひともけっこう多いのではないだろうか。
ムラブリは、なにによってムラブリとしているのか?と言えば「自由」だという。強制されることが嫌いで、自由が好き。まぁ多くの人間はそうだと思う。ただ自由の背後には責任がくっついていて、なかなか自由だけを追求することは困難だ。ひとは定住し、穀物を生産し、備蓄するようになってから未来に対して準備することができるようになった。いっぽう未来への準備は今ここの自由を奪うことにもなった。どちらが正しいとか、間違っているということではない。世界の、あるいは個人としての不足や過剰を調整し、自分なりの自由を再定義するような時間になればと思う。
日時:2025年2月26日(水)19:00-21:00
ゲスト:伊藤雄馬(言語学者)/聞き手:田中辰幸(ツバメコーヒー店主)
定員:15名
料金:1,650円(コーヒー付)
会場:ツバメコーヒー(新潟県燕市吉田2760−1)
申込:tsubamecoffee@gmail.comまで件名「ムラブリトーク」としてお名前、連絡先を添えて
配信:https://shirasu.io/t/cultivate/c/cultivate/p/20250218190136

ゲストプロフィール
伊藤雄馬(いとう・ゆうま)
言語学者。1986年生。タイ・ラオスで話されるムラブリ語を中心にフィールドワークを行う。大学教員を経て、2020年から独立。ムラブリ語が母語の次に得意。2022年公開のドキュメンタリー映画『森のムラブリ』(監督:金子遊)に出演し、現地コーディネーター、字幕翻訳を担当。著書に『ムラブリ 文字も暦も持たない狩猟採集民から言語学者が教わったこと』(集英社インターナショナル)、『人類学者と言語学者が森に入って考えたこと』(教育評論社、共著)など。