東京ヤクルトスワローズ2023新人選手のルーキーイヤー成績

スワローズは2022年のドラフト会議で6名(支配下5名、育成1名)の選手を指名し獲得した。
彼らのルーキーイヤー、2023年の成績を振り返りたい。
評価は独断でS(文句なし)、A(素晴らしい)、B(まずまず)、C(まあ良しか)、D(ちょっと物足りない)、E(不本意)の6段階とする。

ドラフト1位 吉村貢司郎投手
(日大豊山〜国学院大〜東芝)
1軍 12試合4勝2敗 投球回60回1/3 被安打66被本塁打9 与四死球16奪三振46 失点31自責点29 防御率4.33
2軍 6試合2勝0敗 投球21回1/3 被安打17被本塁打2 与四死球5奪三振7 失点6自責点5 防御率2.11

大学時代から注目された投手だが大学では指名なく社会人に。社会人の東芝でも1年目からエースとして活躍したがドラフト解禁年の2021年は指名漏れ。社会人3年目の2022年も年間通して活躍を見せ今度こそのドラフトでは社会人ナンバーワン投手としてスワローズが単独指名。期待に違わずキャンプ・オープン戦から結果を残し開幕ローテ入りしたがなかなか勝ち運に恵まれず初勝利は5度目の登板となった4/30阪神戦。5/8の阪神戦で2勝目を挙げたが5/25に右前腕を痛めて登録抹消。再昇格は9/3と3ヶ月以上の離脱となったのは痛かった。9月に2勝を挙げ結局1年目の結果は4勝2敗。防御率も4.33と苦しんだといえるが登板時の内容は悪くなく、秋には侍ジャパンのメンバーに選出されるなどその力量に期待は高い。吉村への期待度としてはやはり1年目から二桁かそれに近い勝利数であっただろうが、2年目は怪我なく年間通してローテ入りして二桁勝利を期待したい。
評価は「C」。やはり吉村にはこのくらいの成績でBはつけられないだろう。

ドラフト2位 西村瑠伊斗内野手(京都外大西高)
1軍 1試合 1打席0安打1三振
2軍 91試合278打数51安打 25得点4本塁打22打点 2盗塁13四死球95三振4失策 打率.183

高校時代は甲子園出場はならずも、高3夏の京都府大会では5試合4本塁打の活躍で準優勝の原動力となり、高校通算54本塁打の屈指のスラッガーとして各球団とも注目していた中スワローズが2位指名で獲得。高校時代は主に外野手と投手を兼任していたがプロでは内野手(主に三塁)としてスタート。1年目はファームで重点的に起用され、91試合出場と年間通してプレーしたのは評価できる。成績は.183 4本塁打とまだまだで、初年度からファームとはいえ.288 17本塁打を記録した村上はやはり凄い。西村は体格的にも178センチ80キロで、1年目のプレーをファームの試合で見たがやはりまだまだ線の細さは明らか。技術も体力も更に2年目も磨いてまずはプロの体を作って欲しい。
評価は「C」。1年目はシーズン最終戦に1軍初昇格し打席にも立った。結果は三振だったが、2年目への期待は大きい。特に、村上が早ければ今オフにメジャー移籍する可能性も否定できず、チームとしてはポスト村上は喫緊の課題であり西村はその有力候補と言える。

ドラフト3位 澤井 廉 外野手
(中京大中京〜中京大)
1軍 16試合 32打数5安打 3得点0本塁打1打点 5死球11三振 打率.156
2軍 90試合 321打数84安打 55得点18本塁打56打点 2盗塁43四死球76三振4失策 打率.262
高校時代は強豪中京大中京で2年夏に甲子園出場したが、初戦で広陵に敗戦。中日の鵜飼航丞は1年先輩、高橋宏斗は2年後輩。大学は地元の愛知大学リーグの中京大に進学。大学では通算.291 10本塁打、4度のベストナイン獲得とスラッガーとして活躍しヤクルトから3位指名。大学時代に肉体改造し180センチ94キロという数字以上に見るからに筋骨隆々の体格。次世代のスラッガーとして大きな期待を受けての入団となった。プロ1年目はもっぱらファームが主戦場となったがファームとはいえホームランキングに輝く活躍。しかし昇格した1軍での試合では結果を残せず本人も悔しさを感じたはず。2年目に向けての鍛錬の場となるフェニックスリーグの試合で守備時に長岡と衝突してしまい怪我。2年目のキャンプもまだ本格稼働とはなっておらず、怪我の状況が心配だがまずはコンディションを万全にしてほしい。1軍ではそれほど多くない試合出場ながら死球5(2軍では90試合で6)。怪我だけには気をつけてほしいが、、、。
山田、村上の後を受ける次世代主軸としての期待は変わらない。
評価はファームながらホームランキングに輝き次世代主軸の期待度を高めたので「B」。まずは怪我を治してほしい。

ドラフト4位 坂本拓己投手(知内高)
1軍 出場なし
2軍 8試合1勝0敗 投球15回1/3 被安打13被本塁打0 与四死球7奪三振10 失点5自責点3 防御率1.76
高校時代は高3夏の南北海道大会準優勝が最高成績。甲子園にあと一歩届かなかったが、南北海道では斎藤優汰(苫小牧中央〜広島)、門別啓人(東海大札幌〜阪神)と並び称され3人揃ってドラフト指名を受けプロ入り。坂本は奥尻島出身で、知内高も公立校だけに決して強豪校で揉まれてきたとはいえず、まさにダイヤの原石。1年目は成績をとやかく言う時期ではなくまずはプロの環境に慣れ身体もプロのそれに鍛えていくことが先決ではあるが、少ない登板では問題ない成績を残した。しかしまだまだ結果は二の次。自身の投球精度と出力を高め、身体を作りあげていってほしい。
その意味では評価すべきではないかもしれないが、「C」としておく。

ドラフト5位 北村恵吾内野手(近江〜中央大)
1軍 12試合 21打数4安打 4得点1本塁打7打点 0盗塁0四死球5三振1 打率.190
2軍 96試合 320打数75安打 39得点10本塁打46打点 1盗塁31四死球59三振15失策 打率.234
高校時代から強豪近江高校で甲子園でも活躍し、大学では主将を務めた。阪神の森下は同期。体格は182センチ90キロと恵まれており長距離砲として期待は大きかったが確実性が課題と言われ、実際にファームでの成績も.234ではあったが1年目はまずは年間通してプレーしたことを評価したい。そしてなんといっても、少ない機会ではあったが昇格した1軍の試合で8/9広島戦でプロ入り初安打が満塁ホームラン。しかもこの試合、1試合7打点をマークするという暴れっぷりを見せた。同期の澤井には2軍での成績は劣るが1軍では澤井を大きく超えるアピール。流石にこれが続くことはなかったが本人にも大いに自信になったのでは。大学時代は主に一塁だったがプロでは三塁の他、二塁、ショートも守った。村上、山田の後釜をそろそろ考えたいチームとしては北村に掛ける期待は大きい。ファームでの15失策は課題ではあるがこれも今後に期待。
評価は、ファームで年間通してプレーし1軍でも爪痕を残したので「B」。今季は巨人から北村拓己が移籍し、同じ姓でしかも内野手、右打ちと共通点が多いが恵吾ももちろん負けていられない。

育成ドラフト1位 橋本星哉捕手(興国〜中央学院大)
1軍 出場なし
2軍 70試合 188打数53安打 16得点2本塁打14打点 2盗塁5四死球20三振5失策 打率.282

高校時代は強豪校ひしめく、特に大阪桐蔭の牙城が高い大阪だけに甲子園出場なし。大学では3年時に神宮大会優勝を果たしているが当時注目されていたのは古田島成龍(日本通運〜今ドラフトでオリックス指名)、山﨑迅(JR東日本)の1年先輩の本格派投手であり橋本は全くの無名で、育成ドラフトでヤクルトから指名されプロ入り。
右投げ左打ちで178センチ85キロと体格も目立つほどではなく、評価では強打が持ち味の捕手とのことでファームでも本職の捕手のほか外野手での出場も多かった。規定打席には届かずも打率.282とまずまずの結果を残した1年目だったが、やはり橋本としてはまずは支配下登録を目指したい。今年の春季キャンプでは1軍メンバーに抜擢されたように期待は大きい。まずは持ち味の打撃も、そして捕手としての守備面もまだまだ磨いていきたい。特に今年は高卒捕手の鈴木が入団し、ファームでの捕手の出場機会も鈴木が多く得る可能性もある。現状ではファームの試合構成要員としての位置になってしまう橋本であり、過去の大村孟、松井聖らを想起させるが、是非とも成り上がりを果たしてほしい。
評価は「C」。

結果はB2名・C4名。しかしBも澤井・北村のファームでの成績評価で、1軍で年間通して活躍出来た選手がいなかったのは残念。しかし吉村・北村が2年目の今季に期待を抱かせるプレーを見せたことを良しとしたい。
本来なら澤井も今季の期待度が高いはずだが、やはり昨秋に大怪我をしてしまっただけに現状でははまだ焦る時期でもない。とにかく怪我完治を祈りたい。
西村・坂本は高卒だけに今季もまだ結果を要求する段階ではないが、とはいえまた今年も新しい選手がオフには入ってくるのがプロ野球の世界。焦る必要はないがのんびりされても困る。やはり着実な成長は見せてもらいたいところ。
橋本はとにかく支配下なるか。正直厳しい立場ではあろうが成り上がりを期待したい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?