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音もなく忍び寄るもの、それは気づけば体に纏わりつくもの
「前を失礼しまーす!」
お参りに来てくれたお客さんたちにお茶を出すのが下っ端の仕事。
すなわち、私の仕事。
田舎のとある集まりで下働きに精を出す。
料理も下手、口下手な私にできるのはお茶を出すことと、片付けをすることくらい。
時間が迫るにつれ、人が増えてくる。
密集する室内。
滲み出る汗。
今来たお客さん、どの人???
なんとかお客さんに近づき、膝をついてお茶を出す。
「お茶をどうぞ」
「ありがとう」
なんとか目的のお客さんにお茶を出すことができ、ホッと一安心。
「失礼します」
立ち上がって部屋から出ようと隙間を縫う。
「前をすみません」
なるだけ人様の邪魔にならないよう、さっと部屋を出るつもりだった。
ガンッ!!!
長テーブルの角にぶつかった。
脛が。
痛い!!!……けどそれどころじゃない!!!!!
その後もなにか運んだあと、誰かの後ろを静かに通り過ぎようとすると、結構な頻度でなにかぶつかってしまう。
これは……
認めたくないけど、自分で思っている幅と実際の幅に誤差があるってコト?
最近身に覚えのない青あざがやたらと見つかるのもこのせいなのでは!?
そう、認めたくはないが、どうやら私は自分の幅が認識できなくなるほど育ってしまったらしい……
らしい……じゃないな。育ってしまった。
これでは痩せ型の夫と並ぶと、ますます私がご飯を食べさせてないみたいに見えるじゃあないか!
誕生日プレゼント、ダンベルとベンチ、リクエストしようかな(泣)