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【短編小説】 霊感タオル その2

ああ、今日もしっかり日差しがギンギン、気温も景気良く30度超え。

やる気出ませんがな・・と思いつつ、カーディガンにホットコーヒーな田島を横目に営業へ出た。

あれはあれで、身体壊すよな。


午前中のひと周りを終えて、気づけば13時。

太陽が一番やる気を見せる時間となっている。

得意先で冷えた麦茶を頂いて少し涼んでは、玄関を出た途端にプシューっと汗に早変わり。

食欲もイマイチ出ないけど、何か食べないともたないから、立ち食いそばで大盛りのかけそばを滞在時間10分で流し込んだ。

公園の木陰のベンチでひと休みしている時に、ふと持っているタオルが冷感タオルだったことを思い出した。

きょうはいまの今まで大して面白いことも無かったから、これでも試してやろうと水飲み場でタオルをぐっしょぐしょに濡らして、周りに誰もいないことを確かめて振り回してみた。

振り回す行為で小汗をかいたから、タオルで首を拭った。

「フォッ」と声が出る程、思いのほか冷え冷えだった。

思わず顔を拭ってみると、これまたサッパリと。

さらに誰も見ていないことを確認して、猛スピードでワキも拭いてみると、実に爽快。

またビッショビショに濡らしてブンブン振り回して、首に巻きながらベンチへ戻った。

ああ、ちょっと落ち着くな・・と思っていると、目の前に人が立っている。

見上げると相当調子の悪そうな顔面真っ青の女が自分を見下ろしている。

タオルの冷感以上に背中にゾクっとするものが走った。

思わずベンチの端に寄った。倒れられたら困るし。

女は座ると思いきや、ただ近づいて来た。

「見えますか?」と聞こえたような気がした。

正確には頭の中に文字が浮かんだような感じで、耳から音として入っては来ていない。

何だこいつ?と思う前に体が硬直してしまった、首に物凄くクッキリとした1センチ位の黒い筋が横に、というか首を一周クルっと回っている。

おおおお!!?

ひょっとして、こいつ、ひょっとした存在??

首の筋に釘付けになっていると、足元にコロコロッとゴムボールが転がって来た。

ゴムボールは女の両足をスピードを緩めることなく、コロコロコロっと通過していった。

幼稚園児がキャッキャしながらボールを追いかけて来て、女にぶつかるはずがそのまま女の下半身を通り過ぎて行った。

女も慌てるそぶりも無く、自分を凝視している。

ナニコレ?と思うや否や、女が自分の首元に手を伸ばして来た。

急に我に返って、ピョンっと立ち上がってダッシュしてベンチから駆け出した。

公園の出口辺りで振り返ったけど、ベンチの周りには誰もいなかった。




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