「ハンガー映えするスーツ」と「人が着て映えるスーツ」
日は最近SNSで「ハンガー面(ヅラ)の良い洋服」というキーワードを目にしました。その時に、昔、上司から教わった話を思い出したので書き記そうと思います。
オーダースーツが今ほど浸透しておらず、スーツを買うなら「既製品」が当たり前の発想の時代、百貨店やセレクトショップがスーツを作る際に気にしていたのが、「ハンガーに掛けたときにカッコよく見えること」 だったそうです。つまり、ハンガーに掛けた状態で変なシワが寄らず、見栄えが良い服を作る、ということです。
もちろん、全てのブランドがそうであったわけではありません。しかし、ハンガーというのはあくまで衣類を保管するためのもの。人間の体を再現した形状ではありません。そのため、人間の体に合わせて作られたジャケットは、ハンガーに掛けるとシワが寄ってしまい、縫製不良のように見えることがありました。この「ハンガー映えしない服」は売りにくかったのだそうです。
実際、人の体に合わせたジャケットと、ハンガーに合わせて作られたジャケットを羽織り比べても、劇的に着心地が変わるわけではないかもしれません。しかし、「なぜか気に入っている洋服」と「そうではない洋服」には、こうした微妙な違いが関係しているのかもしれません。
やはり、ネット通販だけでなく、既製品でもお店に行って実際に試着することが、「良い洋服を選ぶための欠かせない行為」なのかなと感じます。
オーダースーツの場合
初回は、生地決めやデザイン決めを含めて、1時間~1時間半ほどじっくりと時間をかけることをお勧めします。面倒に思えるかもしれませんが、サイズ見本をワンサイズ違いで試してみることで、体に本当に合ったスーツに出会えるはずです。2回目以降はサイズデータが残っているので、初回ほど時間はかかりません。
この様な事を知ったうえで「見た目の美しさ」と「着心地の良さ」を兼ね備えた一着を購入する事は日々を過ごす気持ちのよさにもつながると思います。ぜひ、試着やオーダーの時間を楽しんでみてください。きっと、その一着があなたの最高のパートナーになります!