
トヨタ物語 ウーブン・シティへの道|第42回 歯科口腔外科のカイゼン
■「ありがとう」が参加意欲を高める
トヨタ記念病院で現実的に成果を出しているカイゼンがある。歯科口腔外科と待合場所のそれだ。歯科口腔外科では待ち時間が短くなり、診察時間が増えた。病院の待合室のカイゼンでは滞在時間が劇的に減った。
患者にとって、病院で嫌なことの筆頭は待たされることだろう。コロナ禍では病院に行くこと自体、気がすすまないのに、そのうえ密に近い待合室で長時間、待機することは耐えられない。
トヨタ記念病院ではコロナ禍の以前から着実に具体的な取り組みをしていたから、待ち時間は減っている。むろん、患者はハッピーになり、感謝の言葉を告げる。職員たちはますますはやる気が出る。
サービス、接客におけるカイゼンは数値が上向きになっただけでは不足だ。現場で「ありがとう」の声を聞くことが参加意欲を高めていく。QCサークルなどの教育、提案活動が生産現場では高く評価されているのに対して、目の前に顧客がいるサービスの現場でなかなか普及しないのは、この点だろう。数値がよくなっただけではサービス従事者はピンとこない。目の前の顧客から「ありがとう」「助かりました」という声を聞くことがモチベーションを上げるのである。
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