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⑳『ジョジョの奇妙な冒険』feat. Highway Star
杜王町の不良少年でありながら、どこか憎めないキャラクター
噴上 裕也
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相手を匂いで追跡し、高速で追いかけるスタンド
「ハイウェイ・スター」
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元ネタは、Deep Purple の楽曲 「Highway Star」
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Deep Purpleの代表曲「Highway Star」は、1972年にリリースされたアルバム『Machine Head』に収録された楽曲であり、ハードロック史において重要な位置を占める名曲です。
「Highway Star」
1971年9月13日、ポーツマスへのツアーバス移動中のインタビューを受けていたリッチー・ブラックモア(ギタリスト)とイアン・ギラン(ボーカル)が、「どうやって曲を書くのか?」と質問されます。
その場でリッチーがアコースティックギターを手に取り、即興でコード進行を作り始めまて、イアン・ギランがその上に歌詞をつけていき、他のメンバーも加わることで、曲の原型が誕生したのが「Highway Star」です。
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特に、アルバム『Made in Japan(邦題:LIVE IN JAPAN)』(1972年録音)収録のライブバージョン「Highway Star」の究極のパフォーマンスとして高く評価され、クラシックロックの名演として語り継がれています。
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『Made In Japan』は、歴史に残る名ライヴ盤のひとつです。
1972年8月15日&16日の大阪フェスティバル・ホール公演と17日の日本武道館公演の計3公演における7曲が収録されています。
このライブ・アルバム、もともと日本のみでリリースの予定だったのですが、あまりにも出来が良かったために、UK本国でも日本と同じ1972年12月、アメリカは1973年1月にリリースされました。
『Machine Head』 (1972年)
「Highway Star」が収録されているDeep Purpleの6作目となるスタジオ・アルバム『Machine Head』は、1972年3月にリリースされ、ロック史における不朽の名作として語り継がれています。
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このアルバムは、スイスのモントルーにあるカジノを録音スタジオとして使用し、ローリング・ストーンズのモバイル・スタジオを利用して制作する予定でした。
しかし、フランク・ザッパとザ・マザーズ・オブ・インヴェンションのコンサート中に、観客のひとりが天井に向けて信号弾(フレアガン)を発射したことが原因で火災が発生して、モントルー・カジノは全焼し、レコーディングは不可能となってしまいます。
そこで、バンドは急遽レコーディング場所を変更し、モントルーのグランドホテルに録音設備を持ち込み、わずか数週間でアルバムを完成させました。
この出来事は、名曲「Smoke on the Water」の歌詞に描かれます。
「Smoke on the Water」の音楽トラックだけは、グランドホテルではなく、パビリオン(The Pavillon)という空き劇場で録音されました。
この場所は音響効果が優れていたため、バンドはそこでの録音にこだわりましたが、その録音過程は非常に緊迫したものでした。
リッチー・ブラックモアはBBCラジオ2で次のように語っています。
「この曲は、たった4テイクで仕上げるしかありませんでした。警察がドアを叩いていたんです。それでも私たちはこのホールの響きが気に入っていたので、なんとか録音を続けました。モントルー中に音が反響し、約5マイル先の住民まで起こしてしまったんです。最後のリフの部分を録音し終えた瞬間に、警察が押し入ってきて『すぐに中止しろ』と命令しました。しかし、なんとかトラックを完成させることができました。」
この証言からもわかるように、録音中は騒音による通報で警察に中断を命じられるというトラブルに見舞われ、それでもバンドはわずかな時間を使って名演を生み出したのです。
荒木 飛呂彦先生の狙い
荒木飛呂彦先生は、Deep Purpleの楽曲を通じて、人間の本能的な力や支配欲、そして自由への渇望を表現したと考えられます。
物語の中で、噴上裕也は最初は敵として登場します。
彼のスタンド「ハイウェイ・スター」は、ターゲットを執拗に追跡し、逃げ場を奪う恐ろしい能力を持っています。
この圧倒的な力によって、東方仗助たちは一時的に絶望的な状況に追い込まれます。
しかし、戦いが終わると、噴上裕也は自らの敗北を認め、考え方を改めて、その後は東方仗助と協力関係を築き、物語の重要な場面でサポート役として登場します。
荒木先生は、こうしたキャラクターの変化を描くことで、「人は変われる」「恐れを乗り越えた先に新しい自分がいる」というメッセージを伝えようとしたのではないでしょうか?
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戯 言
リッチー・ブラックモアは、1975年6月21日にDeep Purpleを脱退。
ロニー・ジェイムス・ディオ(Ronnie James Dio)と新バンドRainbowを結成します。
噴上裕也と、物語を通じて絶対的な悪として君臨するDIO
一見すると直接的な関係はないように見えますが、、、
リッチー・ブラックモアがディープ・パープルというレガシーから離れ、レインボーという新たな舞台で伝説を築いたように、裕也は敵から味方へと立ち位置を変え、新しい役割を果たすキャラクターとなります。
荒木飛呂彦は、音楽とキャラクターを巧みに結びつけることで
過去と未来の交錯
再生と進化
という普遍的なテーマを織り込んでいるのでは?
続く、、、