東京ヤクルトスワローズ2024年新入団選手のルーキーイヤー成績
スワローズは2023年のドラフト会議で6名(支配下5名、育成1名)の選手を指名し獲得した。
彼らのルーキーイヤー、2024年の成績を振り返りたい。
評価は独断でS(文句なし)、A(素晴らしい)、B(まずまず)、C(まあ良しか)、D(ちょっと物足りない)、E(不本意)の6段階とする。
ドラフト1位 西舘昴太投手(筑陽学園〜専大)
1軍 出場なし
2軍 5試合1勝1敗 投球9回 被安打8被本塁打0 与四死球7奪三振11 失点5自責点5 防御率5.00
ドラフト1位は武内(国学大〜西武)に入札も外れて西舘を指名。188センチ94キロの大型本格派で高校時代は進藤(上武大〜日本ハム)とバッテリーを組んで春夏甲子園出場。専大では3年から主力投手となり4年時には2部優勝も果たしたが入れ替え戦で敗れ1部での登板は無し。それでもポテンシャルの大きさやタフさを評価されての期待の1位指名となった。
しかし、春キャンプ前の自主トレ段階で違和感を訴え離脱。故障がなければ1軍キャンプ帯同予定だったがもちろんキャンセル。その後はファームでもなかなか消息がなく、夏頃にようやく復帰登板は果たしたが本格稼働には至らずわずか5試合登板でシーズン終了。
そしてシーズン終了後、トミージョン手術を受けたことが発表されたので、来季2025年はプレーは出来ずリハビリに専念することになる。そのため育成契約に切り替えとなることも発表。
期待のドラフト1位が、プロでまだ何の足跡も残さずにいきなりトミージョン手術で育成降格し2年目も何も出来ないのでは誤算どころでは済まされない。僅かなファーム登板では150キロ中盤を計測するなどやはりポテンシャルは持っている。とにかく故障から回復して2026年シーズンには取り返してくれることを期待したい。
評価は当然「E」。故障なので仕方ないのだが、何も出来なかったのも事実。来季も手術明けだけにまだ期待できる段階にすら至らない。リハビリを頑張って再来季に期待としかいえない。
ドラフト2位 松本健吾投手(東海大菅生〜亜大〜トヨタ自動車)
1軍 3試合1勝1敗 投球14回1/3 被安打17被本塁打2四死球2奪三振12 失点7自責点7 防御率4.40
2軍 14試合4勝2敗 投球50回2/3 被安打55被本塁打2四死球13奪三振39 失点17自責点14 防御率2.49
高校時代は高3夏に、当時同学年で最大の注目選手だった清宮幸太郎(早実〜日本ハム)を都大会で破って甲子園出場。4強に進出し注目度は高かったが亜大に進学。亜大でも通算7勝と実績は残したが指名なく社会人に進み、1年目の日本選手権でパナソニックを1安打完封するなど主力投手として活躍し2位指名で念願のプロ入りを果たした。春キャンプでは新人の中で唯一1軍キャンプでスタート。キャンプ時の評価は上々だったがオープン戦では結果を残せず開幕1軍を逃す。5/15の広島戦(松山)で1軍初登板を初先発に抜擢されなんと無四球完封勝利の華々しいデビューを飾った。
しかし、その後2度の先発機会では結果を残せず結局1軍では3試合登板に終わった。1位西舘が故障でプレーできず、2位の松本健もデビューはともかくその1試合しか貢献できなかったとあっては、しかも大学投手と大卒社会人の1位2位投手がこの結果では、ドラフト結果は残念ながら全くの不成功と言わざるを得ない。
評価は「C」。衝撃的なデビュー戦完封勝利は評価したいところだがまさにこの1試合だけに終わり、1軍登板はわずか3試合に留まったとあってはとても合格点はつけられないが、デビュー戦のインパクトに免じてDではなくギリギリCといったところ。2年目も結果を残せなければ一気に立場は厳しくなる。デビュー戦だけの線香花火に終わらないことを期待したい。
ドラフト3位 石原勇輝投手(広陵〜明治大)
1軍 1試合0勝0敗 投球1回 被安打1被本塁打0四死球0奪三振0 失点1自責点1 防御率9.00
2軍 25試合0勝2敗 投球22回1/3 被安打33被本塁打0四死球17奪三振19 失点21自責点15 防御率6.04
高校時代は強豪広陵で2年夏・3年春に甲子園出場。どちらも控え投手としてで、3年時は河野(大阪ガス〜現広島)がエースで石原は3年春選抜で東邦戦にリリーフ登板し3失点。広陵では河野と高(大商大〜現広島)が同学年。2024年のドラフトの目玉となった宗山塁(楽天)は1年後輩。大学は明治大に進学。大学でも村田(現ソフトバンク)・蒔田(現JFE東日本)が主に先発として登板し石原はリリーフ中心。28試合(うち先発5試合)3勝1敗、防御率3.17の成績を残し、180センチ87キロの大型本格派左腕として期待を受けての3位指名となった。
貴重な左腕だけに期待は高かったが、ファームでも防御率6.04とプロの壁に苦しみなかなか結果は出せなかった1年目となったがシーズン最終盤に昇格し初登板も果たした。
評価は、ファームではほぼ年間通してプレー出来たことと最終盤ながら1軍昇格に初登板も果たしたので「C」。期待を上回りはしないが下回りもしないといったところか。台湾でのウインターリーグに派遣され好成績を挙げただけにその勢いと自信を2年目に繋げたい。
ドラフト4位 鈴木叶捕手(常葉大菊川高)
1軍 2試合 4打数2安打 0得点0本塁打2打点 0盗塁0四死球1三振 打率.500
2軍 55試合 184打数36安打 15得点2本塁打20打点 1盗塁7四死球44三振2失策 打率.196
高校時代は高3春の選抜出場(1回戦敗退)が最高成績。夏の大会は故障で力をフルに発揮するには至らなかったが高校生捕手のドラフト有力候補として評価され4位指名。
高卒新人だけに1年目から結果を求められる立場ではないが、鈴木は3月の教育リーグから早くも試合出場し、もともと評価の高い強肩のみならず、課題とされていた打撃でも強烈にアピール。1軍の捕手が中村・古賀・内山と軒並み故障続出した事情もあり、結果を出していた鈴木が6月に早くも1軍デビュー。しかもスタメン出場でいきなりタイムリーヒットまで放つなど大いにアピール。1軍昇格はこの時だけで終わったものの高卒新人としては順調なデビューといえる。ファームでも55試合出場で.196とまずまずの成績。年間通してプレーしたがシーズン最終盤に故障し、秋のフェニックスリーグなどでは出場が多くなかっただけに来季は年間通してプレー出来る体力をつけたいところ。
1年目の結果は、期待を上回ったといえるだけに評価は「B」。もちろん来季は更なる飛躍が期待される。
ドラフト5位 伊藤琉偉内野手(東農大二〜東農大中退〜新潟アルビレックス)
1軍 6試合 1打数0安打 0得点0本塁打0打点 0盗塁0四死球0三振1 打率000
2軍 95試合 321打数71安打 19得点0本塁打15打点 11盗塁36四死球96三振19失策 打率.221
東農大二から東農大に進んだが2年を終えたところで中退。新潟アルビレックスに入団し好守を高く評価されドラフト指名。育成ではなく本指名されたように期待は高いものがあった。体格は180センチ78キロと大型内野手として恵まれており、2023年にショートのレギュラーをつとめた長岡が不振だったことから伊藤には1年目からチャンスがあると期待され春のオープン戦でも出場機会を得た。開幕1軍はならず1年目はファームが主戦場となり、シーズン終盤に1軍昇格の機会を得たが初ヒットは出ず来季以降に持ち越し。1年目が大学4年生と同年齢ということで、即戦力というよりは将来性の期待が高いといえるだけに、1年目はまずは年間通してプレーしたことを評価したい。好守を評価されてのプロ入りだったが結果はファームで19失策とプロの壁に跳ね返された格好だが前述のとおり大学4年生と同年齢なだけに1年目は仕方ないといえる。
しかし来季は今季のような数字では済まされない。ファームで打率.221 0本塁打に終わった打撃はもちろん守備面においても成長を見せ1軍を狙いたい。
評価は、ファームで年間通してプレーしたのは評価出来るが1軍では全く結果を残せなかったのとファームでの成績も芳しくなかったので「C」とする。
育成ドラフト1位 高野颯太内野手(三刀屋高)
1軍 出場なし
2軍 51試合 134打数19安打 7得点2本塁打6打点 0盗塁5四死球56三振13失策 打率.142
高校時代は島根県の公立校で甲子園出場なし。それでも中国地区屈指の強打者として注目されU-18日本代表候補にもなるなど、全国の舞台での実績はないが注目の高校生野手としてドラフト候補にもあがっていた選手を育成指名となった。
右投げ右打ちで176センチ90キロの体格。パワーが持ち味という前評判がそのまま成績となって表れた格好。パワーの片鱗は見せたが、打率は低く三振とエラーが多いように現時点では粗さは明らか。しかし小さくまとまって欲しいタイプではない。攻守に課題は山積だが1年目は数字はともかくだが、来季はいきなり1軍や支配下は求めないにしても1年目とは違って結果も求められてくるのがプロの世界。まずはファームで数字を残せて飛躍に繋げたい。
評価は、数字的には打率の低さ・エラーの多さと芳しくないが51試合出場と、強豪ではない地方の無名校出身の高卒新人が年間通してプレーしたことを評価してB寄りの「C」。
結果はB1名、C4名、E1名。ただ、前年も1年目に1軍で結果を残したのは吉村だけで、それも期待度から見ると「C」評価だった。そして今年もBは高卒新人の鈴木だけ。西舘・松本健の上位指名は期待を裏切ったと言わざるを得ず、1軍でまともに戦力になれたといえる新人はいない。1年目が全てではないとはいえ、正直なところ非常に物足りないデビューイヤーとなってしまった。そして、なかなか1年目から活躍する選手が出ないのがスワローズのドラフトとなってしまっている。1年目からレギュラー・主力とはいわずとも、ある程度戦力になる新人を加えていかないとなかなかチーム強化に繋がらないのは明白だけにファンとしては非常に物足りないしもどかしい。
鈴木叶・高野は高卒だけにまだ結果を要求する段階ではないが、とはいえのんびりしているわけにもいかない。
西舘は今季はリハビリ専念せざるを得ないが、松本健・石原・伊藤はパッとしなかった1年目を挽回する飛躍が必須となる。なんとか、ドラフト指名が正しかったことを証明してもらいたいもの。