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2024年東京六大学野球春季リーグ戦ふりかえり(立教大学目線)

2024年東京六大学野球春季リーグ戦結果

順位表
優勝 早稲田 10勝2敗 勝ち点5
2位 明治 9勝4敗 勝ち点4
3位 慶應 6勝6敗1分 勝ち点3
4位 法政 6勝7敗 勝ち点2
5位 立教 6勝8敗1分 勝ち点1
6位 東大 0勝10敗 勝ち点0

ベストナイン
投手 伊藤 樹(早稲田3) 初
捕手 印出 太一(早稲田4) 2回目
一塁 清原 正吾(慶應4) 初
二塁 木本 圭一(明治3) 初
三塁 松下 歩叶(法政3) 2回目(二塁手で1回受賞)
遊撃 山縣 秀(早稲田4) 初
外野 尾瀬 雄大(早稲田3) 2回目
外野 飯森 太慈(明治4) 2回目
外野 大原 海輝(東大3) 初

首位打者
尾瀬(早稲田3) .479

最優秀防御率
高須 大雅(明治3) 1.38

チーム打率
早稲田 .304 12試合405打数123安打72得点7本塁打65打点16盗塁26犠打59四死球56三振4失策

明治 .301 13試合432打数130安打74得点6本塁打70打点19盗塁40犠打53四死球55三振6失策

慶應 .215 13試合419打数90安打42得点5本塁打35打点6盗塁11犠打60四死球100三振13失策

法政 .232 13試合410打数95安打37得点7本塁打35打点15盗塁20犠打50四死球76三振10失策

立教 .226 15試合456打数103安打36得点2本塁打33打点11盗塁26犠打51四死球95三振4失策

東大 .194 10試合314打数61安打20得点3本塁打19打点9盗塁3犠打35四死球75三振18失策

チーム防御率
早稲田 1.57 12試合109回75安打2本塁打39四死球86三振19失点19自責点 完投1完封4(個人1、チーム3)

明治 2.44 13試合118回92安打5本塁打59四死球110三振38失点32自責点 完投0完封2(個人0、チーム2)

慶應 3.77 13試合117回129安打10本塁打54四死球58三振58失点49自責点 完投2完封1

法政 1.93 13試合116 1/3回88安打5本塁打37四死球84三振30失点25自責点 完投0完封0

立教 2.70 15試合130回104安打4本塁打48四死球73三振45失点39自責点 完投2完封3(個人2、チーム1)

東大 6.99 10試合85回114安打4本塁打71四死球46三振91失点66自責点 完投0完封0


2024年東京六大学野球春季リーグ戦は早稲田が勝ち点5の完全優勝。2位の明治が勝ち点4で先に全日程終了したため、優勝決定は最終週の早慶戦の結果次第となり、早稲田・明治・慶應の3校に優勝の可能性があったが早稲田が連勝し、対戦全校からの勝ち点5を挙げる完全優勝で幕を閉じた。
また、全体としては、優勝の早稲田から順に、各校の勝ち点が1ずつ少ない。5早稲田4明治3慶應2法政1立教0東大という結果で、しかも全て、自校より下位校から勝ち点をあげている。結果としては勝ち点奪取状況がそのまま最終順位に反映されており、シンプルな結果。逆に言えば、下位校への取りこぼし、上位校を大物喰いという波乱が全くなかったともいえる。特に、上位4校と下位2校の実力差は歴然としていたともいえるが、リーグ全体としては、波乱があったほうが見ている分には面白い。秋は混戦の展開を期待したい。


優勝 早稲田
チーム打率・防御率ともリーグ1位と数字的にも結果を残した。打っては1番尾瀬が.474で首位打者。2番山縣も.366と1・2番が出塁し3番吉納.256 3本塁打10打点、4番印出.375 2本塁打17打点と主軸が還す王道のパターンで得点を重ね、下位打線は相手投手や調子によって使い分けたが小澤.323、石郷岡.314と活躍。梅村、前田健を含めて8人が規定打席に達し、田村や中村敢、寺尾・松江などもスタメンや代打で要所でいい働きを見せた。失策も4と堅い守備。印出ー山縣ー尾瀬のセンターラインがまさに攻守の軸となった。投手は伊藤が今季からエースナンバー11を背負い1回戦先発。3勝0敗、1.49と活躍。特に明治3回戦の延長11回完封は圧巻だった。宮城が2回戦先発で2勝。今季の特徴は強力リリーフで香西と安田がともに2勝、防御率0.00と付け入る隙のないピッチングを見せ、後半勝負にも抜群の強さを見せた。投打ともに隙のない、完璧な戦いぶりだった。強いていえば伊藤の次の2回戦先発。大学選手権でもそこがポイントになるのでは。

2位 明治
勝ち点4をあげ最後まで優勝の可能性を残したが、早稲田が最後まで隙を見せず一歩及ばなかった。投手は村田・蒔田、野手は上田と投打の軸が卒業し特に投手陣は実績の少ない投手が多く、その中で浅利がエースとして期待されたが先発では結果を残せず。リリーフに移ってようやく本来の投球を見せた。その先発は高須が2カード目の早稲田戦先発で初勝利を挙げ、次の立教戦からは1回戦先発し新エースとなってチームを牽引。最優秀防御率のタイトルにも輝いた。松本直・毛利もリリーフ・先発をこなし、役割を固定せず柔軟な起用に応えた。抑えは経験豊富な千葉が10試合登板、防御率2.00と好投し勝ちパターンを確立した。打線は本来、中心となるはずの主将宗山がオープン戦での死球で離脱。開幕に間に合わないと言われていたが東大戦、早大戦に5試合出場も.174と結果が出ず、以降はベンチ入りはしたものの試合前ノックにも参加せず。宗山に代わり光弘が.286で穴を埋めた。直井・飯森・小島河・木本の4人が3割到達。横山も4番として活躍し、杉崎や中山も代打で活躍するなど打線の強力さと投打の層の厚さはやはり健在だった。

3位 慶應
東大、立教、法政から勝ち点を挙げ、最後まで優勝戦線には絡んだが4カード目の明治戦を2試合とも激戦の末に連敗で落とし、早慶戦は力尽きた感があった。投手はエース外丸が3勝3敗、2.17。渡辺和も先発・リリーフで7試合登板、2.19。しかし他の投手は、昨秋2番手で活躍した竹内丈が5.06。広池5.06、木暮6.43と結果を残せず。外丸・渡辺和に続く投手の確立が課題。打線もチーム打率5位。それでも1試合平均得点は3位だが早明とは水を開けられ、犠打11と強打に頼るスタイルで清原・本間・常松・真田などの強打者タイプがフルスイングする打線は威圧感もあり、勝ち点を挙げたカードでは威力を発揮したが早稲田・明治の投手陣には脆さを突かれた格好。失策も13と多く,特に水鳥3林2と要の二遊間でエラーが目立ったのは課題。主将本間が.143とシーズン通して不振に喘ぎ、最高打率は清原と水鳥の.269。近年と比べると打力も劣っていたと言わざるを得ない。4番清原が注目され、ルーキー丸田・林・渡辺憩らを積極起用し特に渡辺憩は.538 2本塁打4打点と大活躍を見せたが、チームとしてのまとまりはまだ発展途上か。

4位 法政
チーム防御率1.93。篠木・吉鶴のダブルエースが期待通りの好投を見せ、安達が実質今春デビューで11試合、1.50と昨年の塙のような鉄腕ぶり。古川・山城・山口凱などをショートリリーフで起用するなど新任の高村祐投手コーチの手腕か、強力投手陣が奮闘した。しかし打線が奮わず、1試合平均得点は3点を切るほど。中津が.319 2本塁打7盗塁と攻守に活躍し、松下も勝負強い打撃でベストナイン獲得。姫木・吉安の強打も目立ったが、新4番の武川が.250 5打点と今ひとつ奮わず、リーグ戦中に松下と入れ替わって1番に。しかし、とにかく全体的に繋がりのない攻撃で投手の好投に報いることができず。篠木・吉鶴を擁して優勝に手が届かないのは不甲斐ない。秋こそは特に打線の奮起が求められる。

5位 立教
昨年は春秋共に東大からしか勝てない屈辱。力の差を見せつけられたが今春は木村新監督のもと、5校から勝利を挙げる健闘を見せた。特に慶應には2018秋以来10季ぶりに勝利をあげ連敗をようやくストップさせた。しかし勝ち点は東大からの1のみ。まだまだ力の差は大きい。投手陣は小畠が新エースとして1回戦先発し3勝3敗、1.53と大活躍。大越が2回戦先発に定着し1勝、2.42。沖は先発リリーフとフル回転し9試合2勝2敗、2.88。吉野9試合0.93とこの4人が主に投手陣を支えた。田中優・山田とルーキーも厳しい場面で起用するなど積極起用。塩野目と左腕小林誠は結果を出せなかったが,この辺に目処が立つと投手力はかなり強力になる。4失策と守備も堅く、投手を含めた守りは他校に全く負けていない。課題はやはり打線。昨年ブレイクした桑垣が.105と絶不調で最後までセンターが固まらなかった。西川が.353 10打点と新4番として活躍し、ルーキー小林隼もリードオフマンとして.250と健闘。しかし全体的には繋がりも長打力にも欠け、特に菅谷.250、主将田中.222とチームを引っ張るべき2人に当たりが出なかったのが響いた。戸丸は下位打線でチャンスに好打を見せ、丸山はレギュラー起用で.250。山形・北田峻・佐藤など新戦力も台頭しており秋は投打が噛み合って上位進出する活躍が見たい。

6位 東大
結果的にはリーグ戦全敗。引き分けもゼロ。開幕カードの慶應戦は2-5、3-8と連敗したが、打線も投手も戦う目処はある程度見えたかに思われた。
しかし、次カードの明治1回戦は2-21の記録的大敗。それでも翌2回戦は8-13と打線が奮い、初回にいきなり大原が先制3ラン。大原はこの試合4安打5打点の大暴れだった。しかし早稲田戦は0-15、0-9とここまで好調の打線は連続して完封され投手も早稲田打線を抑えきれず。法政戦は、この上位3校より得点力が劣る法政打線だけに1-5、4-7と投手陣もだいぶ持ち直し、特に2回戦は7回表に杉浦のリーグ戦初ホームランで4-3と勝ち越すなどはっきりと勝機が見え今季のベストゲームだった。立教戦も打線が弱い相手に0-3、0-5と投手陣は頑張ったが早稲田戦と同じく連続完封で全日程終了。
近年、投手と守備は往年のような大崩れがなく他校にもそうヒケを取らないが打線・得点力が大きく見劣りしなかなか勝利に繋がらない東大。明治2回戦のような撃ち合いとなると、見た目は派手だがどうしても分は悪い。やはりある程度得点を挙げ、しかも終盤にリードを奪って、あとは投手がかわしたり焦りをつきながら逃げ切るというのが東大金星の王道パターンだろう。今季は打線は例年になく活躍し、大原が.333 1HR 8打点でベストナイン獲得したことに象徴される。中山も規定打席到達で.269。榎本.182、青貝.176は終盤に息切れしたか打率を落とした。規定打席未満でも府川が1HRで.308。内田.240。杉浦も打率は.105だが法政2回戦で一度はリードを奪うソロホームランをバックスクリーンに叩き込んだ。
大きな課題はやはり守備で18失策は多すぎ。さすがにこれでは勝機は巡ってこない。青貝4内田5山口真2小村2と一塁以外の内野手3人だけで11失策。青貝は好守も見せるのだが捕球や送球でのイージーミスが多く、内田は深刻な送球難で一塁への送球がとにかく不安定。打力を考えると外したくないが、あの守備ではさすがにということか、中盤以降はスタメン落ちが目立った。小村も少ない出場なのに2失策。投手では平田と中村がともに一塁悪送球を犯すなど防ぎようがあるのではというミスも目についた。春は打線に全振りしたのか?と思うほどだが秋はやはり守備力強化は必須だろう。
投手もチーム防御率がほぼ7点。しかも、失点91自責点66と、エラーが多いだけに非自責点が他校より際立って多い。失点率とすると1試合9失点。エラーにずいぶん足は引っ張られたが、85回で71の四死球も多すぎる。東大投手陣に四死球が多いのは宿命的でもあるが。昨年からの実績があり今年はエースとして期待された平田も7.36と期待を裏切り、2回戦の鈴木太も9.30。特に鈴木は立ち上がりの大量失点が続き、途中からは長谷川太をショートスターターで起用し鈴木が2回か3回から登板という苦肉の策でやや持ち直したが、力むと制球も乱れ容易く打たれてしまう。力みがなく飄々と投げられた場面は自分のペースで抑えられており、自身の考え方次第で変わってきそうだが。


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