トヨタ物語 ウーブン・シティへの道|第26回 船上のギャングたち
■すーっと来て、ぴたり
完成車の輸出でカイゼンしたのは屋根を付けて屋外作業をやりやすくしたことの他、スマホのアプリを使って、ドライバーの仕事を軽減したことなどが挙げられる。ただ、屋根の据え付けもスマホ利用も現場で詳しく説明してもらわないと、どこが効率的になったのかはすぐにはわからない。
一方、ひと目見ただけで、効率的でしかも職人技だなとわかるのが船積みヤードから自動車専用船に上げていく工程だ。
「ギャング」と呼ばれる小集団が船積みヤードから新車に乗り込み、船のなかへドライブしていく。新車を並べる場合、1台でも多く船積みするため、前後の車間は30センチ、隣の車との幅は10センチという、わずかな隙間にする。熟練の乗り手でなくてはできない技だ。この場合のカイゼンは車間を1センチでも縮めていくことであり、全体の作業時間を短くするためのそれだ。
見に行ったのは香椎モータープールにおける積み込み作業だった。船は2000台が載る「TOCHO(トーチョー)」という専用船である。その船に22人のギャングが2日がかりで車を載せる。
2000台の自動車専用船は、外観こそ「船」だけれど、内部に入ると、立体駐車場そのものだ。ショッピングモールに付設してある5階建て、6階建ての立体駐車場が船になっている。だから、船のなかへ運転していくこと自体は問題はない。誰でもできる。しかし、そこから先の駐車と車体の固縛(こばく)作業は熟練者でないと不可能だ。
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