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【雑感】『動乱の1968年』が問いかけたものは?
過去を振り返ると特別に目立つ年がいくつかあります
そんな世界史的な歴史的転換点であったとされる不思議な年のひとつが『1968年』だったと思います
メディア環境の変化によってテレビが普及していき
一般家庭でも「遠い国のニュース」を映像で見ることが可能となった時代
他国の社会背景がよくわからなくても
人々が何かを訴えている様子などが『映像』を通じて伝わった時代
それまでは無関係であった他国の事件・出来事に触発された
第2次世界大戦後に生まれの若者世代が中心となって
年長者が作っていた【既存秩序】【既成制度】に違和感を唱える運動の担い手となって活動を始めた時代の始まりが『動乱の1968年』
一方 マス・メディアの発達は 報道機関が「事実を正確に伝える」ということだけでなく
自らの思想信条のために「事実を捻じ曲げ」たり「事実の都合の良い情報だけを切り取る」ことで自分たちにとって都合の悪い情報は報道しないことで『印象操作』を行うことが簡単に出来るようになった時代の始まりでした
1968年:世界を震撼させた重大事件
✅ 1月30日~ ベトナム戦争【テト攻勢】
北ベトナム人民軍が南ベトナム軍および同政府を支援する米軍に一斉攻撃
この攻勢は 米軍の絶対的優勢を確信していた米国世論に衝撃を与え 反戦機運が高まっていきます
✅ 3月8日~ ポーランドのワルシャワ大学発「3月事件」
社会主義政権下で自由を求める学生・知識人たちが民主化運動を契機として
この運動弾圧を口実にした共産党政権が【反ユダヤ主義運動】を開始します
https://imidas.jp/humarerumono/?article_id=l-80-013-19-04-g706
✅ 米国における公民権運動の変化
公民権法が公布されたことで 法の上での『ジムクロウ法』は廃止になりましたが 名目だけの平等に不満を高めた北部や西部の大都市スラム街に住む黒人は非暴力主義に反抗して実力行動に訴える者も多くなり 各地で黒人暴動が頻発します
『ブラック・パワー』を掲げる急進派の台頭
▼ ブラック・パンサー党
ヒューイ・ニュートンは獄中でしたが エルドリッジ・クリーバーが中心となって 情宣活動を拡大して 1968 年末までに全米 25 都市に1000 名を越えるメンバーを擁するまでになり「国内治安に対する最大の脅威」と目される存在となっていきます
▼ 新アフリカ共和国(Republic of New Afrika)
1968年3月 デトロイトで結成された暫定政府形式の運動体
アメリカ南部にあるアラバマ・ルイジアナ・ミシシッピ・ジョージア・サウスカロライナを合衆国から割譲して アフリカ系アメリカ人が主権を握る独立国樹立が目的
キング牧師の『非暴力的抵抗』は次第に時代遅れなものになっていった要因
① 公民権法成立は黒人から見ると最初のステップでしかなかったが 白人社会は「これで問題は片付いた」とゴールだと位置づけた
② 深く根付いた差別意識は依然として教育や雇用の場に蔓延しており黒人は階段の入り口には立てても頂点に上ってはいけない
③ 差別意識により雇用の機会を奪われた黒人の失業問題は白人に比べ深刻
④ ベトナム戦争により黒人は多数徴兵され、その多くは最前線でたたかわされてい る。彼らは母国で民主主義の恩恵を受けていないのに、民主主義を守るために戦争に狩り出されている
⑤ 大都市ではスラム街に黒人が押し込められ、戦争のためにそのインフラ整備等の環境問題はないがしろにされている
✅1968 年 4 月 4 日:メンフィスのモーテルでキン グ牧師が暗殺される
【キング牧師暗殺される】のニュースが広まると 全米の 40 以上の都市で暴動が発生 暴力事件は 120 都市の黒人居住区にまで広がり 多くの都市で放火や略奪が起こり州兵が動員される事態になっていきました
▼ コロンビア大学を学生が占拠
4月9日:SDS(民主的社会を求める学生たち)が反戦運動を進めていたニューヨークのコロンビア大学での『キング牧師追悼集会』は ハーレム住民も参加して「黒人解放運動」との連携すること理由に大学当局が構内でのデモを禁止した
4月26日:大学側に反発した急進派の学生たちが「大学当局はベトナム戦争支援機関に関与している」と非難して大学を占拠
✅ フランス「5月革命」
フランス各地の街頭で学生たちが大規模な反体制デモを展開(13日にはパリでゼネスト)して学生が警官隊と衝突して仏全土はまひ状態に陥りました
この「5月革命」に触発されて イタリア・ドイツ・トルコ・日本・ブラジルでも学生による反体制運動が起こります
✅1968年6月5日:ロバート・ケネディ上院議員が暗殺される
暗殺の日はイスラエルと近隣アラブ諸国の第三次中東戦争が始まった日です
✅ 7月~ ビアフラ戦争によってナイジェリアで数百万人が飢えで死にゆく姿が世界中に報じられ国際人道支援が本格化します
✅ 8月 「プラハの春」
チェコスロバキアで起きた民主化の動き
アレクサンデル・ドプチェク共産党第1書記が「人間の顔をした共産主義」を掲げた民主化運動(国家による事前検閲の廃止,市場経済方式の導入による企業の独立化などの政策)
8月:社会主義体制の危機を感じたソ連のブレジネフ政権はワルシャワ条約機構軍20万人を投入して民主化の動きを弾圧
ドプチェクは解任されフサーク政権が誕生
✅ 10月2日 メキシコでのトラテロルコ事件
メキシコ五輪を10日後に控えたメキシコ市での民主化要求デモに警官隊が発砲し学生ら200-300人が死亡
✅ 10月17日 ブラック・パワー・サリュート
✅ 12月 21日 アメリカのアポロ8号が人類史上初めて3人の宇宙飛行士を乗せて月を周回して無事地球に戻ることに成功
『動乱の1968年』が教えてくれたことは?
1945 年から 1967 年はアメリカの覇権が拡大する時期で
1968 年はアメリカの覇権が崩壊に向かい始めた年
★ 全世界的な革命は『古典的なシステムに対する反発』から発生した年
★ 「若者の反乱」が同時多発的に起きたのが特徴的な年
★ 【支配的集団(年長世代・男性・マジ ョリティ)】の命令に対して【従属的集団(年少世代・女性・マイノリティ)】が簡単には従わなってきた時代の幕開け
★ あらゆる出来事がテレビで映し出される時代の到来
日本でも学生運動が盛んで 学生と機動隊との衝突が幾度となく繰り返されながらも 若者たちは必死に社会を変えようとしていたのかもしれませんが
前例主義踏襲型思考の「現状維持」大好き人間が「同調圧力」となって【既存秩序】【既成制度】に違和感を唱える人を徹底して「出る杭を打つ」「出る杭を潰す」
現代に通じる基礎を作ってしまったのが『1968年』のような気がします
今さらですが「歴史を学ぶ」とは?
『背景を知って楽しむ音楽』~【自分の無知にアクセス】
ジャズ・ブルース・ロックといった音楽を調べていくうちに
その音楽が生まれた「時代背景」や「社会環境の変化」を調べるようになっていくようになりました
「歴史を学ぶ」とは?
『現代を考えること』
『人間を考えること』
『未知のものへの理解を深めること』
と思います
VUCA時代の今だからこそ
✅ 歴史を学びながら未来の社会を考える
✅ 過去を掘り起こした『知識』を現在に使える『知恵』に生かす
過去という異文化や そこに生きた人々を理解するなかで
『楽しさ』『難しさ』『何が阻害要因なのか?』『何が解決策なのか?』
を実感することできます
現代社会を生きぬく「智慧」「ヒント」が見つけることできるようです