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2021年5月22日 イスラエルとハマスの紛争

日本でも比較的大きく報道されたと思いますが、ここ2週間ほど、イスラエルではガザ地区を実効支配するテロ集団ハマスとの攻防戦が続いていました。
多くの死者、負傷者を出し、先日「お互い条件なしの停戦」が合意に達し、現在、イスラエル・ガザ共、上空は静かになっています。
日本から、遠く離れた中近東の片隅で何が起きているのか。私の考えから簡単な説明をしたいと思います。
その前に、まずは、この紛争により亡くなった方を追悼したいと思います。
そして、怪我をされた方、住居などが崩壊した方、精神的に傷つけられた方、経済的な打撃うけた方、何らかの被害を被った方、皆さんにお見舞いを述べたいと思います。

複雑な問題

専門家でなければ、多くの日本人にとって中東問題は複雑すぎると思います。それは私も同じ気持ちです。
この地にある問題を紐解こうとすると、歴史、政治、宗教、地理、資源、民族…ありとあらゆる分野が様々に影響しあっているので、いろいろなことにものすごく詳しくないと、何が何やらさっぱりわからなくなります。
さらに、真実が1つではないことも大きく影響していると思います。
「真実は常に1つでしょう?」と思われる方もいるかもしれません。でも、考えてもみてください。同じバナナを食べても「おいしい!」と思う人もいれば、「わ、おいしくない!」と思う人もいるわけです。
このバナナはおいしいかおいしくないのか。真実は1つではありません。おいしいのも真実であり、おいしくないものまた真実。
「バナナの味」という単純な事柄でさえこの様に2つの考え方があるのだったら、多くの人が歴史を重ねた生活の場に、様々な「真実」が存在するのは当たり前のことでしょう。

報道で真実を知る?

日本に住んでいらっしゃる方の多くは、世界各地で起きている出来事を、ニュースや新聞といった報道で知ることになると思います。最近はいろいろなSNSが発達しているので、自分のいる場所から遠く離れた出来事をSNSによって知るという方も多いでしょう。
今ではこちらが多数派と言っても過言ではないのかもしれません。
正直なところ、今回の紛争では、私だけでなく、イスラエルに住む日本人の多くは日本の報道を見て、非常なストレスを感じていたと思います。
もちろん全員がそうだったとは思いませんが、特に、連日連夜、ハマスからの爆撃で夜も眠れず、住んでいる建物にミサイルが当たり避難を余儀なくされ、結婚したイスラエル人の旦那さんの親戚や友人などを亡くした日本人にとっては、あまりにも偏向した日本の報道に、大変なショックと憤りを隠せない方もいらっしゃいました。
日本の報道を見ていると、パレスチナ人の死者数は子供の人数を別に書き添えているのにイスラエル人の死者数にはそういった注意書きがまったくないということがありました。また、ハマスはイスラエル市民に向けて無差別にミサイルを何千発と撃ち込み、イスラエルはテロ集団の攻撃拠点を攻撃対象としてパレスチナ市民には避難勧告をしているのですが、そのような事実は報道されないだけでなく、「イスラエル、ガザの市民に向けて無差別攻撃」などという書き方をしていることも。
パレスチナ人の死者数の中にはハマスの打ったミサイルによって亡くなった人も含まれていることや、5時間の停戦期間をもうけイスラエルがパレスチナ人に医療物資や食料品などの搬入作業を行ったこと、さらにこの緊急支援物資搬入中にハマスからの攻撃があり緊急物資搬入作業中のイスラエル兵が負傷したこと…こういった事実は日本の報道機関は全く報道しません。
さらに、国民がまともな生活基盤もない暮らしをしているというのに、イスラエルに向けて発射された5000発近いともいわれるミサイルはどうやって入手しているのか?そんな基本的な疑問すら提示されません。
こういう現実を見ると、報道機関は一体どんな意図があってこの様な偏向報道をするのかと、非常に不安な気持ちになりました。
報道が常に真実を知らせていると考えるのは大きな間違えであるということについては、私は確信を持っています。

15歳の娘が8歳の弟に今のイスラエルの状況を説明

正直なところ、「テロ組織ハマス」については、私も言いたいことはたくさんありますが、ここでは何も言いません。
ただ、日本の方の多くが誤解している部分にこの、ハマスというテロ組織が何者なのか、という事実は大きく関係していると思います。
どうしてこんな紛争が起きてしまうのか。日本人にとってはとても複雑なことなのですが、私の8歳の息子が発した質問に、15歳の娘がわかりやすく答えていたので、それをご紹介したいと思います。
質問は「どうしてアラブ人とイスラエル人はこんな戦争をするの?」というものでした。
娘の答えは以下です。
「アラブ人とイスラエル人は、戦争をしていないよ。
イスラエルが今、戦争しているのはハマスで、イスラエルが戦っている相手はアラブ人でもなければ、パレスチナ人でもないんだよ。
わかりやすく言うとね、よく物語に王様が出てくるでしょう?物語にはいい王様も悪い王様もいるけどさ。「ハマスの王様」はね、自分の国民とは一緒に暮らしていないの。
遠い別の場所にある宮殿で自分の好きな様に暮らしていて、「パレスチナ人」という民を利用して、自分のぜいたくな暮らしを実現しているの。
ぜいたくな暮らしを実現するために邪魔な「イスラエル」を撲滅したいがために、「パレスチナ人」を使って戦争を仕掛けてきたんだよ。」
もちろん、現実にはいろいろとあり、彼女の言い方が100%正解とは言えないのですが、ハマス、パレスチナ政府、パレスチナ人、アラブ人、イスラエル人…という基本的な部分に誤解がある人には、シンプルでわかりやすい説明で、様々な「なぜ?」に納得のいく答えを導き出すものだと思いました。

現在はとりあえず停戦となっています。
今回の戦争で何かが解決したとは思えませんが…。いつか平和が来ると信じて、希望だけは失わずにいたいものです。
*写真は2009年のユーロビジョンでデュエットする、ユダヤ人とアラブ人のイスラエル人歌手、アヒノアム・ニニとミラ・アワッド。

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