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葉巻+

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■この記事は2024年5月開催されたイベント「第7回A40」において、サークル遊嬉楼の同人誌にのせた記事二本のうち一つ目を整形、再編集したものです。前回の葉巻回に追加として細巻きを扱いました。丁度執筆期間中に持病による体調不良となぜか起きる連日の過密行事により全く筆が進まず、予定話とは別に掲載に備えたこの短編を仕上げひたすら体調の回復を待った記憶があります。
今回の冊子にはREN氏の煙管を嗜む妖艶な女性の表紙や挿絵、フランコ・ロッソ氏の創作昔話、ジャイアントロボにまつわる艶話といった素晴らしい作品がありとても充実した内容でした。

         葉巻+

                      Kaname Tsubaki

・久方ぶりにお会いする親愛なる愛煙者諸氏へ
 ごきげんよう。その後葉巻は如何であろうか。儚き煙を愛する皆が思いのまま楽しまれて居れば幸いである。
 前回において、葉巻喫煙に至る道筋はおおよそ述べることができたと思う。そこでまず今回は、補足として手頃な値段とサイズで求めやすい細巻きについて少し話をしてみたい。

・細巻き?
 いま「細巻き」と、とりあえず呼んでみたがコロナやロブストと言ったいわゆる通常の規格より細く短く巻かれたサイズの葉巻とイメージして欲しい。
 一般にはクラブサイズやシガリロ、リトルシガーなど様々な呼ばれ方をするが、それぞれの指し示すサイズや区分が曖昧で(国内だけかも知れぬが)付けられている名称は商品ごとにバラバラである。
 故にここでは短時間手軽に楽しめる、上記のような小サイズ葉巻を便宜上細巻きとして呼び扱うこととする。

・実物は?
 店頭に並ぶものとしてはだいたい箱入り5本¥900、20本¥2,000前後くらいがよく見られ、ほとんどが一枚巻きではなく中心に刻んだ葉を使うマシンメイドで温湿度など保管にあまり気を使わなくてよいものが多い。

・どんな時に?
 店頭には立派で上等な葉巻があるのに何故これをわざわざ購入し吸うのか。理由は色々考えられるが、概ね通常サイズを嗜む時間や落ち着いた状況は取れないがほんの少し葉巻の香りを楽しみたい時にこのサイズが便利、というものだろう。確かに吸口も切ってありすぐ火をつけられ、5~15分程度で吸い終えることができるのでちょっとした休憩には便利である。また、キューバ産ハバノスなどの高級銘柄を手軽に試してみたい、といった向きにもうってつけである。

・実際どう?
 このように細巻きは、初心者にとって価格も手頃で扱いも簡単と良いことづくめだ。が、その細さゆえ吸い方に注意が必要で雑に強く吸い込むとすぐに過燃焼を起こし、エグ味ばかりが強い全く酷い味となるので初心者には些か勧めにくい面もある。特に直径が5mm程のごく細いものはよくよく気をつけて吸わないと、辛くイガイガした煙ですぐに咳込んでしまうこと必定である。

・コツは?
 「匙の熱いものをほんの少量をすするように」。巷間の喫煙指南情報を覗いた経験があれば一度は目にする呪文であるが、今回もこれに従い静かにゆっくりとごく少量、一口ずつ煙をソロソロと吸い含んでいくが覿面である。この辺の感覚は、既にパイプを嗜んでいる御仁ならば十分に心得ておられると思う。

・注意?
 その他細かな点としては短時間で手軽に吸えるといえども葉巻であることには変わりなく、喫煙に際し出る煙は匂いが非常に強い。狭い閉鎖スペースである喫煙所で吸えば紙巻きしか嗜まぬ者からは苦情の類がでる可能性もあり、いくら喫煙可とされていても人の多い場や理解を得られぬ所では火をつけぬが無難であろう。

・終わりに
 最後に初心者への私のおすすめをいくつか記して、今回の細巻きについては終えたいと思う。前回記事で既に葉巻購入の手順は押さえてあるので、後はそれに従って以下の銘柄を通販で探すか店舗で訊ねるだけだ。箱入りだけでなバラでの販売もしている場合もあるので、購入本数はその時の懐具合で選べばよい。また、あくまで個人の嗜好による感想でしか無いのでご参考までにとお断りをしておく。

・私的おすすめ
  MARIPOSA(マリポーサ):国内で日本人向けに開発されたものゆえ甘めでまろやか、香りも程良く万事控えめで初心者にも吸いやすい。流通が整いとても手軽に買える上、品質も安定しており素晴らしい。蝶のバンドが可愛らしい一品。
  PARTAGAS・SERIE(パルタガス・セリー):深いコクのある味、香り共に素晴らしく、手頃な値段でバランスよくキューバを味わえる名品。私のお気に入りでもある。

  ROMEOYJYULIETA・Mini(ロメオイジュリエッタ・ミニ):かなり甘みの強い味と香り。万人にすすめられる有名キューバブランドである。甘すぎる香りによって好みが分かれるかも。

  COHIBA・Club(コイーバ・クラブ):吸わない人でも一度は聞いたことのあるであろう超有名ブランド。近年はかなり安定して入手できるようになった。土の香りが強めでいかにもキューバな逸品。

  TRINIDAD・SHORT(トリニダッド・ショート):コイーバの上位ブランドでありただひたすらに美味しい。しかしかなり小さなサイズに反しブランド相応の高価な品で、こればかりは私もバラで買うことが多い。一本¥240也。

  E-NOBEL・Petit(ノーベル・プティ):最近立ち寄った店に聞くと結構人気があるらしく種類も複数ある。デンマーク製で細さの割に吸いやすい。

  GUANTANAMERA・MINI(グアンタナメラ・ミニ):細目で箱の本数も多いが雑に吸うとエグ味が強くでる。これを巧く吸えればキューバの香りを非常に手軽に楽しめる。

  ALCAPONE・POCKETS(アルカポネ・ポケット):長さ5cmほどでとても小さいが、特有のすっきりした甘さと香りが素敵なドイツ製。非常にマイルドで吸いやすく、なにより味にばらつきが少なく安定した品質が素晴らしい。丁寧に吸えば10分近く楽しめるし、ShortPeace大のソフトケース入りで携帯もしやすい。オリジナルの他にもフレーバーが数種ある。
 そういえば、大分以前になじみの店でこれを安物とこき下ろし笑った自称通人がいたが、彼が去った後に店主と二人で「こんなにお手頃で美味しく便利なものもないのにね」とうなずきあったことを思い出した。

                           以上
  諸兄、よき葉巻を愉しまれたし。


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