
人生に疲れた限界社会人、他人の勘違いに便乗してクソどうでもいい嘘をつく〜来世は金持ちの家の猫になりたい〜
私には「他人の勘違いに便乗してどうでもいい嘘をつく」という悪癖がある。
嘘の内容は本当にどうしようもないものばかりだが、誰かを傷つけるような嘘はつかない。また、自発的に嘘をついてしまうと歯止めが効かなくなる気がするので、他人の勘違いに便乗するだけに留める、というマイルールがある。
この2つのルールを守ることで罪悪感を抱くことなく嘘をつけるような気がするのだ
ネイルサロンで職業詐称
ある日、ネイルサロンでお姉さんに爪を可愛くしてもらっていたとき。「お仕事何されてるんですか?アパレル系?」と合コンのテンプレのような質問をされた私はなんてことない顔で「ん〜まあそんな感じです」と息するように嘘をついた。
「在庫管理とか大変そうですよね」と話を続けるお姉さんに「詳しいんですね、アパレルのお仕事されてたんですか?」など適当な相槌を打ちながら、アパレル系の仕事をしている自分の姿を想像する。新作のワンピースに身を包み接客する私、マネキンに着せる服のコーディネートを考える私、売り上げに一喜一憂する私。頻回なナースコールに振り回されたり患者からの暴言暴力に疲弊したり常にモニター音の幻聴が聞こえたりしている現状とは正反対の華やかな世界。華やかなだけではないのだろうが、叩かれ抓られながらウンコまみれのオムツやシーツを交換したり高圧的な生活保護受給者に「お前らの給料誰が払ってると思ってんだ!言うこと聞けよ!」と怒鳴られたりパシられたりしないというだけでキラキラして見える。
夢想しつつ適当な相槌を打ち会話を続けているうちに、仕事の話から好きな服の系統の話になりネイルサロンを出た後に買い物に行くということになり夜は友達とディナーをするということになった。実際は家に帰ってダラダラと怠惰に過ごすだけなのだが、ネイルサロン→買い物→ディナーというスケジュールで過ごす自分を想像し少し心が弾んだ。
アパレルショップで行き先詐称
彼氏の誕生日。その日はラグジュアリーホテルに宿泊し夜はホテル内のイタリアンレストランで食事をする予定になっていた。当日、行き先を知った彼が「もう少し良い服を着ていきたい」と言い始めたのでチェックイン前にアパレルショップに立ち寄り、ジャケットとパンツを購入。彼氏が試着室で購入した服に着替えている最中、店員さんに「結婚式の二次会か何かですか?」と聞かれた私は「そんな感じです」と答えた。ホテルから提示されたドレスコードに合わせた服装は確かに結婚式の二次会に見えなくもない。パーティなら荷物は少ない方が良いだろうという店員さんの配慮で着てきた服は自宅に郵送してもらえることになり、私たちは手ぶらでホテルにチェックインすることができた。
ごめんなさいお兄さん、お店を出るときに笑顔で「楽しんできてください」と送り出してくれた貴方のことは忘れません。人生初のイタリアンのコース料理はめちゃくちゃ美味しかったです。
嘘というか
こんな具合で他人の勘違いに便乗してクソどうでもいい嘘をついています。誰かを貶めるようなものではなくて、もしかしたらこうだったかもしれないというifの世界を楽しむための手段です。どうしようもないくらいストレスが溜まってしまったら、私はこうして現実逃避をしてやり過ごしています。
でもやっぱり「嘘は嘘でも〜」とかなんとか言いながら「悪いものじゃないんですよ」と弁明に近い文章を書いてしまうので、心のどこかで罪悪感を感じているのかもしれません。
人間社会、ムズすぎる。