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福田美蘭の作品が日展に落選したことの意義

練馬区立美術館の「日本の中のマネ」展(11月3日まで)で展示されていた福田美蘭の《LEGO Flower Bouquet》が日展で落選し、今日から同館で再展示されることになったそうだ。(追記:会期当初から10月中旬まで練馬区立美術館で展示され、日展に応募後審査期間の間は展示されていなかった)

レゴブロックで作った花を描いたこの作品は、練馬区立美術館で展示を始めた当初から、日展に応募するので審査期間は同館では展示されないこと、さらには落選した際には「日本の中のマネ」展で再展示されることが明記されており、話題になっていた。

応募自体は、同展で取り上げているエドゥアール・マネが「印象派の父」と呼ばれながらもサロン(官展)への入選を目指し、印象派展への出品をしない画家だったことになぞらえて、パロディを旨とする美術家である福田美蘭が、日本のサロンとも言える日展への応募を実践するという、画期的な試みだった。

入選作品の形骸化がしばしば指摘されてきた日展は、もともと福田のような画家が斬新な作風で応募をするようなことはそぐわなかったので、おそらく福田もこれまで応募しようという気持ちを持つことはなかっただろうと推測している。今回の試みの結果が「落選」だったことには、日展の保守性が証明されたという点で、意義があったと考えていいのではないだろうか。

なお、マネ自身はむしろ斬新な作品を描いた画家であり、保守的な画家ではなかった。サロンにマネを受け入れる度量があったなら、サロンも印象派に人気を取られてばかりということはなく、いい画家をもっと多く生み出していた可能性もあるだろう。日展もしかり、というのが筆者の考えだ。

下の写真は「日本の中のマネ」展で筆者が入手した絵葉書とグッズ。

左上は森村泰昌さんの作品の絵葉書、右上はその作品に描かれた猫のモチーフをあしらったポーチ、左下は福田美蘭さんの作品の絵葉書、左下はマネが描いた猫のクロッキーを集めた絵葉書です。

10月初めに載せたたわくしの語りも再掲しておきます。


【展覧会情報】
展覧会名:日本の中のマネ ―出会い、120年のイメージ―
会場:練馬区立美術館
会期:2022.09.04(日)~ 2022.11.03(木)
公式サイト:


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