『「ひとりで生きる」が当たり前になる社会』中野信子・荒川和久
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以前から脳科学者の中野信子さんの本のファンです。本書では
「2040年、独身者が日本人口の5割に、既婚者は3割になる」
という統計から見えてくることを、中野さんと独身研究の一人者で知られる荒川和久さんが対談されています。
私の特に印象に残った所を紹介します。
①2019年、イギリスのBBCが「日本人のソロカルチャー」というテーマで番組を放送する際、荒川さんも取材されたとのこと。
イギリスは「孤独担当大臣」(英語でMinister for Lonelinessですね。たまに新聞で見かけます)というポストを作り、「孤独=社会問題」と考えがちな文化土壌がある。
ところが上記の番組を放送し、日本の「一蘭」のような、一人一人仕切りがあって店員さんと会話しなくて済むラーメン屋さんなどを紹介した所、イギリス人から
「私も日本に行きたい」
「俺もこんなふうに一人でご飯を食べたい」
と、大きな反響があった。
「一人でご飯を食べている人=寂しくてかわいそう」と決めつけるのは、考え方が狭いのでは?
大勢の友達に囲まれていても「自分は孤独」と感じている人も確実にいるのに・・・と二人が指摘。
また、中野さんがフランスに住んでいた時、高級レストランに一人で入ることができず、わざわざ男友達に頼んで一緒に入っていたというエピソードも。
似たようなケースで、アメリカの高校生は、prom(男女で行くダンスパーティー)があって大変だなぁ…と思ったことがあります。
よく「日本人は集団主義で、欧米人は個人主義」と一般論のように言われるが、日本人の方が一人で自由に行動できるのでは?・・・と分析されていました。
一方、日本・韓国・中国・アメリカの4か国の高校生にアンケート調査をした結果、
「友達に合わせていないと心配になるかどうか?」
の質問にYESと答えた高校生は、アメリカ人が一番多かったとのこと。
実はアメリカ人の間でも、同調圧力が高い、というのは、面白い指摘でした。
私自身は、家族や友達と大勢で食卓を囲むのも好きだし、一人で牛丼やラーメン屋お寿司を食べにいって、カウンターのお店の人と会話するのも好きです。
「一人でご飯を食べている人は、かわいそう」と思う人もいるようですが、それはちょっと変だと、個人的には思います😅
日本には「一人・焼肉屋さん」というコンセプトのお店もあるそうで、今度、ぜひ行ってみたいと思っています。
②Nudge(ちょっとしたきっかけを作って良い行動を促すこと)
シカゴ大学リチャード・セイラ―教授による行動経済学に基づいた戦略。
便器の真ん中にハエの絵を描いたら、男性がこの絵をめがけておしっこをし、お蔭でおしっこが飛び散らなくなって、トイレ清掃費を8割節約できたという有名な話があります。
この話に関しては、いろんな人がいろんな分析をしているのを読んだことがあり、「男性は獲物めがけて集中する能力に優れる」なんて結論を出していた人もいました。
中野さんと荒川さんの結論は
「人は受け身的な人が7割で、基本的にはnudgeがないと動かない」
という興味深いもの。
たとえば日本の昔話は、「鶴の恩返し」をはじめとして、女性の方から押し掛けるのが圧倒的多数。男性からプロポーズする物語はほとんどなく、男性から告白する文化は「ねるとん」(1987~1994年のテレビ番組)で初めて形成されたそうです。
(ここは「えー!そうなの〜?」と笑ってしまいましたが…🤣
たしかに、これまで、日本人男性と結婚(または交際)している欧米の女子の友達から
「日本人男性は、ちゃんと告白してくれてロマンチック。欧米では、気が付いたら、ある日突然付き合っていた、というのが当たり前」という話を、数人から聞いたことがあります。)
③核家族と都会化が進み、近所づきあいなどもなくなっていく中、子育てを助けてくれるコミュニティとしてネットの役割が期待されているが、Twitterなどで人を攻撃する機能が暴走しがち。
人を誹謗中傷し苦しむところを見て快感を感じることを、脳科学用語で「シャーデンフロイデ」と呼ぶそうです。
これに関してはどのように対処すべきか、自分自身も学びを深めたいと思っています。
①②③以外にも、面白くて「なるほど~!」と思う学びがたくさんありました❣️
中野さんの本はだいたい面白いですが、これも気に入ってしまいました。
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