スタートアップネイション・イスラエル人の考えていること…月面着陸失敗
4月12日日本時間の早朝4:00頃、イスラエル初の月面探査機が約1か月半の飛行を終えて、月面に着陸する予定でしたが、残念にも、それは失敗に終わってしまいました。
コントロールルームからの生放送
コントロールルームを一望できるように準備されたプレスルームには、首相夫妻や投資家のモリス・カーン、その他関係者が集まり、イスラエル国民が見守る中「無事着陸!」「イスラエル初の快挙!」の報告を心待ちにしていました。
しかし、着陸態勢に入って約10分後、ジャイロの一部が故障したり、メインエンジンの様子がおかしくなったり、コンタクトが途切れたり…と、生放送は緊張感に包まれました。
コンタクトが完全に途切れて後、5分と経たず着陸失敗の宣言。月面探査機ベレシットは、どうやら月面に衝突したのであろうと言われています。
↓生放送の様子はこちらで見れます。
https://www.facebook.com/SpaceIL/videos/1731244730355229/?epa=SEARCH_BOX
失敗してしまった月面着陸
私自身、このチャレンジに個人的に興味があり、毎日のようにベレシットの経過をチェックしてはこの日を心待ちにしていたので、本当に残念でなりません。何の関係もない私ですらそう思うのですから、関係者の失望感は、計り知れないでしょう。8年の歳月をかけてここまでやってきたのです。
それでも私が驚いたのは、着陸失敗が確定した後の生放送の様子です。プレスルームでは、首相が開発者と投資者に対して次の予定についての質問。
「2~3年で、成功させる」との開発者の言葉に、「お金はまた彼が出してくれるから」と、投資者を指す首相。笑。
そこですかさず「今度はもっと安いだろうね?」と、投資者。
「国民皆さんの期待を裏切ってすみません…」とか「だれが責任を取るんだ…」というような雰囲気は全くありません。
失敗を受け入れる文化
もし私が開発者だったら、投資者だったらと想像すると、真っ先に思い浮かぶのが「申し訳ない気持ち」と、「腹立たしい気持ち」です。
皆の期待を裏切ってしまった、ごめんなさい、と言いたい。
そして、投資は水の泡。どうしてくれるの?と腹立たしい。
でも、それは過去を見ているからなんだ、情緒に流されているからなんだと思いました。
「すみません」と言って、自分でこの失敗を許してはいけない。
投資が水の泡だと言ってしまえば、本当にそうなってしまう。
きっと今頃は、次の成功に向け、科学的な失敗の原因を突き止めている最中なのだろうと思います。
Space ILの今後を楽しみにしています。
月面着陸直前に送られてきたベレシットからの最後の写真。この直後に、ベレシットとのコンタクトが途絶えました。