フリッツ・ライナーとシカゴ交響楽団
フリッツ・ライナーはハプスブルク帝国の生まれだが、1922年には指揮者として渡米している。非妥協的で独裁的な性格が災いしたらしい。実力はあったので合理的な米国のオーケストラ・ビルダーとしての実績を重ね、1953年クーベリックの後任としてシカゴ交響楽団の音楽監督となった。在任わずか10年足らずだが、大レコード会社RCAの画期的な2チャンネルステレオ録音の鮮明さと相まって、このコンビは黄金時代を迎えた。YouTubeで見られるその指揮ぶりは動きが少なく、動かすのはほとんど腕だけだが、団員を操るその眼光は鋭い。演奏は音のブレンドを大事にし、深く、強靭で明晰なサウンドと精緻なアンサンブルを身上としたもので、次世代のショルティを経て現在に至るCSOの伝統の礎となっている。
というわけで本CDは1950年代録音のアンソロジーですが、一応全部ステレオであり、ライナー得意の演目ばかりです。
フリッツ・ライナー指揮シカゴ交響楽団
ロッシーニ
●泥棒かささぎ 序曲(1958)
ハイドン
●交響曲第88番ト長調「V字」(1960)
ベートーヴェン
●交響曲第7番イ長調(1955)
ウェーバー(ベルリオーズ編)
●舞踏への勧誘(1957)
J.シュトラウス二世
●皇帝円舞曲(1957)
リスト
●メフィスト・ワルツ第1番(1955)
ワーグナー
●ニュルンベルクのマイスタージンガー(抜粋)(1959)
R.シュトラウス
●ドン・ファン(1954)
ラヴェル
●スペイン狂詩曲(1956)
バルトーク
●5つのハンガリーの風景Sz.97(1958)