トヨタ物語 ウーブン・シティへの道|第29回 荷姿からわかるカイゼン
■上面揃えに
トヨタ自動車九州の調達物流でいえば、部品を納入する各協力企業がトラックを仕立てていたのを、トヨタが輸送の元受けになって部品を巡回集荷する「ミルクラン」に変更したことで、効率はよくなっている。
積載率は19パーセント上がって、1台のトラックあたり83パーセントになった。ドライバーの走行距離は1日あたり12パーセント減った。そうして、協力会社からトヨタ自動車九州の宮田工場まで届くリードタイムも2時間から6時間は減っている。
成果が上がったのは単にミルクランの採用だけではない。現場に行ってみると、実に細かい点までカイゼンしていることがわかる。
たとえば、カイゼン後のトラックの荷姿を見ると、荷物の上面はきれいに揃っている。各協力企業から運ばれてきた部品入りのケースを積み込んだにもかかわらず、荷物の上面は凸凹が少ない。きちんと揃っていればトラックが横揺れしたり、道路の陥没した穴にタイヤがはまり込んでも、荷物が崩れることはないから部品は傷つかない。
しかも、1台や2台ではなく、ミルクランに参加しているウイングトラック(側面の扉が開くトラック)の扉を開けてもらうと、どれも「上面揃え」になっている。
神経質なドライバーが荷物を積むたびに、丁寧に積み直したのではないかと思ったら、そうではなく、ちゃんとくふうがされていた。
物流管理部長(取材当時)の一柳尚成はほくそ笑みながら、教えてくれた。
「各協力会社に部品を発注する時に、荷姿が上面揃えになるように事前に考えているのです」
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