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リターン後の初ツーリングは箱根(その1)

 先日リターンライダーになってバイク屋さんから家まで帰るだけでぐったりした話を書いたけれど、翌日早朝から走りに行くことにした。そこれも箱根に・・・

 事の経緯は僕がリターンライダーになる計画をFacebookで流していたところ、大学の後輩が丁度箱根に行く計画を立てているので大観山で待ち合わせて会いましょうと誘ってきてくれた事が始まりでした。サプライズでお会いしたいですねって・・・
 でも納車日には家まで市街地を16km走るだけでぐったりしてたのに、いきなり翌日箱根?
 往復150km・・・まして集合場所の大観山は走り屋のメッカ?の箱根ターンパイク内にある。

 いやいやいや、最初は近所の宮ヶ瀬(往復80km)あたりで練習でしょうとすぐに否定している自分・・・Facebookは既読無視(笑)

 就寝時に布団に入って考える・・・結局どっちに行こうか・・・例えば箱根に行くなら慣熟を兼ねて国道246の下道で行ったらどうだろう・・・いや東名高速で楽しながら高速道路の感じもつかむのはどうだ・・・一人でそんなことを考えながら、宮ヶ瀬も捨てがたいぞと、もぞもぞしているといつの間にか寝てしまった・・・

目が覚めた・・・午前2時・・・いつもと同じ休日の起床時間、ああ会社行かないんでいいんだ(笑)撮りためた旅番組のTVでも見るか・・・
いや!ちがうぞ、今日の僕はバイクがあるんだ!

いそいそと、身支度を整える
さあ・・・どっちに行こう・・・いや・・・決まっているよね
目指すは箱根だ!理由は簡単、後輩に会いに行くのはサプライズだし楽しそうだからだ。
 そこからは普通にプランニング、大観山10時集合目標として、僕は時間は早いほうがプランを立てやすい。2時に起きたから余裕は沢山、ゆっくり4時に出発、そこからのんびり3時間かけて箱根に行っても7時到着だ・・・まあ集合の10時までは大観山の休憩所でご飯食べたり本を読んだりすれば時間が潰れるだろう・・・下道を通れば時間もつぶれるが、今回は楽して東名横浜町田から乗って、御殿場ICで降りて芦ノ湖経由で大観山、帰りはターンパイクを下って小田厚で帰る計画とした。
 大人だなぁ(笑)学生の頃は時間があっても金がなかったので絶対下道の選択だったな

 午前四時、まだ暗い中バイクを家の前まで出す・・・
しかし、ここは早朝の住宅街、この時間ではエンジンかけられないなと家の前の坂を惰性で下りながら家を少し離れたところでイグニッションオン・・・
 オイルが暖まるまで回転を上げずにバス通りの信号まで出る。交通の流れはほとんどない・・・ゆっくり体も慣らしていく。

 中原街道を左折してガラガラの二車線貸し切り・・・速度は法定速度の60km/h前後で流すと昨日の渋滞が嘘のように快適だ。冷たい風が気持ちいい、最新のヘルメットの中に冷たい風が通るのを実感・・・テクノロジーの進化だ

 保土ヶ谷バイパスに合流時に5000回転まで引っ張るともう十分以上に速く豪快な加速、いやリッター越えのスパーバイクに比べれば700ccの2気筒の73馬力はざっくり半分だから、絶対的な速さそれに比べればたいしたことないのだろうが、僕の中ではもう凄い加速だ。
 特に3速ぐらいまでは、中速から少しアクセル開度を与えるだけで「ガバルルルルル!」と力強い低音とともに瞬間移動のように思った場所までぐわっと前に出る。

そのリニアな加速に「すげーぞこれ・・・」思わず口に出る

次にポンポンポンと6速までシフトアップして流れに乗る
そうすればドコドコトコトコと少ないアクセル開度で平和に楽に流れに乗れる
しばらく三車線の左端と真ん中の車線を行ききして体を慣らす、ウインカーはプッシュキャンセル、僕の昔の愛車はどっちだったっけ・・・グローブ越しの操作も思い出すまでぎこちない。
 僕は車線変更するときはミラー確認だけでなく、クイッと後ろを振り返って後方確認する。確認の終了と同時に思ったラインをヒラッと軽く行き来する。昔乗っていたXJ750Eはどっしり感があったけれどまるで違う、250ccと思わせる軽快さだ・・・

 これはかなり思い通りになるぞと思って気をよくしながら高速道路のICに入る大きな左カーブで270度回り込むコーナーに高いギアでエンジン回転数が低いまま侵入してしまった。いつもだったらコーナー途中で徐々に速度の低下し車体が寝てくるのをアクセルonで帳尻をあわすのだか、ギアが高すぎて思ったトルクが取り出せず、さらに寝かして曲がるしか選択肢がないような進入をしてしまった。こんな初歩的なミスはバイクに乗り慣れていたころには絶対にしなかった、長く癖になっていた車を運転するようなダルな操作がつい出てしまった。
 こうなるとアクセルを開けてもぎくしゃくするだけで、結局我慢して寝かしていくか、寝かした状態で素早くシフトダウンしてギアを落とすか、リアブレーキで速度を調整するかの対処しかなくなるが、全部不正解。
 正解は進入前に適切なギアを選んでおき、コーナーリング中には駆動をかけながら加速しながら旋回することだ。
 結果的に我慢しながら寝かして不安定なコーナーリングを余儀なくすることになり、ちょっとドキッと口から心臓が出そうになる・・・ブランクを感じることとなった。新品のタイヤなので寝かしすぎると前からずるっといくのが一番怖いのに・・・
 だめだ、気を抜いちゃ・・・コーナーを抜け料金所のETCレーンに向けて加速して行きながらつぶやく・・・。

 東名高速の本線にバルルと加速して乗り入れる。当たり前だがノンカウルのネイキッドなので風圧がもろにかかる。Avirexのサマージャケットの裾がバタバタと大きく風にからまる。風圧から相当スピード出てるなとメーターに視線を落とすと・・・想像とは違って法定速度しか出ていない・・・あれ?こんなに風圧と戦っていたっけ?
 これもブランクで忘れていた速度感、この速度だと三車線の真ん中か、一番左の速度となる。はっきり言って風圧と戦いたくないなら90km/hぐらいが楽ちんなので、トラックの後を車間距離を開けて走る選択となる。早朝でトラフィックが少ない東名下り、追い越し車線をミニバンがいい速度で追い抜いていく。

 しばらく大人しく巡航をしながらバイクに戻って来たことをじわりと味わう。自分のバイクで東名高速を走っている。ミラーには夜明けで空がオレンジ色に白んできた東の空が映っている。
 風を受けガソリンエンジンの鼓動を感じて・・・仕事で会社にいる自分と完全に違う自分がそこにいる。
 自分だけのために、走ることを目的として走る。
ずっと思い描いたことがいま出来ている。
じわりと戻って来たことを実感する。

 走り出して20分も経たず、最初のサービスエリアに入ることにした。
なんだかもったいなく感じて・・・先を急ぐ旅でもないし、少し落ち着こうと思った。

 慣れないのでバイク専用駐車場がなかなか見つからない。それは意外と奥の方にあった。先約で2台止まってこちらを見ている。年の頃は同年代か、ちょっと頭を下げて挨拶をする、なんだか自意識過剰だ・・・

 エンジンを止めヘルメットを外し一呼吸、まだちょっとドキドキしている。いい年をした大人が・・・まるで初めて彼女と手をつないだあの頃のように。50を大きく超えたこの年齢で、こんな気持ちになることが出来るんだ・・・驚きだ

 なにかしなきゃと、オドメーターを写真に撮る。新車時から41kmは東名海老名SAにいた事を記録・・・


 さて、一呼吸おいたのでまたヘルメットを被る、停車時間は3分ぐらい、今来たばかりなのでさっきの二人はまだバイクの横に腰を下ろしている。視線はこちらを見ている感じだけれど目は合わせない・・・
 その横を軽く会釈して発進!かれらが会釈を返したかどうかは確認しないというかそんな心の余裕なし、気持ちは合流加速にもう備えている。

 合流は”くいくい”っとアクセルをひねるとバルル!!とあっという間に思った位置までバイクが移動する・・・凄い中間加速だ・・・ひやぁ・・・まさに思い通りに加速する、どのYoutubeでも絶賛されているトルク感はこのことだ、僕のつたない文章力では伝えきれないが2ストで引っ張って得られる加速とも750ccマルチの伸びのある加速とも違う、背中から蹴飛ばされるようなアクセルの付きの良さが新鮮で、頼もしく感じる。

こいつはいい相棒になれそうだ!

まだ走り出して30分でしかない・・・

つづく

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