金沢ピープルファイル002: 吉岡璋③
▶︎職人は速いが機械はもっと速い◀︎
〈ヨコハマ機工〉を創業する前、吉岡さんは2年半の間〈マックス(株)〉という会社に勤めていました。
「入社したての頃、希望する営業先を聞かれて神奈川を選んだのは京浜工業地帯があったから。長野を選んだ先輩に理由を聞いたときの答えが印象的だった。『ドライブしに行くようなもんだから』って言うんだ。そんな給料分しか働かないような発想の人もいるんだってびっくりしたよね。ぼくは商人の息子だからかもしれないけれど、お客がたくさんいるところに行って、忙しい方がおもしろい。
会社には水曜日に事務処理をするくらいにしか行かなかった。月曜と木曜は注文品を載せて納品しながら小田原あたりまで行って、火曜と金曜は事前にコンタクトを取っていた先へ売り込みをしながら帰ってくる。22歳くらいで箱根あたりに、もちろん安いところだったけれど、泊まったりするのは大人になった気がして嬉しかったな。
新規開拓先? 釘をたくさん使うところだから輸出梱包だね。営業に走り回っているうちに見つけることもあったからさ、今でも木材が置いてあるとパッと目がいっちゃうんだよ。
営業は飛び込みのほうが多かった。釘打ちなら機械より俺のハンマーのほうが速いっていう職人と勝負させてもらったこともあった。さすがに職人は速かったよ。でも機械はもっと速い、それに女性でも扱える」(続く)