臨川茶室方丈日記 「山」 2021.9.15
日が高いとまだまだ陽射しが強いのですが、すうっと吹いてくる風は、もう秋の気配を運んでいます。
埼玉県八潮市、吉田普彩先生茶道教室へ、
今日は、九月最後の私の臨川茶室でのお稽古でした。
本日の掛け軸 「山」 、
尼僧のお筆によるものです。
お寺をお山とも呼びます。
普彩先生が生まれ育った金沢の城は、もともとは一向宗の拠点、信長に攻め落とされ、秀吉より前田利家に与えられ、金沢城として加賀百万石の繁栄を築きました。
一向宗の勢力を恐れ、信仰から目をそらすため、伝統工芸品やお茶・お花・お能などの芸能が盛んになりました。
古の呼び名で、金沢城をお山とも呼んでいたそうです。
日本の文化芸能には、禅が深く関わっています。
掛け軸「山」は、お寺。
臨川茶室は禅を習い稽古するところ、お寺であり、お山です。
少しづつ山深く分け入るように、茶の道にも分け入って行きます。
今日、稽古する私の漫然とした手もとの一つひとつに、先生の厳しい声が飛んできました。
その先生の声や魂魄から、私に垣間見えたものは…
そこは、
天と地の間のすべてと、そのままの小宇宙、
陰陽の理や様々な比率や法則が連面と合して、
主客と、人と物事が和して、仙薬を喫する。
遥かなるお山を仰ぎ見ながら、深遠な真理の世界に、僅かに一歩足を踏み入れたような、
武者震いがいたしました。