「チョウゲンボウ」著者インタビュー03「意図していない出来事」を撮る
noteにて無料公開された野鳥写真集「チョウゲンボウ 優しき猛禽」
撮影当時の思い出話などを著者・平野伸明にお聞きしました。
第3回目、どうぞお楽しみください。
平野 伸明(ひらの・のぶあき)
映像作家。1959年東京生まれ。幼い頃から自然に親しみ、やがて動物カメラマンを志す。23才で動物雑誌「アニマ」で写真家としてデビュー。その後、アフリカやロシア、東南アジアなど世界各地を巡る。38才の頃、動画の撮影を始め、自然映像制作プロダクション「つばめプロ」を主宰。テレビの自然番組や官公庁の自然関係の展示映像などを手がける。
主な著書に「小鳥のくる水場」「優しき猛禽 チョウゲンボウ」(平凡社)、「野鳥記」「手おけのふくろう」「スズメのくらし」(福音館書店)、「身近な鳥の図鑑」(ポプラ社)他。映像ではNHK「ダーウィンが来た!」「ワイルドライフ」「さわやか自然百景」や、環境省森吉山野生鳥獣センター、群馬県ぐんま昆虫の森、秋田県大潟村博物館など各館展示映像、他多数。
→これまでつばめプロが携わった作品についてはこちらをどうぞ。
「意図していない出来事」を撮る
(平野)……さっき、どのシーンも欠かせないと言いましたが、写真集にできるかできないかは、ある出来事が一番大事だと思ってました。そのシーンが無いと本ができないと思っていたし、本にしたところで平凡な作品になってしまうと思っていました。
――その出来事とは何でしょう。
(平野)このシーンです。
▲メス同士が争うシーン
(平野)これが、自分が一番撮影したかったシーンです。他のシーンはある程度予測して、意図して撮ることができますが、メス同士が喧嘩するなんて、これは予測の出来ないことですから。こういう「意図していない出来事」を僕は狙っていました。
このシーンが撮れた時に、ようやく写真集が作れると確信しました。
だからあえて、このメス同士の喧嘩だけで1章まるまる使って構成したんです。この本の価値は、これに尽きる、くらいに思っています。
強かなメス同士の喧嘩
――メスの喧嘩のシーンを撮影した時の事を、詳しく教えて下さい。
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