見出し画像

新荘川のすすめ② 沈下橋

沈下橋は、四万十川の佐田沈下橋や、最近アニメの舞台のモデルとなった仁淀川の浅尾沈下橋などが有名ですが、新荘川にも沈下橋があります。

① 津野町白石 多分新荘川最上流の沈下橋
(本流の沈下橋は多分4ヶ所。)

全国的には潜水橋と言うようですが、高知県では沈下橋(ちんかばし)!

潜水というと自ら潜る感じもしますが、沈下というと沈んでいく感じで、大雨の時に徐々に橋が水に飲みこまれていく(水没していく)姿をみると、沈下という言い方が言いえて妙のようにも思います。

他県では、潜没橋、冠水橋など様々な呼び方があるようですが、地獄橋というのもあり、確かに大雨で増水した川に沈む沈下橋の周辺は水地獄という状況で、これもありかと思います。(千葉県にある地獄橋は、地獄橋と呼ばれるようになった別の歴史的由来があるようですが・・・。)

潜水橋は、「堤外地に設けられる橋で洪水時には橋面が水面下になる橋」という定義とのこと。

② 津野町白石 河内神社の下にある沈下橋
少し下流方向から撮ると意外と迫力!

堤外地? 堤の外? 少しおやっと思いましたが、堤内とは、堤防で守られた農地や住宅地のことらしく、その外なので、川からみたら内側でも、人間の生活からみたら外側、ということらしい。

ちなみに、国土交通省のホームページには、「堤防を境にして、水が流れている方を川表(かわおもて)、住居や農地などがある方を川裏(かわうら)と呼びます。」とありました。川からみると、人間が住んでいるところが裏なんですね。堤を作った時点で川と人間の関係が変わったのかとも思います。面白い!

③ 津野町姫野々 鳴川沈下橋
遠くに抜水橋(なるかわばし)が見えます。
左岸(国道側)から右岸へ
対岸は、未舗装の細い道のみ
抜水橋(なるかわばし)から
なるかわばしの右岸には津野親忠の墓(分骨)が!

だんだん話が沈下橋から離れてきましたが、国土交通省の同じページに、川の右岸(うがん)、左岸(さがん)の説明もありました。河川を上流から下流に向かって眺めたとき、右側を右岸,左側を左岸と呼ぶそうです。

川の下流地域に住んでいると、自分のいるところを中心に上流に向かって右側が右岸というほうがしっくりくるんですが、定義では真逆ですね。

しかし、確かに、川は上流から下流に向かって流れていくので、川から(水から)みたら、進んで行くほうの右側を右岸と呼ぶのは至極もっともなこと!(道路の右側も人の歩いていく方向に向かっての右ですものね。)

どんな視点でみるかで真逆の言い方になる! ほかにも色々ありそうです。

沈下橋(潜水橋)の話にもどって、定義の「洪水時には橋面が水面下になる橋」という部分、これもずいぶんと曖昧!
洪水って、いつの?

なるかわばしの少し上流にある、多分流れ橋の橋脚
ながれ橋は、別のnoteで!
普通の増水で水没しそう!

色々調べていると、抜水橋の説明に、「橋面が計画高水位よりも高く、洪水時にも安全に利用できる」とありました。
計画高水位ってあるんですね。どうもその水位以下だと、洪水の際に水没する可能性があるということらしい。

で、計画高水位はというと、
「計画高水位は、河川管理上の基準とする水位の一つ。この水位以下 で計画高水流量を安全に流下させることができるようにする河川整備や、 橋梁などの許可工作物設置に際して考慮すべき基準の一つとなるもの。 」
「計画高水位の設定は、一般的には、背後地の土地利用状況や地盤高、河道 の状況や地質条件、過去の洪水履歴、河川整備の経緯等のうち各河川毎の 事情に応じて必要な事項を勘案すべきものであるが、過去に大規模な災害 を発生させた洪水における実績水位(痕跡水位)の最高位を踏まえて設定 されている河川が多い。」

という資料がありました。なにやらむつかしい話しですが、要するに橋をかける場所の状況により判断ということらしい。最もなことです。

④ 津野町新土居の沈下橋
すぐ上の国道沿いにはコンビニがありあます!
左岸(この写真では右側)は、新土居キャンプ場
夏には橋から飛び込む子供の姿も!
しかし水がきれい!

最近、橋(抜水橋)が水没したといったニュース等を時々みかけますが、狭い範囲に一気に大雨が降ることが多いことなと、雨の降り方が変わってきて、橋を架けたときとずいぶんと状況が違ってきているということなんでしょうね。

ちなみに、抜水橋は永久橋とも言うようですが、
「日本は歴史的に木で橋を建設してきており、洪水 による流出、火災などにより架け替えを行うことが普通であった。鉄・ コンクリートでの橋の整備が本格化したのは昭和 30 年前後であり、当 時、それらは「永久橋」と呼ばれ、鋼橋は塗装の塗り替えのみで良く、 メンテナンス・フリーと考えられていた」という資料もありました。

鉄や コンクリートは、木と比べると確かに長持ちはしますが、決して永久では無いはず。それでも、「永久橋」と言われたのは、それだけ期待をこめた画期的な橋だったということかなと思います。

新土居の沈下橋
左岸(こちら側)から右岸へ!
向こう岸は山の中に向かう細い道!

沈下橋はというと、コンクリートや鉄でできているものがほとんどで、洪水での流出や火災によるかけ替えは必要なく、そういう意味では永久橋といってもいいのではと思いますが、洪水時には水没して一時使えなくなる橋なので、永久では無いですね!

ただ、沈下橋という名前も含めて、「生活道に加え生活文化遺産として後世に引き継ぐため」(高知県・四万十川沈下橋保存方針)にも、是非永久保存してほしい、そう思います。

新荘川だけでなく、高知のほとんどの川には沈下橋があります。四万十川と仁淀川の沈下橋はいくつか撮っていますが、他の川にも写真を撮りにいきたいと思っています。

このnoteには、増水時の様子も追加していく予定です。多分・・・!




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?