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心ぐちゃぐちゃモンダミンであるMouthwashingの実況を見た感想




※ガッツリネタバレしていますので注意してください!!!※










Mouthwashing、強烈すぎて精神崩壊するかと思った☆


発売以降、Twitter(現:X)のTLに鬱要素満載のファンアートが流れてくるようになってからとても気になっていた今作品。

レトさんの実況で見てみようと思いタイトルを読むと、そこには「食料が消毒液しかない宇宙船の中でどう生き残るのか」という旨の文言と共に達磨姿の包帯男が一人。何コレ絶対面白いやつじゃん。

そんな軽い気持ちで再生ボタンをポチったが、まさかここまで心をぐちゃぐちゃにさせられるとは思わなかった。

なので今回は皆さんにも布教して同じような思いをさせたいと考えたので、この記事を書きます(最低)





登場人物は5人で、彼らは宇宙船で貨物を運ぶお仕事をしている。ちなみに会社は超ブラック。

船長のカーリー、副船長のジミー、船医のアーニャ、エンジニアのスウォンジー、エンジニア見習いのダイスケ。

主人公は副船長のジミー。たまに操作する視点が船長のカーリーに変わったりもするけど、全体を通した主人公はジミーになる。


ゲーム序盤、船長のカーリーはわざと隕石に機体をぶつけて大怪我を負う。全身の皮膚は剥がれ呼吸をするにも鎮痛剤が無いと満足に行えない体になってしまった。
なぜカーリーがそんな行動に出たのかは、序盤では知ることができない。

船医のアーニャが定期的に船員の精神鑑定を行っていたことから、恐らく何かしら精神に問題を抱えていたのだろうか?アーニャから精神鑑定を受けている際にも「眠れていない」と発言していた。


コックピットに向かうまでの道のりも、カーリー視点だと酷く可笑しな道になっている。
廊下はずっと長いし、コックピットの扉を開けたと思ったら空に”warning”と無数に書かれた血の池地獄みたいなところに落とされる。いかにも精神異常者が見る夢のようだった。


船長であるカーリーが何らかの理由で狂ってしまった為に、今回の衝突事故が引き起こされたのだと思っていた。













…しかし、物語を全て見るとその考えが的外れだったことが分かる。



船を衝突させた犯人は船長のカーリーではなく、副船長でありカーリーの親友であったジミーだった。

親友であるカーリーに対しずっと劣等感を抱いていたジミー。なんでも周りに頼られて、船内唯一の女性であるアーニャからも慕われていたカーリーに対する嫉妬は止まらなかった。


会社からカーリー以外の社員に解雇通知が出された時、ジミーはもう自分に歯止めをかけることができなかった。勝手に操縦を操り隕石に機体をぶつけ、衝突を回避しようとして大怪我を負ったカーリーにすべての責任を擦り付けた。


満足に呼吸すらできなくなったカーリーに変わり船長代理を務めたはいいものの、今まで全てカーリーに頼ってきたジミーがこの土壇場で力を発揮するわけもなく。

「俺が何とかする」というカーリーの口癖を借りてはいるが、肝心なことは全て船員に任せっきり。その人任せが原因でダイスケは命を落としてしまった。

最後には謎の友情と偽善を自己満を振りかざし、息をするのも苦しいはずのカーリーを生命維持装置に入れ、自身はその前で拳銃自殺を図った。正真正銘のクズ人間じゃねぇか。



今思えば不自然な点はいくつもあった。

一番最初に船を激突させた際、私たちが操作していた人物は操縦席である右ではなく、副操縦席である左に座っていた。

カーリーに飲ませる鎮痛剤が残り少ないのを見て、ジミーは「これが無くなったらカーリーを黙らせる術を失う」と一人焦っていた。

アーニャがカーリーを「船長」と呼んだ時、ジミーは「カーリーだ。今は俺が船長なんだから」と強めに訂正させる場面があった。

思い出せばキリが無い。
実況を見ていた私も「なぜ代理で船長をしているだけなのに、そこまで役職に拘るんだ?」と疑問に思っていたけど、全て見た後なら辻褄が合う。




そしてさらにジミーのヤバい所は、アーニャと同意なく交わっていることである。塵野郎かな?

アーニャは最初、妊娠していることを船長であるカーリーに告げた。その事実を知った時、カーリーはひどく動揺した様子だったが、一度ジミーと話し合うようにと彼女を説得する。

今思うと、カーリーもなかなかアーニャに対して酷い対応をしているな。自身の親友がアーニャと同意なく交わったと分かっていたのに、結局彼はその事実を強く親友に話すことをしなかった。その時のアーニャの絶望は計り知れない。

案の定妊娠している事実を聞いたジミーはアーニャを置いて無言で部屋を出ていった。クズすぎ~~!

船長も助けてくれず、自身を犯した相手も責任を取るつもりがないのであれば、アーニャは自身と子供をその身一つで守らなければならない。だからこそ彼女は銃をセーフティーケースに隠したのかな?

アーニャがジミーを必要以上に煽てたりする理由も自己防衛からくる手段だったんだろうな。
無理やり襲ってくるような男だ。もし怒らせようものなら何をしてくるかわからないもんね。



ジミー視点で船内のダクトをさ迷う時、ダクト出口に「責任から逃げるな」と貼り紙があった。

ジミーを操作するプレイヤーは、その貼り紙を見ながら後退ることで次のステージに移動できる。

でもこれって、ジミーがアーニャの妊娠や船員を殺してしまった責任から逃げているということをプレイヤーに伝える暗示だったのかな。



ジミーの精神世界(?)にアーニャが一切出てこないのも腹が立つ。

彼女に対しては何の罪悪感も抱いていないし、ただ自分の欲を満たして煽ててくれる都合の良い道具としか思っていないんだろうか。
船員でも、とりわけアーニャに対しては当たりが強かったし。
「何かあったら俺を頼れ」「俺が何とかする」とほざいておきながら、いざ彼女がジミーに頼み事をすると嫌味で返す。

じゃあどうすればいいんだよ!?




一方でダイスケとスウォンジーの関係性はすごく泣けた。

打算的に見るのではなく、純枠な尊敬の眼差しで自分を見てくれるダイスケ。どんなに突き放しても己の後をついて回り、必死に技術を磨こうと奮闘するダイスケを間近で見てきたスウォンジー。きっと彼を実の息子の様に思っていたんじゃないのかな。

審判の際、スウォンジーがダイスケのことを「忌々しい日差しみたいな奴」と表していて涙が出そうだった。
そうだよなぁ。どんなに冷たくあしらっても変わらずに尊敬の眼差しを浮かべ笑ってくれるダイスケは、スウォンジーから見たらまさに日差しだよなぁ。遮っても遮っても、隙間から差し込んでくる光だったのかぁ(号泣)

ダイスケもスウォンジーの人柄を良く理解していた。スウォンジーと共にいた時間は恐らくジミーの方が長かったのに、彼はスウォンジーの優しい人柄には気づけていなかった。

危険だからとダクト内の仕事は全て自分が受け持ち、まずエンジニアの基礎から教え、怪我をする恐れのない消火剤の点検や機械整備をさせていたんだろうね。そしてそれは、ダイスケ本人も分かっていた。スウォンジーが意地悪で仕事を教えないのではなく、自身が出来る範囲の仕事から教えてくれているんだということに。


…マァそんなスウォンジーの小さな思いやりも、ジミーが全て台無しにしてしまったけど。

危険だからとスウォンジーが遠ざけていたダクトの仕事をするようダイスケに命じ、渋る彼を「船長命令」という言葉で縛り無理やり仕事を実行させた。

案の定ぶっつけ本番で出来るはずが無く。

大怪我を負い苦しそうに呼吸を繰り返すダイスケにお決まりの「俺が何とかするから」という上っ面だけの言葉を投げ、殺菌効果が全くないと序盤でアーニャが言っていたマウスウォッシュを彼にかける。
話聞いてた!?意味ないんだよ馬鹿!!

見かねたスウォンジーはダイスケに目を閉じるように告げ、自らの手でその命を終わらせる。

悲しすぎる。マジでジミーは戦犯どころじゃない。こいつだけ宇宙に放り出したい。


スウォンジーが入り浸っていた作業室に一つだけ残されていた生命装置を見て、レトさんが「これ、本当はダイスケに使おうとしていたんじゃないの?」と言っていたけど、確かになぁ。

あれだけ可愛がっていたんだし、老い先短い自分よりも船内で一番若者でまだ未来があるダイスケに入ってもらいたかったのかなぁ…。(嗚咽)




ジミーはクズ人間だけど、彼がこうなってしまった原因の一端にはポニー運送も関わっていると思う。
一端と言っても小指の爪程度だが。


タルパ号では、些細な物ですら船長の許可がないと使用することができない(砂糖、斧など…)

だから船員はおのずと船長であるカーリーを頼ることになるし、人が良いカーリーはそれを拒むことなく受け入れる。会社からの無理難題に加え、船員たちのフォローや頼みも叶えなくてはいけない。

カーリーはそれが原因で少しづつ精神を病んでいったけど、彼は隠すことが非常に上手だった。
だからこそ身近でカーリーを見てきたジミーはその精神状態に気付けなかったし、なんだったら「お前ばっかり頼られやがって!」という醜い嫉妬を拗らせることになる。



それでも。ポニー運送の船長中心の業務形態があったとしても。この悲劇を生んだ一番の原因はやっぱりジミーの性格だろう。

人の評価ばかりを羨み、ないものねだりな行動を起こしたジミー。責任を負う覚悟もないくせにカーリーから船長の座を奪い、上っ面だけの言葉と行動を繰り返す。

カーリーの足を切る時も。スウォンジーを拳銃で撃つ時も。
全部プレイヤーである私たちに操作させていたくせに、自分が善行だと思い込んでいる「カーリーを冷血ポットへ入れる行為」はプレイヤーに操作させるのではなくジミー本人が行動するの、本当にクソ野郎だと思う。

やっぱり全部こいつのせいかもしれない。



ジミーがカーリーに対し「マジですまない!」という謝罪をしているのを見て、謝罪の言葉軽すぎワロタ、なんて思っていたけど、今思えばこれも心からの謝罪じゃないからかな?

そもそもジミーが謝ったカーリーも、ジミー自身が作り出した幻影でしかないし。





口の中に嫌な後味が残る、そんなゲームだった。今度機会があれば自分でもプレイしてみよう。


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