
4月6日過ぎ越しの祭り、前日
新型コロナウィルスの感染の広がりを受け、日本も一部の都市では8日より緊急事態宣言が効力を発するとのこと、皆さんどうぞご自愛してお過ごしください。
さて、今回は手短に2つの話題を。
まずはうれしい話を。
Ynetによると、フジフィルムが作っているアビガンという薬がコロナに効くかもということで、イスラエルで臨床実験が行われるとのこと。アビガンはコロナ感染初期に服用すると重症化を防ぎ、病気期間を短くする効果があるらしいのです。日本政府はこの薬をデータ提供と引き換えに諸外国に供給するとの政策をとったらしいのですが、イスラエルはこのデータ提供とはまた別口で、独自に有償で買い付けたとのこと。コロナに感染している人のうちの80人がアビガンによる治療を受け、薬の効き目についての実験が行われるそうです。この臨床実験がうまくいくのかどうかは未知数ではありますが、イスラエルに住む日本人としてこれがうまくいったとしたら…。こんなにうれしいことはありません!
そして、2つ目は、イスラエルの様子を。
不要不急の外出禁止令が出てから4週間目に突入したイスラエルですが、明日、7日の午後から段階的に地域間の移動禁止に入り、8日には完全外出禁止に入ります。
これは、8日の夜からユダヤ教の過ぎ越しの祭りが始まることを受けた措置ですが、過ぎ越しの祭りは、数あるユダヤ教の祝祭日の中でも非常に重要な祭りとして位置づけられています。このお祭りの歴史的、宗教的な背景についての説明は別の機会に譲りますが、とにかくこの日は家族親戚が集まって晩餐を共にするのが習わし。イスラエル中が、そして世界中のユダヤ人が民族大移動で家族のもとへと集まり、皆で所狭しとひしめき合って共に歌い、祈りを捧げ、食事をするという、コロナに対して「どうぞ世界中に広がってください」とお願いするような状況になってしまうのです。
そんなわけで、今年の過ぎ越しの祭りはどの家庭も外出禁止。
今週の初めから外出禁止令を破った者へ対する取り締まりも、今までとは比べ物にならないくらい強くなり、この日曜だけで全国で罰金切符が12,000回も切られたとの情報もあります。これもすべてこの過ぎ越しの祭りの民族移動を防ぐ作戦。
政府は「家を出た者は罰金を課せられるだけでなく、家に強制送還されるので、過ぎ越しの祭りは同居する家族とのみ過ごすように!!!」と口を酸っぱくして通達しています。
「罰金を払ってでも家族と共に過ぎ越しの祭りの晩餐を囲みたい」きっと、そう思っているイスラエル人がいっぱいいるということは想像に難くありません。「危険を冒して家を出ても、家族には会えないから、無駄なことはするな!」ということですね。
ズーム晩餐で我慢するしかないと、ご高齢のご両親に、遠隔でこの最新(?)テクノロジーを伝授しようとする子供たちが続出です。→これが結構大変。経験者より。それでも孫たちを一目でもみたいと思うおじいちゃんおばあちゃんの熱意が、娘息子を突き動かすのです。
現在のところ、イスラエルのコロナ感染地域は正統派の宗教家たちが住む地域に、目に見えて偏っています。正統派住居区と境を接している普通の市がその境にフェンスを建てては正統派がそれを取り除くという攻防戦も行われているとのこと。
イスラエルのコロナ感染コントロールは、正統派コントロールにかかっているといっても過言ではないと私は思っています。
私は信仰心の全くない人間ではありますが、ユダヤ教の神様にお願いしたいです。どうか一言「政府の言うことを聞け」と言ってください!私たちももう1ヶ月近くも家から出ずに過ごしているし、イスラエル政府も、結構頑張ってるんですよ!
写真はイスラエル保健省のコロナ感染者分布地図。