脱炭素情報#10 クリーンエネルギー戦略③(水素)
今回は前回、前々回に引き続いてクリーンエネルギー戦略になります。
前々回は概要、前回はアンモニアについて記述させていただきましたが、今回は水素になります。水素はP51-59に記載があります。
脱炭素情報#10 クリーンエネルギー戦略③(水素)
上記スライドに記載されておりますが、現状のビジネス環境としては、グレー水素がベースになります。また、水素についてはサプライチェーンは製造、貯蔵・輸送、利用の3段階に大きく分けられますが、このサプライチェーンをどのように形成して、大型化及び展開していくかが重要になります。
GX分析例のスライド内にて注目したいのは、「海外プレイヤーの動向」の部分の記載になります。海外輸送技術については世界初の液化水素運搬船である川崎重工社のすいそふろんてぃあ、有機ケミカルハイドライド法を用いたSPERA水素システムの技術をもつ千代田化工建設社があり、水素発電についてもNEDO事業で川崎重工社と大林組社が水素専焼ガスタービンの運転に成功させるなど日本勢が一歩リードしている印象をもちます。
その一方で、「欧州などは水電解装置の技術開発・実証に注力」という文言には注目したいと感じました。
以前の上記記事内で記述させていただきましたが、IEAのGlobal Hydrogen Review 2021においては、将来はブルー水素と電解水素の2つが大きな比率を占めるという見解がありました。
よって、電気分解装置の技術開発はかなり将来を見据えると重要になります。それではどのくらいのコストを目指さなくてはいけないのでしょうか。
上記の通りですが、CAPEXとして2020年に約1,000-1,800USD/kWから2030年には400-600USD/kWを目指す形になっています。例えばNZE Scenarioでは2030年に400USD/kWを目指す必要がありますが、もはや相当なイノベーションが必要なのではないかと思慮してしまいます…。
よって、日本としてもこのあたりに相当程度の投資が必要になります。日本の水素の重要な戦略拠点である福島県にあるFH2R (Fukushima Hydrogen Energy Research Field)においては、上記の通り水電解に係る研究が進められているようです。
今回はここまでです。クリーンエネルギー戦略内の水素に係る説明にはこの記事は最終的にはなってはいない気もしていますが、個人的には電気分解装置の研究の重要性について認識することができた気がします。
次回はクリーンエネルギー戦略における洋上風力の記載を見ていきたいと思います。引き続きチェック頂けますと幸いです。
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