夫婦でホイホイ①🏠 (家シリーズ)/‐石井
結婚して、一年後くらいに夫婦で神戸に遊びにいったんです。
帰りがけに社会見学という名目で、芦屋の六麓荘という大豪邸を見に行こうとなり、ポンコツカーで高級住宅街に踏み入りました。
そこはドラマさながら圧倒的な大豪邸だらけで、高台に行けば行くほど、海外の高級車がズラリと並んでいました。
二人で興奮しながら、どの家に住んでみたいかなど話をして、お手伝いさんと執事のお給料はどうするなど、妄想して、身の丈に合わない家はしんどいな~と、落ち着いた所で、すごすごと大阪の賃貸5階建てエレベーター無しのマンションへ帰って行きました。
六麓荘を見てから、自分の家に興味が出たといえば、笑っちゃうけども。あんなに大きな家がほしいとか、羨ましいとかは全く思わなくて、ただ、テンションが上がる我が家がほしくなったキッカケではあります。
それから、不動産屋さんと家を見て回ったり、住宅展示場を冷やかしに行ったり、住宅雑誌を購入したりしました。急ぐ気持ちはないままに、住宅というものに、ベクトルを向けながら生活をしていた感じ。
で、姉が建築事務所で働いていた事も、リフォームしたり、DIY、店舗設計などしていた事は知っていたけど、姉妹とは不思議なもので、力量を認めてないというか、だらだらバックパッカーもしてたお姉チャンが家の設計も出来るなんて、思ってなかったので、何の相談もしていなかったんです。
それから不動産屋さんに何十軒と紹介される物件に心が踊るものはなく、こういうのは縁だからいつかビビッと来る物件に出会うだろうと思いながら1年くらい月日は流れていきました。
最初に六麓荘に興奮してしまったから、それがいけなかったのかと思い始めた頃に、運命は訪れたのです!
どうやら完全なるオトリ物件に、夫婦でホイホイひっかかった様でした。格安で広い土地のチラシ、え?この条件でこの値段?という感じのチラシでした。
まぁ、半信半疑で見に行くと、めちゃめちゃ狭〜〜い道路の先に崖っぷちの土地。西側がすこーんと抜けて見晴らし最高。緑もたくさん。よ〜く見ると遙か向こうにあべのハルカスが見えちゃったりなんかして!
夫が一瞬で気に入って、興奮してしまいました。するとすぐに不動産屋さんが「地質も分からないし、ガス、電気、水道も自分達でしなくちゃいけないし、土地も宅地ではないんです。難しい土地なんです。」
なんて言い出しました。
「え?」私はなんだかこの時、無性に腹が立ったんです。じゃあなんでチラシに載せたのか?まんまとおとり物件にやられて釣られた夫婦だったようです。
夫は気に入るとなかなか引き下がらない性格で(それで私という最高のパートナーも得た?笑)「絶対無理というわけではないですよね?」と食い下がってました。
「まぁ、絶対てことはないですけど、うちでは無理です」
なんてのたまう。よくよくその土地を見渡すと、フェンスの端っこに【競売物件】と書かれていて、どうやら土地の持ち主が、土地を国に納税したよう。
それからそのひとめぼれした土地を調べました。競売物件というのは提示された値段より1円でも高く入札したものが買う権利を貰える物件だと分かりました。つづく
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