2020年9月16日 コロナと国交正常化と
こんにちは!最近のイスラエルは相変わらずいろいろなニュースであふれていて、とてもあわただしい気持ちの毎日です。
うれしいニュースで気持ちが舞い上がると同時に、苦しいニュースで不安にさいなまれる。私はラジオのニュースを聞くのが趣味なのですけれど、あまりにもエキサイティングなニュースが次々と流れてきて、いつまでも飽きることなくラジオに耳を傾けていられる気がします。
昨晩は、ガザからのロケット攻撃でイスラエル人2名が負傷したというニュースを気にしつつ眠りにつきました。
昨日は、アラブ首長国連邦とバハレーンの、イスラエルとの国交正常化を記念してアメリカで署名式が行われていたのですが、このロケット攻撃は、イスラエルとアラブ諸国の平和路線に対する抗議と考えられています。
実は、8月中は、ガザ地区よりイスラエルに向かって火炎瓶などがくくりつけられた風船による攻撃が頻発していました。ミサイルの様な派手さはないため日本などではあまり報道されないかもしれませんが、実は、イスラエルはこの攻撃でかなりの被害を被っていて、火炎瓶バルーン攻撃をやめることと引き換えに、検問所を開いたり、カタールから送られてきた大金をパレスチナ側に送り込むなどして、一種の「停戦協定」が結ばれていました。けれど、このミサイル攻撃はこの停戦協定を一瞬にして吹き飛ばしました。
それでも実は、私が今朝一番興味を持って聞きたいと思っていたニュースは、コロナ第2波の拡大を受けて今週末から始まる予定のロックダウンの詳細についてでした。
ユダヤ教の新年が18日の夕刻から始まるのですが、このタイミングに都市間封鎖を行うということについて、市民団体、飲食店協会、地方自治体、宗教家、一定の民族、政府内でも…と、ありとあらゆるグループが、際限のない反対意見を唱え続け、大臣の辞任まで引き起こし、もう、事態は完全にカオス化。本当に収拾がつくのだろうか…という状態なのです。
(正直、私も、どのグループがどのポイントでどういうふうに反対しているのかといったことを、一つ一つを追って確認してはいません。)
特に私の知りたいことは「うちの子供たちは明日、学校に行くのかどうか」ということでした。
さらに、連日うなぎ上りに増えていくコロナ感染者について。イスラエルでは連日少なくとも3万件、多い日は5万件以上のPCR検査が行われていますが、その中で3千から5千人、つまり約1割に陽性反応が出ているというコロナの感染拡大ぶり。
ご近所さんにも感染者が出て家族全員が隔離となったり、子供たちの学校の生徒やその家族にも感染者が出て、連日、3人の子供の学校からそれぞれ、もう読むのもうんざりなほどの、山の様なメッセージが届きます。(学校と父母間の連絡は、ワッツアップというアプリ、ライン・イスラエル版で行われています。)コロナがあまりに身近に迫ってきているということもあり、今日のイスラエルのコロナの様子は?と、私は、解説者の説明を聞きたかったのです。
きっと、多くのイスラエル人もそう思っていたと思います。全世界の和平のダイナミクスを大きく変えると思われる歴史的な平和調印式の翌朝であっても、その時代に生きる者としての感動は感動として横においておいて、市井の庶民である私にとっては、自分の子供のお迎えの時間と、明日の仕事の予定の調整が一大事なのです。
けれど、今朝、一番最初に大きく報道されたニュースは、未明にガザ地区からイスラエルに向けたロケット攻撃16発についてでした。
コロナだ、国交正常化だ、ロックダウンだ、それに飽き足らずにミサイル攻撃だと、…次から次へとまあ、よくもここまで「大ニュース!」がいっぱいあるものだ、と、感心してしまうくらいです。
今朝は、空襲警報アプリの音で5時にたたき起こされましたけれど、私は寝ぼけ眼でアプリを消音にしてまた眠りにつきました。それでも、実際にその地域に住んでいる人たちはシェルターに避難しなければなりません。忙しいこと、この上ありません。
こういう時に、家族にコロナ感染による隔離中の人がいたら、その人はほったらかしにしてシェルターの扉をバシン!と閉めるのでしょうか?寝ぼけた頭で疑問が私の頭をよぎりました。
(私の隔離の経験から、うちの家族ならやりかねない、皆で私をほったらかしてシェルターに逃げ込むに違いない、そんな気がしました。次回隔離があったら、シェルターを隔離部屋にしよう、とひそかに思いました。)
こうやって、毎日毎日、心の落ち着く間があるようなないような…。
結局、子供たちの学校は今日を最後に明日から休みに入り、ロックダウンは金曜夜の新年入りから始まり、3週間続くようです。
ロックダウン中の行動規範についてはまだしっかりと確認していませんが、「前回よりも緩い」と言っている人が多い気がします。とはいえ、3週間ですからね…。
前回のロックダウン中の過ぎ越しの祭りに続き、今回も新年、大贖罪日、仮庵の祭り…と、ユダヤ教の最も大切とする祝祭日がある期間です。
普段は絶対にシナゴーグに行かない人でも大贖罪日だけは行くという人も大勢いるし、新年、仮庵の祭り、どれをとってもユダヤ教徒にとってはおろそかにできない、また、普段は宗教とは関係ない暮らしをしている世俗派にとっても、家族との繋がりを実感し共に祝う重要な祭りです。日本人に、「今年のお正月は初詣に行くのは禁止!」というのと同じか、それ以上のインパクトがあるものなのです。
それでも、私のうちでは、主人の両親が高齢及び持病を持ったかなりのハイリスクなので、このように、政府の強制力によって祭りに親戚一同が集まることができないというのは、とても助かります。
なぜなら、これまで70年以上も、戦争の時も、外国に住んでいても、どんな時も「祭りの日は家族が全員集まるもの」と思ってやってきている人々にとって、娘や息子が孫たちを連れて祭りを祝いに来ない、という事実は、ものすごく精神的にショックなことのようなのです。
行きたいのは山々だけれど、両親を心配しているから行けないんだと、口を酸っぱくして言っても気持ちがついていかず、「子供に裏切られた」「ひどい扱いを受けている」というような調子で、日々電話で泣き崩れそうな勢いです(実際に、ちょっと泣いていました)。
「こんなことは、私たちの時代にはなかったわ」と、誇らしげ(?)に言うのですが、「いや、こんなの、誰の時代にもなかったから。世界、人類、皆にとって初だから」といってもそれは心には響かず、最後は仕方ありません、「ごめんね、政府が禁止してるし。すっごい行きたいのに残念だよ、ひどい政府だよね」などと、慰め半分に、私自身は別にそうは思ってもいないことでも言って、気持ちを落ち着かせてもらう以外に方法はないのです。
イスラエルでは、第一波の時のように、「コロナにかかったらもう、すぐ死んじゃうんだ!!!」みたいな恐怖や切迫感はちょっと薄れているような気がしますけれど、それだけに、感染も拡大してしまう気がします。
コロナ、コロナといつまでもそれにばかりフォーカスするのも飽きてしまったというような、他にもいっぱい大切なことや忙しいことがあるんだよ、とでも言いたいような…。
それでも、コロナのせいで今までと同じ生活ができないことは動かしがたい事実です。
経済活動と感染拡大予防のバランスを取りつつ、私自身はとにかく精神的なバランスを大切に、毎日をできるだけ楽しく元気に過ごしていきたいです。
金曜から開始するロックダウンに備えて、ボードゲームやパズルを準備し、冬用の野菜苗を買い込み、歌いたい歌リストを作り、子供たちには音楽演奏学習アプリをダウンロードさせ、3週間後に発表会をすることを言い渡しました。
そして、やっぱり国交正常化は信じられないほどステキなニュース!こちらに注目したいです!
皆さん、どうか健康に気を付けて。移動は不自由ですけれど、心はいつも自由でありたいです!
写真(Facebook 投稿の際のもの)は世界発!イスラエル・アラブ首長国連邦・バハレーン参加国の同時放送です!!!興奮します!
この、ハッサンさんのツイッターでわかりやすい放送を見ることができます!
ヨニット・レビが緊張してる!焼き付けっぽいアラビア語の単語、入れてる!(笑)