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写真と自分の在り方
▶︎冒頭
これは悲観しているわけでもなく、自分が嫌いなわけでもなく
幼稚園の頃や学生の頃から周りと比較し常に自分に対して強い劣等感を感じながら目を逸らして生きてきました。
子どもの頃は”学校”という今思えば狭い世界の人間関係ですが
当時は今と違い子どもとネットが身近な存在ではなかった為、家庭と学校での人間関係が生きる世界の全てでした。
運動、勉強、人とのコミュニュケーション。全て周りより劣っていて比較したり、弱気でマイナス思考ばかりで、いじめられた事もありました。
子どもの頃の時間の進む流れは遅く感じるのは有名な話ですが
それと相まって本当に苦しかった記憶があります。
もし今、学生時代を過ごしていたら少しは逃げ場があったのかもしれないと
思う時がたまにあります。
▶︎心境の変化
中学2年生の冬。近所に住んでいた幼馴染の友達に
『アニメを一緒に見ないか?』とあるアニメを進められました。(ここでは詳細は省きます)
当時は現在のように俗に言う深夜アニメは一般的なものではなく、どちらかと言えば
”オタク”のイメージが強く、偏見が根強く残っていました。
”泣けるアニメ”そんな価値観を知らなかった自分は沼にハマったように
色々なアニメを見ていました。
”こんなに感動できて美しい表現がアニメーションにあるんだ”
今思えば、実写では難しい色彩表現や光、カメラワークなどの部分が可能なアニメーションから写真の影響を受けている事が大きいと思っています。
人によってこの部分が小説、音楽、映画など様々です。
”いつかこんな風にアニメのように世界を映してみたい。”
そう思いつつ高校生の頃には自転車での帰り道止まったりして
スマホで写真を撮ったりしていました。
その写真を人から褒められたりした記憶がなかった僕が初めて人から『すごいね』と言ってもらえた事でした。
高校生の頃住んでいた近くでコスプレイヤーが集まるイベントがあり、友達からの誘いでイベントに足を運び初めて人物の写真を撮りました。
カメラを持っていなかったので、スマホで撮っていましたが
人を撮る経験をしたことがなくて、とても新鮮だったのを覚えています。
周りには見たことない大きなカメラを持っている方が多く、自分も欲しいと思い1ヶ月のバイト代を全て使ってカメラを購入しました。
しかし周りにカメラを持っている人はもちろん、写真が好きな人がおらず、
今思えば『気にせずに撮りまくって。笑』
と言いたい所ですが、そこはまだ子供。
カメラを触る機会が少しずつ減っていきました。
▶︎出会い
そんな時に知った存在が岩倉しおりさんでした。
しおりさんの写真をSNSで見た時の衝撃は忘れません。
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https://www.instagram.com/iwakurashiori
写真という媒体の中で自分が上手く形に出来ずに頭にずっと存在していた世界。現実と思えないアニメーションのように美しい光を含んだディテールのある描写。
呼吸を忘れてしまうほどの澄んだ綺麗な色表現。
ノイズのようなものがスーッと無くなっていきました。
しおりさんが映す世界は同じ世界とは思えないほど眩しく儚くも二度と撮れない
”一瞬”を表現していました。
”またカメラで写真を撮ろう”そう思ったきっかけです。
僕が写真を撮っている中で羅針盤のような存在です。
▶︎写真との向き合い方
ー”何故写真を撮るのか”ー
これに関しては答えはなく、無限にあるもの。
事実なのは、”写真は物理的に空間を半永久的に記録する媒体”であったという事。
記憶と結びつけて忘れないようにと
多くの人は写真を残す。
”この瞬間を絶対に忘れない”と誰もが思い願う
でも永久じゃない。
忘れてしまう、きっと。
写真を作った人は永遠がほしかったのかも。
自分は創作物が好きだけれど、音楽や絵も文章も造形をする事が苦手です。
写真を撮るようになって、ファインダーを覗く事によって
四季の表情、時間の流れ、光の存在、様々に見える世界の捉え方が変わり
その延長線上には自己表現の一貫として
撮った写真を何度でも見たいと思えるような
人の記憶の奥にある近いようで遠い。
”写真の画素”と別の”記憶の解像感”ある美しさ。
それを追い求めて写真と向き合っていこうかなと思っています。
ここまで長い文章を読んで頂きありがとうございました。
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