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武蔵野の鳥と里山と/6月「見張り場のオオタカ」
「武蔵野の鳥と里山と」は、1999年に刊行された写真集「野に生きる鳥たち~里山の野生~」(武藤健二・著)をWeb用に再編集、加筆したものです。季節に合った写真を紹介していく予定です。どうぞ、お楽しみください。
武藤 健二(むとう・けんじ)
自然映像カメラマン。1958年生まれ。生まれも育ちも埼玉県所沢市。幼い頃は昆虫少年で、その後伝書鳩や小鳥の飼育を経て野鳥に興味が移り、高校生のころから野鳥の撮影に夢中になる。地方公務員として働く傍ら、主に野鳥を撮影し、作品づくりにいそしむ。地方公務員を早期退職後、本格的にプロの自然映像カメラマンとして活動する。映像制作会社つばめプロ所属。
「武蔵野の鳥と里山と」・・・はじめに
「里山」・・・都市郊外や農村地帯に広がる身近な自然。雑木林や田や畑、社寺林や屋敷林、小川や公園の緑など。手つかずの自然ではないけれど、私たちの心をなごませてくれるなつかしい自然。
私は小学校の頃は昆虫少年で、農家の裏庭の樫の木や桃畑、雑木林などでカブトムシやクワガタを採ったり、近くの田んぼでドジョウやザリガニ、カエルなどを夢中になって追いかけていました。
いつしか、自然の中で生きる野鳥たちの姿に惹かれるようになった私は、高校に入るころから写真を撮り始め、気が付けばもう40年以上。
「武蔵野の鳥と里山と」で紹介する写真は、1999年に出版した私の写真集、「野に生きる鳥たち~里山の野生~」に掲載されているものです。出版してから20年以上たち、今となってはもう見られない風景もあります。当時掲載しなかった写真も新たに加えつつ、少しのエピソードを添えてご紹介できればと思います。
見張り場のオオタカ(1998/6/8入間市)
ペンタックス645
ミノルタ600mmF4G ×1.4
F5.6 1/125 RMS(200)
梅雨に入る直前の6月上旬、オオタカは丘陵の尾根近くのモミの大木に巣をつくり、巣には3羽の雛が育っていた。
巣の周りに危険が無いか見張るための場所として、この枯れ木のてっぺんはちょうどよく、親鳥が好んでとまるポイントの一つだった。
私は、警戒されない十分な距離を取ってブラインドを設置し、オオタカが来るのを待っていた。待つこと2時間。オオタカのメスがついにやってきた。
見張り場にとまったメスは、しばらくすると上空を飛ぶカラスに警戒して翼を広げた。立派な体格をしたメスがさらに大きくみえた瞬間だった。
重い撮影機材を担いで山道をあがり、待ち続けた努力が報われた1枚だ。
▲同日に35㎜版のフィルムで撮影した写真(1998/6/8)
なお、撮影データのカメラとレンズの組み合わせは、通常ありえないものだが、特注したアダプターで繋げている。
フィルムに関する表記「RMS」はフジクローム「MS100/1000」の略称。マルチスピードのリバーサルフィルムで、現像時に感度指定でASA100-1000まで対応するフィルムだ。
当時は、同時に何本か撮った際に、1本だけ先に現像に出し、その仕上がり結果を見てから、他の撮影済みフィルムを適切な感度で指定して現像依頼するーーという方法をとっていた。
デジタルの今では考えられないフィルムならではの懐かしいやり方だったと思い出した次第だ。(文・写真・武藤健二)
▲見張り場近くにある巣 オオタカの雛たち(1998/6/15ごろ撮影)
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