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ツバメ物語13/珈琲係石井

 薄暗くて冷たい雨の中、その女性は、傘をさしながら小走りで近づいてきた。
「すみません、ずっと気になっていて、、、ここ何が出来るんですか?」

 この質問に答えるのはいつも、そう今も戸惑ってしまう。カフェといえば自分だけの様だし、料理は出す気はないし、建築事務所といってしまえば、関心のない方は一度も足を踏み入れる事なく遠ざかってしまう。

 「カフェの様な、、建築事務所の様な、、お店を考えています」
 そうだった、お店だ。誰でも入れるお店。保健所で申請した時点でお店になる事は分かっていたつもりなのに、客観的にお店になるとはまだ実感がなくて、信じていなかったのかもしれない。

 自分で口に出してから、納得して、覚悟…といえば大袈裟だけど、お店になると実感できた。

「わぁ、嬉しい!この辺り何もないから楽しみにしています。」と言ってくれた。
 
 何だかこそばくなった。近所に楽しみに待ってくれる人ができた。

 まだオープンしてないけど、お客様という存在が出来た日。この方は6年経った今も、来てくれるお客様です。(healingdishesの彼女です。)

https://instagram.com/healing_dishes?igshid=MzMyNGUyNmU2YQ==


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