脱炭素情報#20 クリーンエネルギー戦略⑥(2022/3/1 第4回委員会)
今回は継続して内容を追っているクリーンエネルギー戦略関係の委員会が開催されたようなので、その委員会資料から議論の進捗を確認したいと考えました。過去5回分の記事につきましては、本記事の下部にリンクを掲載しておりますので、もしよろしければ先にご確認いただければと思います。
第4回 2050年カーボンニュートラルを見据えた次世代エネルギー需給構造検討小委員会
1.資料1 「エネルギーを起点とした産業のGX(グリーントランスフォーメーション)について」(事務局提出資料)
まずは資料1からみていきたいと思います。本資料ではエネルギーを起点としたGX(グリーントランスフォーメーション)を進めていく際にどのような戦略や技術が必要かという内容となっております。
今回は技術がCCSとネガティブエミッションの2点であったため、そちらを見ていきたいと思います。(ちなみに戦略は自動車と原子力の2部門について記載されています。P28に記載がありますが、日本全体の水素STは令和3年12月現在で169か所のようです。2030年目標の1,000か所はなかなか遠い道のりで変わらずのようです…)
CCSについては、第一回CCS長期ロードマップ検討会と同じような資料に見受けられました。
1点注目したのは、新規スライドに見受けられる第一回検討会の意見のスライドになります。③においてはCCSを実施するためにカーボンプライシングの制度設計を進めていくのは違うのではという意見が出ているようです。これは記載の通りではないかと感じました。日本の様々な産業において適用される炭素税や排出量取引等カーボンプライシングの仕組みの中で、CCSもそのひとつであるということが重要に感じました。同様に、④に記載されている経済的インセンティブというのも重要だと思います。
次にネガティブエミッションの章になります。これはグリーンイノベーション戦略WGの資料が多く使用されているようです。
P74にネガティブエミッション技術の施策の方向性の記述がありました。注目したのは、VCC(Voluntary Carbon Credit)市場でのネガティブエミッション関連クレジットの取り扱いになります。
以前上記の記事の中でも記載しておりますが、現時点ではクレジットの取り扱いについてまだ定まっていない状況となっております。
上記のようにBCG社の資料が引用されておりますが、現状の相対取引から今後は株式市場のようなプラットフォームが形成されていくような内容となっておりました。このあたりは日本国内ではまだこれからの分野の気がしますが、海外ではスイスのSouth Pole社などが取り組みを進めている印象があります。
2.資料3 「カーボンニュートラル実現に向けた国際戦略」(事務局提出資料)
資料3も見ていこうと思っていたのですが、なかなか文量も多くなってきたため、1スライドだけ注目したいと思いました。
P16にCN実現に向けたアプローチで欧州とアジアは取り組みの手法が異なる旨が掲載されています。欧州は再エネの導入が進んでいるためそれに寄り添う形でのエネルギー転換が必要、一方アジアは全般的に取り組みが進んでおらず多様なアプローチが必要という形になっています。
アジアはCCSなど直接削減を目指す手法が望ましいように感じており、その一方で欧州は再エネ活用でGHG削減は進んでいることから水素や蓄電池の導入を補完的に進めていく方が親和性が高いように考えました。(そうはいっても欧州はCCSの取り組みが進んでおり、全般的に抜きん出ている印象ではあります…)
今回はここまでになります。委員会資料の記載が多様化しており、やはり継続的に情報をフォローしていくことが重要に感じました。(最近週1でしか更新できていないので、回数は増やしていきたいところです…)
引き続きフォローいただけますと幸いです。