2020年4月18日
イスラエルでは過ぎ越しの祭りが終わり、「日常」が戻ろうとしています。皆さんはいかがお過ごしでしょうか?
こうやって、1か月も外出禁止で家に閉じこもって暮らしていると、一体何が「日常」なのかといった、今まで考えたこともなかった疑問が浮かんできます。きっと世界中の人が似たようなことを考えているのではないでしょうか?
イスラエルでは新たな感染者数の増加具合が緩やかになっているなどで、1か月にわたる外出禁止の効果が表れているようではありますが、それでも現在は、正統派の人々が住む地区の感染率が目に見えて高かったり、北部のアラブ人村の感染率が上がってきているなどという、新たな問題も生じています。
ただ、このように感染の特徴が変わってきているのは確かなので、現在は極端に感染率の高い地域を封鎖するという方法もとられています。
さて、過ぎ越しの祭りが終わった今、イスラエルでは冒頭に述べた「日常」への戻り方、いかに外出禁止令を緩めていくか、どのように商業活動を戻していくかについて話し合われています。
安息日明けの日曜日からは、商店の開店が一部許可されるとのこと。また、家から500メートル以内の距離にある公園には歩いて行ってもよい。2~4家族ならば子供たちが共に過ごすことも可。そして、飲食店からのテイクアウェイも許可する方向で話し合われているようです。
ほかにも、まだ決定事項ではありませんが、教育は5月くらいから、特別養護学校を皮切りに就学前の幼稚園など、そして小学校の低学年から再開、少人数で屋外授業、4~5日授業をやったらまた遠隔教育で様子を見る…などなど、いろいろな案が検討されているようです。
とはいえ、素人の私の考えでは、別にワクチンが開発されたわけでも、多くの人に免疫がついたわけでもないので、この外出禁止を解除すればただ単に1か月前に後戻りしてしまうだけでは?と思うのですが、それは違うのでしょうか?
私の息子とお隣さんの子供(共に7歳)を、「病気の感染を防ぐために我慢しなさい」と言って一緒に遊ばせないようにしていたのに、それが明日からは大丈夫になる。「もう病気は大丈夫なの?」と聞かれれば「病気はまだ感染するかもしれないけど、一緒に遊ぶのは大丈夫」と言うことになるでしょう。自分でも何を言っているのかよくわかりません。
もちろん一気に外出禁止を緩和させるのでなく、段階的にということで専門家が話し合っているということはわかるのですが、外出禁止令が出される理由となった問題、「新型コロナウィルス」はまだ解決されていません。感染人数が減ったとなると、何となくウィルスが弱くなって収束するようなイメージがわきますが、何のことはない、それはみんなが自宅に閉じこもっているからというだけのこと。別にウィルスに対抗する力がついたとか、ウィルスが弱くなったとかいうわけでもないのです。だからやっぱりみんなが外に出れば同じことの繰り返しなのでは…?
ここまで来て、このウィルスがいかに私たちの「日常」を変えているのかを、新しい見方で感じたような気持ちです。
さて、日本では全国に緊急事態宣言が出されるなどで、非常に緊迫した状態になっているのではないかと想像しています。どうか日本の皆さん、お気をつけてお過ごしください。日本が、世界中が、無事に、できるだけ少ない被害で、この災害を乗り越えられますように…。
そんな中、日本について書かれたちょっと変わった記事をイスラエルのニュースサイト、Ynetで見つけましたのでご紹介いたします!
「"HANKO"の国、日本。感染症の流行時も事務所に出社」という見出しとともにハンコの写真が!
記事の内容は、ハンコとは何かという説明から始まって、最新テクノロジーを開発している東京の会社の社員、ミズホさんが在宅勤務になったにもかかわらず書類にハンコを押すために出社しなければならなくなった話や、会社がデジタルスタンプに移行した会社に勤めているユミさんが「クリックするだけでハンコと同じ役割を果たしてくれる、とっても便利です」などと言っている話などが、日本の街や電車の様子の写真、安倍首相の写真などとともに紹介されています。ミズホさんの会社に関しては「社員はみんな、最新のデジタルコミュニケーションツールを使いこなせる人達なのに、紙の書類にハンコを押すことは必須」という、日本のネットの記事でもよく書かれているような表現がされています。
最後はユキさんの「日本人は勤勉で、そうそう簡単には仕事を休めない。強制的に出勤を制限してくれなければ人との接触を8割も減らすのは無理に近い」という心配の言葉で記事が終わっています。
最近、日本のニュースサイトをあちこち読んでいる私にしてみれば、特に目新しいこともなく、そういったサイトの翻訳といっても変わらないのではないかと思うくらいの記事だったのですが、私にとって面白かったのはハンコの説明です。
「ハンコはインカンとも呼ばれ、指先くらいの大きさにも満たないような小さなスタンプで、そこには個人の名前が書かれてあり、赤いインクを使って、契約や承諾、承諾、銀行などでは本人確認が行われます」というような書き方をされていて、なんだかクスッとしてしまいました。私たち日本人には普通過ぎてあまりよくよく考えたことがなかった「ハンコ」の定義。朱肉が赤いインク。まあ、確かに。なるほどですね。
どうか皆さん、お互いに気を付けて過ごしましょう。命、経済、個人の尊厳、民主主義、地球環境と私たちの生活…いろいろなこと疑問符だらけです。そんな中、何を基準に暮らせばいいのかなあ…と。信頼?敬愛の気持ち…かな?答えは出ません。