ミニマリストにあこがれる/CAP松村
思いついたらすぐ行動する友人がいる。
とにかく引越や転職、また引越、そして引越、転職、またまた引越転職てんてんてん…。そのスピード感が凄い。悩むより動く。
その友人が最近、46㎡の古い団地を30年ローンで購入した。
自分で好きなようにリフォームし、そのままそこで一人暮らしを始めた。
3人の子どもたちはまだ学生ではあるけど、自分のことは自分でできる歳になった。旦那さんもここ数年は単身赴任でお互いに自立している。
彼女の一人暮らしは、家族も好意的に見ているようだ。(たぶん)
漆喰を自分で塗ったというシンプルなリビングの横には、お茶室が設えてある。夜に一人でお茶を点てるらしい。
好きなものだけに囲まれた、小さな暮らし。今注目のミニマニスト。
その新居で夕飯をご馳走になった。
美味しいのはもちろんのこと、ゴミをほとんど出さない調理や工夫に感心した。
モロヘイヤのサラダを手伝う。
葉をちぎって茎は袋に戻してね、明日おひたしにするから、と。
鍋のソースもヘラでこそげ取る。
ラップは使い回す。
生ゴミはほとんど出さない。
ケチな性分やねん、と彼女は笑う。
部屋には家財道具がほとんどない。
アンティークの戸棚が一つと、
小さい木のテーブルと椅子がふたつ。
テレビもないし、掃除機もない。
メルカリで見つけたという小さな冷蔵庫があるが、小さくて圧迫感はない。レンジもない。食べものを温めるときは蒸すらしい。
カセットコンロと鍋2つですべて調理する。ボウルの代わりに鍋の蓋を使う。1つだけあるステンレスのザルは、洗った後の食器置きにも利用する。
食器も極わずか。どれも選りすぐりの見た目と使いやすさ。
かわいいまな板はパン皿代わり。
オレンジの小さな光の中、余裕たっぷりの空間が気持ちいい。
「毎日が旅行気分やねん」
彼女が言う。
確かにヨーロッパあたりの趣味のいい、こじんまりしたホテルのようにも感じる。
そういや昔、彼女とイタリアからチュニジアを旅したことがある。
荷物は最小限。
ふたりとも小さなバックパックだけで1か月間、何の不便もなかった。
服はシャワーのときに、毎日こまめに手洗いをする。パンやハムは食べる分だけを買う。
安くて身軽で、そして自由で、開放感に満ちていた。
実は、彼女にとってもその時のイメージは大きいらしい。
この旅のことを思うと、人が生きるのにそれほど物はいらないんやろうと思う。
「これから人生をしぼめていくねん」と彼女は言うけど、物から解放され、あるものだけで工夫することは結構楽しい。更に、とっても経済的。これは老後の希望でもある。
これって最強かも。
私は、まだまだあれもこれもしたい、あれもこれもほしい!と、まとまりのない生活を送っている。
彼女の暮らしぶりは、まだまだ可能性を広げていきたいとなんとなく思っていた私を立ち止まらせ、麻痺している感覚を刺激してもらい、選択肢の一つを教えてもらいました。
やってみたいなミニマリスト!(一か月くらい)
緑いっぱいの団地はとても古いけど、徒歩数分で大きなショッピングモールも地下鉄もあり、街にはカフェが並ぶ。文化的でおしゃれなアーバンライフ。これなら何かあってもいつでも貸せるし、いつでも売れる!と確信を持っての購入だそう。
昔から、引越を繰り返しただけあって、不動産には詳しい彼女です。
更に、「私のことやから数年で飽きるかも」って。
うん、きっとね。(笑)
「次は北海道で住みたいな」とつぶやいてました。さすが!
こんな生活もいい。