見出し画像

②『ジョジョの奇妙な冒険』feat.Bette Midler

第3部「スターダストクルセイダース」に登場するキャラクター
「ミドラー」

そのスタンド「女教皇(ハイプリエステス)」は、名前に関してしばしばアメリカのエンターテイナー、ベット・ミドラーを想起させます。

ベット・ミドラー(Bette Midler)

ベット・ミドラーは、アメリカのエンターテイメント界で多彩な才能を発揮するアイコン的存在です。
彼女はシンガー、アクター、コメディアンとしての幅広いキャリアを持ち、特に1970年代から1990年代にかけて、その才能が多くの人々に知られるようになりました。

Bette Midler

独特なユーモア、華やかなステージパフォーマンス、圧倒的なカリスマ性で観客を魅了し、映画『ローズ』や『ビーチズ』などでの演技も高く評価されています。

これらの作品では、強い女性や、人生の困難に立ち向かうキャラクターを演じ、その中で彼女自身の個性的なキャラクターが色濃く反映されています。


「ハイプリエステス」のスタンド能力とベット・ミドラーの表現力


「ハイプリエステス」のスタンド能力は、物体や空間を自在に操作する能力を持ち、戦闘時にその姿や形状を自在に変えることが特徴です。

この能力は、ベット・ミドラーが演じる多才な役柄や、彼女のパフォーマンススタイルを連想させるものです。
ベット・ミドラーも、コメディからドラマ、音楽に至るまで、多くのジャンルを自在に行き来することができ、その自由さと多様性が「女教皇」のスタンド能力に象徴的に表れていると考えることができます。

また、「女教皇(ハイプリエステス)」という名称は、タロットカードにおける「知恵」や「直感」を象徴するカードから取られています。

ベット・ミドラーも、舞台でのユーモアと知性、独特の洞察力で観客を引きつけ、彼女のパフォーマンスはただのエンターテイメントにとどまらず、社会や人間の本質を反映する深いメッセージが込められていることが多く、その点で「女教皇」の持つ「知恵」とも重なる部分があると言えます。

The Rose - Bette Midler


映画『ローズ』


映画『ローズ』は、1979年に公開されたアメリカ映画で、マーク・ライデルが監督し、ベット・ミドラーが主演を務めた作品です。

物語は、架空のロックシンガーであるメアリー・ローズ・フォスター、通称「ザ・ローズ」の波乱に満ちた人生と、彼女が音楽業界で成功する一方で、内面的な葛藤や愛、孤独、そして自己破壊的な行動によって転落していく様子を描いています。

ローズは実在のロックシンガー、ジャニス・ジョプリン(Janis Joplin)に着想を得ており、彼女の過激でエネルギッシュなパフォーマンスと、儚くも破滅的な生き様が色濃く反映されています。

『ローズ』に描かれたメアリー・ローズ・フォスターのキャラクターは、愛や孤独、絶え間ない成功への渇望と自己崩壊が絡み合う複雑な存在です。


Janis Joplin

荒木先生の作品におけるキャラクターもまた、多面的で予測不可能な一面を持ち、強烈な個性が描かれていて、ジャニス・ジョプリンにインスパイアされた可能性はあります。

ジャニス・ジョプリン(Janis Jopli)


アメリカのロックとブルースのシンガーとして、1960年代後半に一世を風靡したカリスマ的存在です。
彼女は、感情の深さと力強さを兼ね備えた独特の歌声で、聴衆を魅了しました。

テキサス州ポートアーサーで育ったジャニスは、白人でありながらブルースやソウルに強い憧れを抱き、黒人音楽から多くの影響を受けました。
彼女の音楽はロック、ブルース、サイケデリックロックを融合させたもので、当時の音楽シーンに衝撃を与えました。


ジャニスのキャリアは順風満帆ではなく、孤独や不安に悩まされる日々でした。
彼女は自身の人生において数々の困難に直面し、それらを音楽に昇華する一方で、アルコールや薬物に依存してしまいます。

彼女の「破滅的な生き様」は、ファンにとって神秘的であると同時に、悲劇的な要素を含んでいました。

1970年、彼女は27歳という若さで薬物の過剰摂取によりこの世を去り、ロックの伝説「27クラブ」の一員としてその名を歴史に刻みました。


From a Distance


1990年、湾岸戦争が勃発しました。
アメリカは前線へ向かう兵士たちを励ますため、有名アーティストを集めたコンサートを開催します。

舞台は、"America the BEST!"のスローガンが響く愛国ムード一色。
観客も皆、熱狂的にその雰囲気に浸っていました。

その最後に登場したのは、ベット・ミドラー

彼女が選んだのは「From a Distance」

誰が聴いても、これは『反戦』の曲。
美しいメロディーと共に、戦争や争いを遠くから眺め、平和の大切さを語りかける歌です。

その瞬間、会場は静まり返り、歓声もなく、ただ彼女の声に耳を傾けるアメリカ国民。

そしてその日を境に、国中に「戦争反対」の声が広がっていきました。


ジョジョシリーズに登場するキャラクターはしばしば、人間の持つ強さや美しさ、そして脆さを象徴し、読者に考えさせる要素を含んでいます。

特に「人間讃歌」というテーマは、善悪の境界を超えた存在や、人生の中で出会う試練を通じて自分を超越する力への賛美とも取れ、物語の中でエンターテイメント性を保ちながらも、人間としての在り方や、社会に潜む問題を静かに問いかけています。



次号は11月第1週末に投稿します。
お楽しみに!



いいなと思ったら応援しよう!