希望の物語、現実だって物語。 ~ 舞台 ワタシタチはモノガタリ ~
大好きな俳優の江口のりこさん。
noteに観劇した出演舞台の感想を書いているのですが、どれも江口のりこさんにゾッコンな文章となっています。
飄々として面白く、憎たらしい役はしっかりイライラさせてくれる素晴らし俳優さんですね。
そして松岡茉優さんも好きな俳優さん。
先だって観劇して面白い俳優さんだなぁと思っていた千葉雄大さんも御出演で、ストーリーも相当面白そうと来たら、四暗刻の役満ですからチケット争奪には挑むべきであり、嬉しいゲットだぜ!が出来ました♪
ルンルンしながらパルコ劇場へ向かい、前から5列目の舞台中央右寄りのナイスなお席で観劇してきました。
ここから感想を含んだネタバレがあります。
これから観劇予定の方は後日お読み頂けましたら幸いです!
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ストーリーは、肘森富子(ひじもりとみこ)こと大学生の江口のりこさんが文通相手に手紙を書いているところから始まります。
文通相手は中学の同級生で同じ文芸部だった徳人(のりひと)こと松尾諭さん。
カッコ良くも無く、アホ丸出しの中学男子だった松尾さんと仲良しだった江口さん。
大阪弁の丁々発止のやり取りをいつもしていた二人ですが、中学3年生の年、松尾さんが東京へ引っ越すことになります。
そんな松尾さんを江口さんは呼び出し、住所を教えて欲しいと切り出します。
何か送って貰えると思った松尾さんが嬉々としますが、お互いの受験を励まし合ったりしよう!と、切り出す江口さん。
いいよ♪といった軽い感じで江口さんの手帳へ東京の住所を松尾さんは書き付けます。
実はふんわりとお互いを思っていた二人。
ここからお互いの近況を手紙に綴り送り合う、長い期間の文通がスタートします。
高校、大学、就職活動、就職・・と、日々が過ぎる中、江口さんは中学生の頃から夢見ていた小説家になるべく、料理の豆知識のまとめなど「しょうもない」ライターの仕事の傍ら、小説を書いては応募・落選することを細々と続けており、対する松尾さんは零細出版社に入社し、編集者として仕事をしています。
普段は「20代で華々しく小説家デビューして、原作が映像化された時の俳優と結婚する」など、夢見心地で書き綴る江口さんですが、ある時の手紙に「もし二人が30歳まで独身だったら結婚しよう」と冗談半分で書きます。
対する松尾さんの返信の手紙には「それは面白いな、もしそうだったら、しよっ!」っと割と乗り気な返信が届きます。
この手紙を読み返す度に胸がときめく江口さん。(イイ表情)
ところが、いざ30歳となった松尾さんは職場の女性と結婚することになり、夢、破れたり!!状態で愕然としつつも、江口さんは同級生と式に出席します。
「がっかりしてんじゃないの?」とけしかける同級生に、「そんな訳ないやん」と強がる江口さん。
お色直しの途中、江口さんは松尾さんにお願いしていた「今まで送った自分の手紙」を返して貰います。
更に時は流れて10年後の40歳。
松尾さんが帰宅すると、家では奥さんがスマホにかじりつきで携帯小説を読み耽っています。
松尾さんは携帯小説なんて読むに値しないと小馬鹿にしますが、10歳の娘も大ファンである生配信で書道をする寡黙なイケメン韓国人書家Youtuberと同じくらい夢中と聞き、渋々読むことに。
携帯小説「これは愛である」は、可憐なビジュアルの「ミコ」こと松岡茉優さんとイケメンで優しい「リヒト」こと千葉雄大さんとの胸キュンラブストーリー。
二人の往復書簡がベースとなっており、中三の時にリヒトが遠くへ行ってしまう別れ際のキッスの思い出、ことあるごとにミコを励ましてくれる優しくかっこいいリヒト。
様々な困難を乗り越えて大人になった二人は結ばれるのか?!
世間のキュンキュンを受け、SNSに小説が投稿される度にフォロワーも閲覧数も怒涛のうなぎ登り。
そんな「これは愛である」は、江口さんが自分で書いた手紙部分はそれはそれはステキに脚色し、松尾さんの手紙はそのまんまでアップしている中3の頃からの二人の淡い恋心を、リアルに感じられるやり取りをベースにした携帯小説です。
リアルは当たり前ですが(笑)
なので、主役の二人の名前も「富子(とみこ)」→「ミコ」で、「徳人(のりひと)」→「リヒト」といった、ほぼそのまんま。
美男美女に脚色されまくっているので、容姿は似ても似つかず。
これに目を付けた松尾さんのライバル出版の編集者が小説の出版化のため、映画監督が映像化へ向けて水面下で動き出します。
しかし出版化・映像化に際しては許諾が必要と江口さんは指摘されます。
江口さんは良いとして、松尾さんは手紙が思いっきりネット上にさらされていることを知りません。
江口さんは松尾さんに連絡を取り、真相を話し許諾を取ろうしますが、松尾さんは大激怒。
江口さんの「ミコ」部分は物凄い脚色でステキな女性に仕上がっていますが、松尾さんの「リヒト」はビジュアル以外はほぼそのまんまなので、「ミコ」の恋心に全然気づかない(ふり)の鈍感具合がもはやツンデレ。
こんなのがバレたら世間に顔向け出来ない!!!っと、許諾を断固拒否。
ところが映像化する場合「ミコ」役が長年憧れていた女優と聞かされ、監督と顔合わせの際に同席すると聞き、「アンタも来る?」と聞かれた松尾さんは満面の笑みで頷くのでした。
いざ顔合わせ。
「これは愛である」の大ファンである女優は作者と会えること、まだ未完でもうすぐラストが近いとあり、リアルではどうなっているのか聞けると思っているため、かなりノリノリ。
ですがそこに現れた江口さんが小説上は標準語であるところ、思いっきりな関西弁であることにショックを受けます。
そこは乗り越えたとして、後から出て来た松尾さんの「THEおっさん」のビジュアルに愕然とする女優。
対する松尾さんの憧れの女優を前にしたノリノリっぷり。
おまけに期待していた「30歳で結婚しよう!!」のストーリーが、リアルでは全然ハッピーエンドじゃないと知り、どんどんやる気を無くす女優。
江口さんは小説家として世に出られる大チャンスと思っているため、女優からの「ハッピーエンドのラスト」に応えるべきか悩みます。
ですが、「それは江口さんが書きたいものじゃないはずだ!!」っと、編集者魂が出てしまったりする松尾さん。
ただ、10歳の娘が夢中な書道家Youtuberを「リヒト」役としてオファーすると聞き、反抗期真っ盛りの娘の歓心を買えるかも・・と、許諾をします。
オファーを受けた書道家Youtuberが、女優とセリフ合わせをする日。
恐ろしいほどの「棒読み」書道家Youtuber。
なのに演技論が妙に的確な書道家Youtuber。
自分が恐ろしいほどに「棒読み」なのに、押しも押されぬ大人気女優に「あなたの演技はなっていない」と言い放つ書道家Youtuber。
ブチ切れる女優、小説に関して自分だって意見する権利があると主張する松尾さん。
江口さんと松尾さんが打ち合わせをしている際に、江口さんの創造する「ミコ」と「リヒト」たちが、まさかの口出しをし始めます。
果たして江口さんは小説家デビュー出来るのか、松尾さんと娘の仲は、出版化は、映像化は??
江口さんも松尾さんも関西のご出身なので、ナチュラル関西弁の間が絶妙で終始笑いっぱなしでした。
そこに関西人が一番腹が立つであろう、エセ関西弁を使う美化された江口さんの松岡さんと松尾さんの千葉さんもステキ(笑)
自分もnoteを使い始めた当初は「小説を書く」つもりで、確かにちょいちょい書いてはいたのですが、間隔が開きまくって最後にいつ書いてアップしたかも忘れました(笑)
下書きに3本くらいありますが、どう思って書き始めたのか思い出せず。。
舞台の江口さんが本当に書きたいストーリーにするか、女優の希望通りにして「小説家」として大々的に世に出る機会を得るべきか。
・・といった辺りは、「noteを書き始めた当初、余りにもスキもコメントも付かないので、付けて貰えそうな文章を書いたつもりが、書いた自分がつまらなくなってきて止めた(しかもスキもコメントも増えず)」と、少し前に某noterさんとコメントで語り合ったことがあり、面白い舞台と一緒にすることじゃありませんが、そうだよねぇ。。と一緒に考えちゃいました。
江口さんの文通上の「25歳小説家、俳優と結婚」を年齢的に通り過ぎ、それでも「30歳で徳人と結婚」を楽しみに文通を続けて、好きでも無いライターの仕事をして過ごす日々はせつないものがありました。
叶うことの無かった淡い希望を「ネタ」にして、ネット上で大花火をぶち上げる様は喝采ですが!
この映像化を画策する監督も大学生の頃に作ったドキュメンタリー映画が大きな賞を取り、そこからうだつが上がらず、一緒に映画を作った「女優(彼女)」は自分のそばで世間に認められている様を見続ける。
自分も、もう一旗揚げたい。
書道家もビジュアルだけでなく、書道も認めて欲しい、殻を破りたい。
松尾さんも、こだわりが強すぎて色々な人から敬遠され、うだつの上がらない今の仕事っぷりや、反抗期の娘に関心を持ってもらいたい気持ち。
それぞれの思いが「これは愛である」にぶつけられ、それでいてリアルは世間が望むところに着地していない現実。
ラストシーンは、やりたいことを頑張ろうじゃないか!と、観ている自分を応援してくれている気がしましたし、応援してくれる人がいるよ!っとも思えました。
声を出して笑って、そんな都合良くないだろっとツッコんで、ガッカリしても前を向ける、そんな愉快で元気になれる舞台でした!
文通の手紙を紙飛行機にして飛ばすシーンがあるのですが、自分のnoteのトップに貼っている小説も同じことをしているので、トキメキました(笑)
あ、チケットを取る前に書いております。。
そして、やっぱり江口さん最高です♪
舞台セットも小説の「」をイメージさせ、その中を「ミコとリヒト」、「富子と徳人」が行き来して、思いを語っている体に見えました。
メインの4人も、そしてサブキャストの方々もひとりイチ役ではなく、何役もなさっていましたが、それぞれみんなイイ味が出まくっていました。
当日券も出るようなので、ご都合がついたらぜひとも!!
かなり笑えて元気になります♪
あぁ、そろそろ自分も小説書こうっと(笑)