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サカナクション : 光
サカナクションは、2018年、「SAKANAQUARIUM2018 魚図鑑ゼミナール VISUAL LIVE SESSION」というライブ公演を行いました。
VISUAL LIVE SESSION という名前の通り、本来ライブの演出の一つでしかないヴィジュアルを「演者」として対等に扱い、音楽を通じてバンドと映像作家とがセッションをするという公演です。
最高です。
ライブは「深海」「中層」「浅瀬」の3部に分けられ、それぞれを担当する山田智和、田中裕介、山口保幸というトップランナーの映像作家たちのヴィジュアル世界がバンド背後の巨大なスクリーンに映し出されます。
ライブは本来音楽を聴く体験がメインですが、合わせてヴィジュアルを観るという、映画とライブの間みたいなことをやっています。
最高ですね。
3部構成なのも映画的です。
明らかに音楽に沿って空間を盛り上げる「VJ」ではなく、鑑賞する作品としての「ヴィジュアル」です。
それ単体でも成立する美しさで、「ナイロンの糸」に関してはこのヴィジュアルがそのままMVになっています。
ライブは音を聞くだけのものではありません。
バンドが演奏している姿、踊る人々、眩い照明、レーザーや炎の演出など視覚面でもバラエティに富んでいます。
音楽は音です。対して、これらの視覚効果は、光です。
音と光が完璧に合致したショーは、この上なく心が満たされます。
サカナクションは、もちろん音によって表現をするクリエイターですが、光の面でも他のクリエイターと共に表現を突き詰めているようです。
そして2020年、サカナクションは配信ライブ「SAKANAQUARIUM 光 ONLINE」を行いました。
これが最高すぎて、音と光の表現がこんなところまで到達できるのかと、度肝を抜かれました。
またまた映画とライブの間みたいなことをやっていて、配信という状況を最大限に活かした、リアルタイムに撮影される「映像作品」です。
空気を一面の色で染める照明、メンバーを包む真っ白な衣装、きめ細かいノイズやレーザーのエフェクト、そしてそれを撮影するカメラの映画的な動き。
全てのクリエイターとスタッフが音と同じ密度のこだわりを持ってヴィジュアルを作っています。
音と光が合わさって、それで初めてライブパフォーマンスが完成する。
そんな想いを感じて、深く深く共感するばかりです。