第4回 CCS長期ロードマップ検討会(経済産業省、2022/4/20)
ついにCCS長期ロードマップ検討会の第4回が開催されました。月1回の頻度で開催されており、今回も引き続き内容を確認していきたいと思います。
過去の開催分の内容については、もしよろしければ以下をご確認いただけますと幸いです。(今回の資料内にも過去開催分の振り返りのスライドが含まれております)
第4回 CCS長期ロードマップ検討会
今回は資料3が「CCS長期ロードマップ骨子(案)」という形になっており、この資料を見ていきたいと思います。
P1にはスケジュールの記載がありますが、今までの議論を含めて今回でCCS長期ロードマップの骨子を検討して、来月中間とりまとめをクリーンエネルギー戦略に反映。別途、今年中に最終とりまとめに進む形となっております。
また、P2-4にはこれまでの過去3回の議論内容の概要が記載されておりました。
そしてP6には基本理念と骨子の案が記載されています。ポイントは2点あるように感じました。1点目は定量目標として2050年の1.2-2.4億トンの貯留に向けて、2030年開始を政府としてコミットという部分です。あと8年の間に適地を見つけて、貯留を行う必要があるという形になっています。2点目は、CCS事業・国内法検討WGとCCS事業コスト・実施スキーム検討WGの2点のWGの新設でしょうか。この2つのWGは引き続きフォローしていきたいと考えております。
そして、P7には具体的アクション5点の記載がされています。法制度整備、コスト低減、政府支援、アウトリーチ活動、海外CCS事業の推進とどれも重要な論点ですね。各項目の内容は別途見ていきたいと思います。
P8にはスケジュールの記載がありました。特記としたいところでは、2022-2024年で法整備の完了、2030年操業開始、2030年以降にはOPEX支援の記載があるというところでしょうか。
それでは先ほど定義された5つの具体的アクションのスライド内容をみていきましょう。
①CCS事業実施のための国内法整備に向けた検討
課題の記載は4点となっており、「地下の権利の所在」、「法的責任の明確化」、「貯留層の管理」、「海外輸出におけるロンドン議定書の担保」となっております。個人的な注目ポイントとしては、2点目の「法的責任の明確化」になるかと思いました。以前より記載をしておりますが、日本は他先進国と比較して長期的責任の移管は無限責任の状態となっており、ここがどのようになるかで事業者の事業の実施しやすさが変わってきます。
②CCSコストの低減に向けた取組
CCSは分離・回収、輸送、貯留の大きく3セクションに分かれますが、海外で進んでいるPJはインセンティブがあって成り立っている側面があります。よって、今後のCAPEXとOPEXのコスト低減は大きな論点になりますね。特に輸送の部分については今後の船舶の開発が気になるところです。個人的には、貯留の部分に光ファイバーでの監視について記載がありますが、文章がいいところで切れておりどのような技術か気になりました。
③CCS事業への政府支援の在り方の検討
3点目はCCS事業のビジネスモデルイメージですね。これはOPEXとして一定額のFeeを支払うモデルとなっており、輸送および貯留事業者が公共事業のような形になっていますね。これ以外にもGXリーグの開始も予定されていることから、カーボンクレジットを有効活用するようなスキームも考えられそうです。
参考資料となっていますが、P22の資料は個人的に1番良いと思えた資料でした。第3回のRITE資料を加工したものですね。これは先進国のインセンティブがわかりやすく、各国でCAPEX+OPEXの支援が行われており、支援全体の補助率もほぼ100%です。現在はこのくらいの支援が必要ということがわかりますね。
④CCS事業に対する国民理解の増進
4つ目はアウトリーチ活動についてですね。日本における苫小牧の実証事業は周辺住民の理解もあり実証実施に至っておりますが、CCS実施において居住地の近くにCO2を圧入されるとなった際の地域住民の理解はとても重要な項目かと思います。
⑤海外CCS事業の推進
最後の5点目は海外CCS事業の推進です。CCS事業にどのようなファイナンススキームを適用するか、JCMクレジットを適用する際のルールメイキングは事業者が事業実施する際の経済性でとても重要になってきますね。
P34に記載の海外へのCO2輸送は特に重要な論点と考えております。東南アジアは近隣のため有力な地域ですが、フィリピンのみしか締結国ではない状態ですね。
今回はここまでになります。今までで1番長い記述になった気がします。夕方の2時間がいつの間にかどこかにいきました…。次回の第5回は5/11開催予定のようなので、またチェックしたいと思います。引き続きフォローいただけますと幸いです。