
トヨタ物語 ウーブン・シティへの道|第27回 調達物流のカイゼン
■部品をサプライヤーから工場へ
大規模なカイゼンが始まったばかりと言えるのが「調達物流」だ。サプライヤーから工場まで部品を持ってくる物流である。
部品を工場に運ぶ場合の大原則はジャスト・イン・タイムであること。つまり、生産ラインの側にあるのは一定量の部品だけという状態を保持することだ。一定量とはだいたい、4時間から8時間分とされている。道路が台風や雪で部品が調達できない場合は、工場を止めることになる。
また、調達物流は主に国内のサプライヤーから国内の工場への動線を言うが、国内から海外へ、あるいは海外から国内への部品補給もある。
トヨタの海外工場には主なサプライヤーが一緒に出て行って、部品を作っているけれど、稀に、国内の一か所でしか作っていない部品がある。そういう部品は船で運ぶか、災害時などの緊急の場合は飛行機を使うこともある。
調達物流について、宮田工場、物流会社まで同伴してくれた物流管理部長(取材当時)の一柳尚成は飛行機で部品を届けた経験がある。
「アメリカの西海岸で大きな港湾ストライキ(2014年11月)がありました。その時は飛行機を飛ばしてでも、部品をつなげとなったのです。アメリカから日本のレクサス工場まで、マーク・レビンソンという高級オーディオ、そして、メキシコから牛革シートを飛行機で持ってきました。
マーク・レビンソンの工場はメキシコにあるだけなので、船で間に合わなければ飛行機に載せるしかありません。また、シートに使う牛革も調達するのはメキシコです。牛革は一枚革では輸入できません。シートの形状にそった形にカットしたものになって初めて輸入することができるのです。そこで、形状に合わないものが入っていたら、急遽、調達しないといけない。なにせ、シートの形状だけでも140種類以上もあるものですから。
飛行機で運ぶと船よりも10倍以上のお金がかかります。しかし、それであっても、工場を止めるよりはいいということなんです」
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