Porter Robinson : ヴィジュアル愛
2021.09.18, 19 に開催されたPorter Robinson 主催のフェス「Second Sky」での、Porter Robinson のライブヴィジュアルが本当に良かった。
本当に凄いものを観たと思いました。
Porter のパフォーマンスに合わせて、超巨大LEDディスプレイに映し出されるヴィジュアルは、圧巻の圧巻。
芸術的にも、技術的にも、規模的にも、間違いなく世界で最もイカしたライブヴィジュアルの1つです。
このライブパフォーマンスは全長1時間40分ありますが、そのどの瞬間を切り取っても圧倒的な密度と美しさのヴィジュアルが洪水のように押し寄せてきます。
これを作り上げるのにどれだけの労力がかかったか、想像を絶します。
グラフィックデザインとミュージックビデオと映画の中間みたいなことをしていて、「ライブヴィジュアル」としか形容できないコンテンツです。
新しいバランスを発明しているので、見方によっては映画を1本作るより難しいことをやってのけていると思います。
良いところを挙げればキリがありませんが、特に凄いのは、楽曲と同じレベルで、ヴィジュアルのルックや世界観が完全に「Porter Robinson」ものとして確立されていることです。
一瞬聴いただけでもPorter の楽曲だ、と分かるのと同じように、パッと観た瞬間にPorter のヴィジュアルだ、と分かるくらいキャラが濃いです。
ライブヴィジュアルに限った話ではなく、ジャケット、MV、Webサイトなどあらゆるヴィジュアルがこのキャラで統一されています。
2020年にシングル「Get Your Wish」がリリースされてから、コンテンツが出るごとにこのヴィジュアル世界はグングンと成長してきて、今回のライブヴィジュアルにはその結晶が凝縮されていました。
ひとつ一つの要素は珍しいものではないんです。
空や森や花などの自然と、それをデジタル化するフレームやメッシュや白い線。
セリフ体のタイポグラフィとアニメ。
これだけで「Porter Robinson っぽさ」を取っちゃってるのは本当に凄い。
とても深いレベルで楽曲とヴィジュアルが結びついているから成り立つこのシンプルで強いやつ。
この広い広い世界観のうちの一つの表現としてライブヴィジュアルは位置していて、もうそれはVJとかいう次元は超えていて、映画的なプレゼンテーションです。
Porter が音楽によってフィーリングや哲学を表現して届けているのと、同じレベルのことをヴィジュアルチームもやっている。
単純にクオリティが世界トップクラスなのはもちろんのこと、クリエイターたちの精神のほうに魅了されます。
サウンドとヴィジュアルが合わさって、その総合芸術としての「映像体験」を届けることで、初めてPorter Robinson の作品が完成するという感覚なのでしょう。
ヴィジュアルへの愛に、素晴らしすぎて涙が出ます。
あと、このライブで最も感動したのは、ライティングです。
たぶん、ライティングもヴィジュアルと同じように1時間40分のとてつもなく細かいシナリオを作って再生してる。
音楽とヴィジュアルとライティングの3つが尋常じゃないほどに結合していて、ヴィジュアルが消えてライティングに演出を託す時もあれば、その逆もあります。
スケールが大きい盛り上がる曲では、色と動きをヴィジュアルとシンクロさせて、ディスプレイを飛び出して迫ってくるように見えるライティングをしてます。
普通のフェスでは、盛り上がる場面ではVJとライティングがお互いに邪魔し合って光が多すぎグチャグチャっとなりがちですが、このライブの光は、ちゃんとスケールは大きいのに、ずっとシンプルに整理されています。
「良いものを観ている」感覚ってこういう作り込みから来るんでしょうね。
ライトの種類も、スポットライトの他に、ステージの上と下に、とてつもなく明るいLEDが横一列に並んでいて、これが光ると会場の空気が色で染まります。
ベース的な、細かく動くいろんな要素をしっかりまとめる強い光です。
演出アイデアも盛りだくさんでした。
パソコンのWebカメラ使っちゃうとか、床のディスプレイに寝転がって上から撮るとか、最後の方の灯台が回るヴィジュアルに合わせてステージ上部のライトが光るのとかはもうイリュージョンです。
とにかくカッコよかった。
ちなみに今回のライブヴィジュアルはいきなり作られたものではなく、今年の4月に配信ライブでミニバージョンが行われています。
この時からいろいろ進化はしていますが、基本的な形態はここで一度確立され、だから今回のスケールと密度が出せたのでしょう。