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親友の結婚式で友人代表スピーチをした話

結婚式の友人代表スピーチ。
3年半前、私は親戚の式以外で初めて参列した結婚式で、その大役を果たすこととなった。

花嫁は大学の時からの自慢の親友で、出会ってから10年間揺るがないナンバーワンの理解者。
誰に嫌われても彼女がいれば十分だし、私が困った時には必ず手を差し伸べ助けてくれる最高な女性。
もちろん価値観や考え方が違う時もあるけど、彼女の言葉ならすんなり受け入れられるくらい信頼を置いている。

そんな彼女には地元や高校など仲の良い友達が多い。それに最近は友人代表挨拶をする式も少なくなっている。

焼肉屋さんで「トモミに1番に渡したくて…」と招待状を手渡してくれて、それだけでめちゃくちゃ嬉しかった。
封筒を開けると招待状のカードの中に、当日披露宴で、友人代表のスピーチをお願いします。と書かれた小さい紙が入っていた。

彼女から友達として一目置かれている自覚はあった。でも、彼女の人生1番の晴れ舞台で私の出番が用意されているほどとは思ってなかった。本当に嬉しかった。焼肉屋さんで泣いたのは初めてだった。

彼女はアナウンサーで、喋ることを仕事にしている。つまり、参列された同業の方を前に挨拶をしなければならない。親友として恥ずかしい真似は絶対できない。
招待状を受け取ってから式までの約半年、読んでいて自分が泣かずに思いを伝えられる内容をテーマに、考えに考え文章を作り上げた。

当日までの準備は完璧だった。
挨拶を暗記するほど何度も読み込んだ。
オシャレな友達に頼んで一緒に振袖を選んでもらった。
ご祝儀袋も何件も店を回り1番可愛いものを選んだ。

当日、東京モーターショー期間中だったため、朝イチの飛行機で福岡に向かった。もしハイジャックされて到着できなかったらどうしようと突拍子のない不安に襲われてながらも無事到着。
大学の友達と合流して会場に向かった、もちろん受付の子たちをのぞいて1番のりだった。

会場についてからはリラックスしていて、ピアノをBGMとして演奏する予定の友達の方が緊張していた。自分より明らかに緊張している人が隣にいると安心できた。

色打掛で入場してきた彼女はとても綺麗で、そんなことないとわかっているのに、遠くに行ってしまう気がして、知らない人になってしまう気がして泣いてしまった。感情が完全に家族サイド。そう思うと、彼女のご両親はとても寂しく感じていたかもしれない。

披露宴はとても楽しくて、なぜか新郎新婦席にマイクがあり、花嫁な彼女は食べるか喋るか。式が始まった時に抱いた寂しい感情は一瞬で消え去った。
一緒に参列した友達が弾くピアノや、さまざまな方の愉快な挨拶など、インパクトが強いプログラムが続き、とうとう私の出番がやってきた。

改めて、友人代表として自分の名前が呼ばれるのは嬉しかった。でもそれ以上に緊張した。
読むというより、暗記していたものを話していた感覚だった。

よくあるようなスピーチになってしまったけど、私達の関係性の深さや、どれだけ彼女の幸せを願っているかを詰め込んだ。

最後まで緊張は解けなかったが、彼女が泣いていないか、どんな表情をしているのか、見る余裕はなぜかあった。

目が合うと彼女は少し意地悪そうに笑った。
照れ隠しだと思ってる。そう信じている。

約5分間のスピーチ、人生で1番上手く喋れた5分間だった。涙も我慢し、しっかりと喋り続けた。自己採点は100点満点だった。

後日、振袖も含めスピーチが好評だったと彼女に聞いた時は安心して力が抜けた。その時、友人代表スピーチが本当に終わってしまったんだと実感した。本当に大役を果たした感覚で、一生に1度であろう友人代表スピーチを完璧で終わらせることができて本当によかった。



私たちは日々連絡をとり、住む場所が遠距離になってしまったが、会えるタイミングで会って話して、変わらず仲良くやっている。
お互いどんなに環境が変われど、2人の関係性は全く変わらない。
これからも、どんなに歳を取っても、親友として居続けてほしい。



予定は全くないけど、もちろん私の結婚式の友人代表スピーチは彼女に依頼するつもり。
さらに、司会も頼もうと思っているので、ある意味、彼女が主役の披露宴になる。
プロの友人代表スピーチが楽しみでたまらない。


リラックマのパジャマ姿の彼女を見て、絶対仲良くなれると確信して10年。
この確信は間違っていなかったし、この確信に今はとても感謝している。

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