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⑬『ジョジョの奇妙な冒険』feat.The Band
第4部「ダイヤモンドは砕けない」に登場する主人公・東方仗助の友人であり、時に相棒的な立場で物語を盛り上げるキャラクター
虹村 億泰
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彼のスタンド「ザ・ハンド」は、触れた物を削り取り、消し去るという破壊的な能力を持っています。
このスタンド名の元ネタとなったのは ザ・バンド(The Band)
ザ・バンド(The Band)
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ザ・バンドは、カナダ出身の4人(ロビー・ロバートソン、リック・ダンコ、リチャード・マニュエル、ガース・ハドソン)とアメリカ出身のレヴォン・ヘルムが集まって結成されました。
元々は「ホークス」として活動し、ロカビリー歌手ロニー・ホーキンスのバックバンドを務めていました。
1965年、ボブ・ディラン(Bob Dylan)がフォークからエレクトリックへのスタイル転換を模索していた際、「ホークス」の演奏力と個性的なサウンドに注目し、彼らを自身のバックバンドとして起用しました。
ディランのエレクトリック化には、従来のフォークファンから大きな批判を受けました。1965年から1966年にかけて行われたワールドツアーで、観客からブーイングを受けながらもエレクトリックセットを貫きました。
1967年、ディランはバイク事故をきっかけにツアー活動を停止し、ニューヨーク州ウッドストックに拠点を移します。
ザ・バンドもディランと合流し、ウッドストックの「ビッグ・ピンク(Big Pink)」と呼ばれる家で共同生活を送りながら音楽制作を行いました。
ウッドストックでのセッションは、1975年に『The Basement Tapes』としてリリースされました。(2014年にディランのブートレッグ・シリーズ第11集『The Basement Tapes Complete』として、その全容が公表されました。)
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ウッドストックでのディランとのセッションで、アメリカ音楽の伝統に根ざした新しいサウンドを模索した結果生まれたのが、ザ・バンドのデビューアルバム『Music from Big Pink』(1968年)です。
共同生活をしていた「Big Pink」にちなんでアルバム・タイトルが名付けられました。
エリック・クラプトンの感想
当時、エリック・クラプトンは「スーパーグループ」として知られるクリームで活動しており、派手なギターテクニックやブルースロックのスタイルで頂点を極めていました。
しかし、『Music from Big Pink』を聴いたクラプトンは、自分が追求してきた音楽の方向性に疑問を抱くことになり、ザ・バンドの音楽を初めて聴いた時の感想を次のように語っています。
「初めて『Music from Big Pink』を聴いた時、彼らの音楽は、それまでの私の常識を完全に打ち壊しました。彼らは、派手なソロやテクニックではなく、グループとしての調和や楽曲そのものの魅力を追求していたのです。それを聴いた瞬間、私は自分の音楽がいかに浅薄だったかを思い知らされました。」
クラプトンは、ザ・バンドの音楽が「自己表現」ではなく「全体の一体感」を重視している点に感銘を受け、自身の音楽スタイルを見直すきっかけとなりました。
この出来事は、クラプトンが自身のバンド「デレク・アンド・ザ・ドミノス」を結成するきっかけにもなったと言われています。
「Thorn Tree in the Garden」は、エリック・クラプトンがザ・バンドから受けた影響を最も如実に表現した楽曲といえます。
その後のThe Band
1969年セカンド・アルバム「The Band」リリース(RIAA: Platinum)
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1970年サード・アルバム「Stage Fright」リリース(RIAA: Gold)
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「Stage Fright」リリースの頃から、メンバー間の感情的な軋轢が次第に大きくなり、加速度的にメンバー間の結びつきは希薄になっていきました。
この不仲の要因は”薬物の乱用”と”商業的な成功”が事態を悪化させるだけだったようです。
1971年「Cahoots」リリース
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1972年ライブ・アルバム「Rock of Ages」リリース
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1973年「Moondog Matinee」リリース(新曲の代わりに旧き佳きロックンロールやR&Bナンバーのカヴァー)
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ザ・バンド内部の問題は深まるばかりだった1973年
ボブ・ディランが、約3年にわたるツアー活動の休止を経て、音楽シーンに復帰することを決めした。
ザ・バンドと再びタッグを組んで新しいアルバム『Planet Waves』を制作します。ディランのスタジオ・アルバム14作目になる『Planet Waves』は、ディラン初のビルボード・アルバム・チャート第1位を記録。
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アルバム発売後にはザ・バンドとの大規模ツアーを行い、1974年にライブ・アルバム『Planet Waves(邦題:偉大なる復活)』をリリース。
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1976年オリジナルのザ・バンドが出した最後のアルバムとなった
『Northern Lights, Southern Cross (南十字星)』をリリース。
このアルバムは批評家から好評を博しました。
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ザ・バンドは、1976年11月25日の感謝祭に多数のゲストとともに華々しいコンサートを行い、それを最後に活動を停止します。
このコンサートの模様は、『The Last Waltz』と題したドキュメンタリー映画とサウンドトラック・アルバムで1978年リリースされました。
『The Last Waltz』で、ザ・バンドとしての活動を一度終了していましたが、キャピトル・レコードとの契約上もう一枚のアルバムをリリースする必要があり、過去のセッションからのアウトテイクや未発表曲と新たに録音された楽曲で構成された『Islands』が1977年にリリースされました。
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荒木飛呂彦先生が描いた音楽的オマージュ
第3部「スターダストクルセイダース」のヴァニラ・アイスのスタンド「クリーム」と、虹村億泰のスタンド「ザ・ハンド」は、どちらも「削り取る」力を持つスタンドとして描かれ、共通点が多いことからファンの間でしばしば比較されます。
ヴァニラ・アイスはDIOに心酔し、自身のスタンド「クリーム」を純粋な破壊の道具として用いますが、虹村億泰は未熟で単純な性格ながらも、仲間への思いやりや感情を基盤にスタンド「ザ・ハンド」を使います。
前述の通り、エリック・クラプトンは「クリーム」時代に技巧派ギタリストとして名を馳せましたが、ザ・バンドの『Music from Big Pink』に衝撃を受けたことで、テクニック重視のスタイルから脱却し、シンプルで感情的な表現を重視する方向へとシフトしたことと、何らかの関係があるのかもしれません。
ちなみに、
岸辺露伴のスタンド「ヘブンズ・ドアー(天国への扉)」の元ネタは?
1973年サム・ペキンパー監督作品『ビリー・ザ・キッド/21才の生涯』のサウンド・トラック・アルバムとしてリリースされたボブ・ディランの12作目のアルバム「Pat Garrett & Billy the Kid」からのシングル・カット
「Knockin' on Heaven's Door」
第6部「ストーンオーシャン」に登場するスタンド能力「プラネット・ウェーブス」
元ネタは、前述のボブ・ディランとザ・バンドのアルバム
『Planet Waves』
音楽へ造詣が深い荒木先生が、音楽的オマージュを通じて表現したこのスタンド対比もジョジョの奥深さを感じます。
続く、、、