#3 都会
好きな人たちとプレイリストを作って遊ぶのが楽しい。そして文章を書くのも、読むのも楽しい。だから好きな人と2人でそういうことをやってみようと思う。交互に選曲し合い、文字を紡ぎ合う。このマガジンは、いつかの私たちに送るプレイリスト。そして記録。
都会 / 大貫妙子
LAを、上空より。
血液が流れるように、向こうへ流れる車の流れ。こちらへ流れる赤いランプ。街は生きものか。
道路は血管。建物は細胞。
細胞へと流れていく血液たち、運ばれるのは何か生きたもの。細胞の部屋のなかで営まれる代謝は何のために。動的平衡。この広大な土地では、こんなふうにするしかないのだろう。そして、この動的平衡はまやかしです。
このまやかしにたかって寄ってくる、キツネの顔をした、何かまた生きたものたち。そうして、このまやかしの街は腐りつつ、また代謝を繰り返し、その日を終えていく。
どこかに皺寄せがいくようなこの仕組みは平衡を保てていたことなんてない。大きすぎて掴めないのだろう。コントロールできない力を手に入れてしまった生きたなにか。幸せの意味など見失ってしまった。生きるとはこんなことなのか。なにが「ゆたか」なのか、あなたの目が曇ってしまう。
そうなるまえに、抜け出さないと。
こちらへ、来るといい。
わたしはこの国を愛することはないだろう。
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