Prepared speechの原稿審査でよく見る文法エラー①
Prepared speechの審査の場合、ほとんどの大会で出場者が事前に原稿を執筆して提出します。その場合に多く見られる文法・語法上のエラーについていくつか取り上げていきたいと思います。これらはCDE型評価(詳しくはこちらを参考にしてください)の場合、主にEnglishカテゴリにおける減点対象となります。
等位接続詞の用法
等位接続詞は語と語、句と句、節と節を対等に接続する働きを持つ語です。語、句、節についてはそれぞれ次のように定義されます。
語: 単語。英文を構成する最小単位。
句: 語句。2語以上で成り立つ、主語述語を伴わない語のかたまり。
節: 文。2語以上で成り立ち、主語述語を伴うかたまり。
等位接続詞は、主に次のような語を挙げることができます。
① and ② or (nor) ③ so ④ but ⑤ yet ⑥ for
ここでは等位接続詞の原則的な用例について簡潔に紹介しておきます。
1. カンマを伴わずに用いる場合
等位接続詞は、原則として2つの語や句を並列する際はカンマを用いず、3つ以上の語や句を並列する際にカンマを用います。以上の原則に従って例を挙げます。
・2要素の並列:
A and B (AとB) A or B (AまたはB)
・3要素以上の並列*:
A, B and C (A、B、そしてC) A, B or C (A、B、またはC)
3要素以上の並列の場合、最後の2つをノーカンマで接続します。
* 3要素以上の並列の場合、等位接続詞の直前にカンマを用いることがあります。これはオックスフォードカンマと呼ばれ、主に並列要素の混乱を避ける目的で用いられます。名称はオックスフォード大学出版が並列表記でコンマを使用することを指針していることに由来します。
2. カンマを伴って用いる場合
節同士を接続する際にカンマを用います。
① and
* 命令文またはそれに相当する文の直後に用いる場合
e.g.) Get up early tomorrow, and you will be in time for school.
「明日は早起きなさい、そうすれば学校に間に合うわよ。」
② or
* 命令文またはそれに相当する文の直後に用いる場合
e.g.) You need to submit this document today, or it will not be processed by the end of the month.
「今日この書類を出してください、そうでなければ月内に処理できません。」
② nor
* 否定の同意表現で用いる場合
e.g.) David doesn't speak much English, nor do I.
「デイヴィッドはあまり英語を話せませんし、私もあまり話せません。」
③ so
* 順接の接続で用いる場合
e.g.) I went to bed early last night, so I could get up early today.
「昨日は早く寝ました、だから今日は早く起きられました。」
④ but
* 逆接の接続で用いる場合
e.g.) I was sleepy, but I stayed up late to finish my homework.
「私は眠かったが、宿題を終えるために遅くまで起きていた。」
5. yet の用法はbutと似ているため、割愛します。
6. "for"
* 理由説明を後述させる場合
e.g.) She plays the piano, for she likes music.
「彼女はピアノを演奏する。と言うのも彼女は音楽が好きだからだ。」
3. エラーについて
1.に関連
特定の意図を持たずに並列要素すべてにカンマを打ってしまうケースです。特定の意図をもって語(句)を区切りたい場合以外はカンマを用いる必要はありません。「そのカンマがないと並列が分かりづらいか」が指針です。
2.に関連
独立した節で文頭に用いてしまう場合です。目にすることが非常に多いです。厳密にいうと完全にNGではありませんが、文中で多用すると書き手の学習レベルに疑問符がつく恐れがあります。敢えて英語を学習し、英語で弁論に取り組もうという学習意欲と機会を持っている人にはお勧めできません。よって原則的には避けたほうが良いでしょう。以下にいくつか例を挙げます。
① and
△ I lived in Tokyo until I was three. And I moved to Nagoya when I was six.
○ I lived in Tokyo until I was three (,)and I moved to Nagoya when I was six.
② but
△ I am an only child. But I am not lonely.
○ I am an only child, but I am not lonely.
またこれに関連して、従属接続詞(becauseやifなど)を主節に従属させず、単独節として用いる例もしばしば見られます。今回は従属節については取り上げていませんが、やはり避けたほうが良いでしょう。