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2回の延期後に完成した、アットホームな結婚式|新婦Hさん

「結婚式6月に延期(泣)(泣)(泣)」

2021年1月、中学の友人のグループLINEに友人Hから結婚式延期を知らせる連絡が入った。

ちょうど新型コロナウイルス感染症の「第三波」と呼ばれる感染拡大が起きた頃だった。2021年3月実施予定だった彼女の結婚式が6月に延期になってしまった。式の延期はこれで2回目だ。

「延期か~悩むよね」と、同じく結婚式の延期をしている別の友人からのコメントが続く。この新型ウイルスによって、20代後半の友人達はライフイベントの足止めを食らっている。

時は過ぎて2021年6月。
無事Hの結婚式は、新郎新婦の地元・茨城県で滞りなく執り行われた。新郎新婦二人の明るい人柄の表れた、雰囲気の良い結婚式だった。しかし、このご時世での結婚式にはたくさんの苦労があったのだろう。

二度の延期を経て行われた結婚式の裏側を聞いた。

<挙式までのスケジュール>
2019年6月 プロポーズ
2019年12月 式場を決定 2020年6月挙式予定に
2020年4月 2021年3月に延期
2020年1月 2021年6月に延期
2021年6月 挙式

「ほんとごめんけど……って参加を断ったのが一番きつかった」

彼女達たちの式では新型コロナウイルス感染拡大防止対策として、席の間隔を広げるべく参加人数を減らすことにした。当初は70人の招待予定だった人数を40人まで減らしたとのこと。結婚式を楽しみにしてくれていた大学の後輩や親戚の参加を涙をのんで断った。

こちらから参列を断ったばかりではなく、来場者側から不参加を申し出されたケースも。公務員や病院関係者の友人は職業柄、欠席となった。新郎の友人代表の方が来られなくなってしまい、急遽代理の方にスピーチをお願いしたというハプニングもあったという。

肺炎を患うHの祖父も不参加となった。咳き込む祖父を見て周りの人が怖がらないかと考え、式に呼ぶことは難しいという判断になった。祖父からは「結婚式がすべてじゃないから」というあたたかい言葉をもらったが、コロナ禍でなければ式に来られたのに……とHは悔しかったという。

また、延期をしたことで当初適用されるはずだった割引プランが適用外になってしまい、金額が15万円ほど上乗せになるという出来事もあったそう。


彼女に取材をしたのは結婚式を挙げて1週間後。
まだまだ式の余韻に浸りたい時期だろうに、ネガティブなことを思い出させてしまって申し訳ないなと感じていた時「これは結果的には良かったかも!」と彼女は明るい声で言った。

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結婚式の延期をしたことで良かったことが大きく二つあったという。

一つはお金の面だった。最初の挙式予定日から1年後に延期をしたことでお金をためる時間が増えたのだ。当初はご祝儀をもらってから入金と考えていたが、あらかじめ入金できるお金が手元にあることで心理的に安心感が生まれた。
最終的に払う金額は変わらないが、心理的に「もっとグレードアップしてもいいかも」と思えたため、心置きなくドレスが選べたという。

もう一つ、延期後の挙式の最大のメリットは、参列人数を絞ったことでアットホームな式場の雰囲気がつくれたこと。

人数を絞ったことで、来場者一人ひとりとの時間がたっぷりととれた。また、新郎新婦にとって本当に仲の良い人たちばかりが集まった式だったため「取り繕って話す必要がなかったから楽だった」と本音がぽろり。
参加人数を抑えたことによって、まるで全員が家族のような、和やかな雰囲気の結婚式が出来上がった。

参加した筆者にとっても、Hの結婚式で印象的なシーンがいくつもある。
リングの交換の際、Hが誤って左手ではなく右手を差し出し、笑いの渦に包まれた。
余興で弾き語りをするHの弟が「実は練習を4日前に始めました」と正直に申し出たとき、会場全体が「頑張れ!」と応援する気持ちになった。

こうした一体感は、新郎新婦が参列者みんなとたくさん会話をしてくれたから、彼女たちを心から愛する人たちが参列していたからこそ生まれたものだった。

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結婚式の効果は式の当日だけにとどまらなかったようだ。
新郎新婦の友人同士の交流が始まったり、普段インドア派の新郎が友人と連絡をとりあうきっかけになったり。結婚式を機に彼女の新居に遊びにくるようになった友人も。
「今回結婚式を挙げてみて、疎遠だった人たちを繋げることもできたかなと思ってる」と彼女は笑顔で言った。

2度の延期を経ての挙式は、彼女の祖父が言ったように「結婚式がすべてじゃない」ものとなった。結婚式をひとつの通過点として、二人の、参列者の人生が続いていく。

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