
本切羽じゃなくてもOK?袖口の飾りボタン事情
袖口本開き仕様とは?
本日はオーダースーツについて調べていると、ほぼ必ず目にするキーワード「袖口本開き仕様」。読み方も「ほんあき」や「ほんびらき」と様々ですが、そもそも「袖口本開き仕様」とは何なのでしょうか?
簡単に言うと、スーツの袖にあるボタンホールが実際に開閉可能な仕様のことを指します。ボタンを外せることで、袖口をまくったりすることができるデザインです。


袖口本開き仕様の由来
このデザインのルーツは、スーツが日常着だった時代にあります。当時、医師や軍人が袖をまくる必要がある場面で役立つ、実用的なデザインとして広まりました。しかし現代では、その実用性はほとんど失われ、伝統的な名残として採用されているにすぎません。
「飾り切羽」との違い
一方で、ボタンホールを開けずに飾りのステッチだけを施した仕様は「飾り切羽」と呼ばれます。飾り切羽はダミー仕様で穴が開いていませんが、現代ではこれが主流になりつつあります。
なぜ飾り切羽が選ばれるのか?(販売目線で)
飾り切羽には次のようなメリットがあります:
袖丈の調整が可能
ボタンホールが開いていると、袖丈を長くしたり短くしたりする際に、穴の位置が問題となり調整が難しくなります。一方、飾り切羽は袖丈を調整しても跡が目立たず、実用的です。既製品に適している
既製品スーツでは、袖丈を調整する前提で作られることが多いため、袖口は未完成(アンフィニッシュ)の状態で販売されます。この場合、調整が簡単な飾り切羽が選ばれることが一般的です。
オーダースーツと袖口本開き仕様
オーダースーツでは、袖丈をあらかじめ腕の長さに合わせて仕立てるため、袖口本開き仕様にすることが可能です。そのため、オーダースーツの象徴として袖口本開き仕様が選ばれることが多いのです。
また、袖口のボタンを1つか2つ外して着用することで、オーダースーツならではの高級感やこだわりをアピールする方もいらっしゃいます。
近年のトレンド
ただし、オーダースーツを何着も作っている方の中には、「実際にボタンを開ける機会がほとんどない」として、袖口本開き仕様をあえて選ばない方も増えています。
また、袖丈調整を前提とした既製品でも、袖口本開き仕様を選べる場合があります。これにより、「オーダースーツでなければ袖口本開きができない」というわけではありません。
どこにこだわるかは人それぞれ
袖口本開き仕様も飾り切羽も、それぞれにメリットがあります。どちらを選ぶかは、自分がどこにこだわりたいかによるでしょう。
オーダースーツやメンズファッションの楽しみは、こうした細部にまで自分のスタイルや好みを反映させられることにあります。袖口の仕様も、ぜひ楽しみながら選んでみてください。